2031年に創業100周年を迎える株式会社山櫻様は、創業当時から名刺・封筒・挨拶状などオフィス向け紙製品の製造・販売を手掛けており、近年ではWebサービス事業やプリンター事業など紙製品以外の分野にも事業領域を拡大しています。
封筒・名刺印刷における入稿データ処理に対応するDTPオペレーターの業務負担と業務環境の改善のため、ワークフロー自動化ソフトウェアEnfocus Switchと、プリフライトサーバーであるPitStop Serverを導入されています。導入経緯や効果を、営業企画部PODバリューグループ マネージャー金子心悟様、𠮷野聡子様に伺いました。
入稿データ処理の業務改善のためSwitchを導入
DTP作業における自動化の構想は、かなり以前からありました。封筒・名刺印刷でお客様からのデータ入稿が2006年頃から本格的に始まり、年々数が増えていきました。それに伴って人員も拡充していったのですが、データチェックや入稿作業はすべて手作業で人海戦術が主体でした。
そのため、作業量が増えるにつれて1人あたりの負担が増大し、慢性的な残業や休暇取得が難しくなるなど作業環境が悪化していきました。手作業の限界を感じ、自動化できるものは自動化した方がいいのではないかと考えるようになりました。
得意先からの入稿データ処理に対応するDTPオペレーターの業務負担と業務環境の改善、社内のDX化の促進を実現する手段の一つとして、 Enfocus SwitchとPitStop Serverの導入に至りました。
入稿データの約80%のデータチェックに対応
Switchを使用して作業を自動化している人数は、本社9人・支店10人・生産管理部門1人の合計20人で、扱っているファイル形式はAI、EPS、PDFと、PSD、EPSなどの画像データです。
ワークフローは現在、データチェック専用のフローを運用しています。このワークフローではAI、EPS、PDFが印刷用データとして致命的な不備が無いかのチェックをおこない、チェック結果のレポートを生成しています。
お客様から受け取った封筒・名刺などの入稿データ、あるいは弊社で作成した入稿データが印刷に問題ないデータかどうかを自動でチェックします。SwitchとPitStop Serverの導入で自動化が実現し、入稿データの約80%のデータチェックに対応できるようになりました。
年間1,500時間の時間短縮を実現
手動でおこなっているチェック項目のうち、ほぼ90%は自動化できました。印刷機クワエ用の余白が確保されているか、文字がすべてアウトライン化されているか、ヘアラインの箇所の特定など、さまざまな項目をチェックできます。
チェック項目を90%自動化できた効果は大きく、データ処理時間で言うと、1件あたり12分から9分に短縮されました。これは3分の時間短縮ですが年間では約1,500時間、つまり1人分の年間労働時間に相当する時間を創出できたことになります。
さらに、オペレーターからは心理的負担が軽減されたという声が多く聞かれます。例えば、「データの注意点やエラー箇所が事前に分かるので、処理時に不備を見落としていないかという心理的負担が減った」「脳の疲労感が軽減された」といった声があがっています。
また、「寸法が自動で測れるのでアタリやガイドのないデータを自分で測る必要がなくなった」「営業にアタリ罫付きPDFを戻すのが楽になった」などの具体的な導入効果を聞くこともできました。
データチェックフローのさらなる磨き上げを目指す
Enfocus SwitchとPitStop Serverの導入により一定の成果を得られましたが、これはあくまで始まりに過ぎません。今後は、データチェックフローのさらなる磨き上げをおこなっていきたいと考えています。
現状で必要なチェック項目に対しての自動データチェックは実現できていますが、さまざまな仕様でのデータ入稿があるため、希望通りのチェックレポートが生成できないケースがあります。これらのケースにも対応できるよう、レベルアップを図る必要があります。
現在はデータチェックを主軸として使用していますが、データチェックの精度や項目を充実させていくことと併せて、下版用データの自動生成の構築にもチャレンジしていきたいです。ほかにも弊社工場での製版作業や面付け作業など、製造現場での自動化の実現も目指していきます。
Enfocusとアドビ両方の代理店をしているのがTooの強みと感じた
Enfocus製品とともにアドビ製品の代理店もされていることにTooさんの強みを感じました。運用方法のアイデアなどを含めて総括的にご提案や説明を受けることができ、わたしたちも多くの学びを得ることができました。
導入後も、SwitchのフローやPitStopのプリフライト・アクション設計時に、我々では解決できない状況に陥った際に適切にサポートしていただくなど、非常に心強く感じています。お力添えがなければ成立しなかったと思われる部分は多く、今後も伴走してもらいながら、さらなる業務改善と技術向上を図っていきたいと考えています。
※記載の内容は2024年8月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。