
新旧対照表とは、書類などの修正前(旧)と修正後(新)を対比形式で示した表のことを指します。特に、法律や規定、契約書、技術文書などの分野でよく利用されます。書類のどこが変更されたかを明確にするために作成されますが、やり方がわからなかったり、時間をかけて手作業で作成したりしている人も多いのではないでしょうか?
この記事では、新旧対照表作成のメリットと課題の確認、作成業務をラクにするためのヒントをご紹介します。
新旧対照表を作成するメリットとは?
まずは新旧対照表作成のメリットを確認してみましょう。
明確な変更の可視化
文書のどの部分がどのように変更されたかが、一目で理解できるようになります。これにより、関係者が変更内容を迅速に把握し、必要に応じて適切な対応をとることが可能になります。
新旧対照表を提供する側のメリット
文書の関係者へ明示できるので、変更されたことへのエビデンスとしても利用できます。ただし、その際は新旧対照表自体の正確性が求められるので、間違いが無いように慎重に作成する必要があります。
新旧対照表を確認する側のメリット
例えばサービス利用規約や契約書などでは、ユーザーにとって不利な変更がされていた場合、改善を要求する・利用を取りやめるなどの対応が迅速に取れるようになります。
履歴の追跡と管理の簡素化
文書のバージョンを管理する際、どのバージョンにどのような変更が加えられたかの履歴を簡単に追跡できるため、管理作業が効率化されます。特に細かな修正が繰り返されるような書類には必須です。書類ファイルの取り違いが起こらないよう、取扱いには注意が必要です。バージョン管理ができるクラウドストレージで運用するのもいいでしょう。
コンプライアンスの強化
法的文書や規制において、改正された内容が正確に反映されているかを確認することは非常に重要です。新旧対照表を利用することで、コンプライアンス要件に対する透明性が保たれ、監査やレビュー効率が向上します。
また、説明責任の履行にも貢献します。社外はもちろん、社内の規程やルール変更に対する説明責任を果たしやすくなります。
情報管理がしやすくなる
新旧対照表を作成することのメリットは、情報管理の観点からも有効です。
新旧対照表があることで、バージョン管理ができるようになります。メンバーの異動や変更などで、途中から案件に関わるような場合でも、変更の経緯が明確になり問題が発生した際に対処がしやすくなります。
新旧対照表の作成がうまく(効率化)できない理由
新旧対照表の作成に時間がかかっていたり、作成そのものができていない理由はなんでしょうか?

集中できる時間を確保できない
新旧対照表の作成には、文書を詳細に比較し、変更点を確実に抽出する必要があります。
変更点を正確に把握・記録する作業は相当な時間と労力が要求されるため、集中できる時間を確保することが必要です。
文書の重要性が高い場合は特に注意が必要
文書の重要性が高いと、ミスがあった時のリスクも高くなるので、変更点を確認するための労力も一段と高くなります。特に新旧データのページ送りやレイアウトが異なる場合、該当箇所を見落とさないよう、より注意が必要です。ダブルチェック・トリプルチェックは必須となり、関わる人数も多くなるでしょう。
文書の文字が小さく、ページ数が多い
契約書や保険の約款改定など、文字が細かくページ数の多い改定業務は特に目視での確認が大変です。段落単位で文字が追加・削除されると文字送りが発生し、その後のページにも影響するので、さらに負荷が高くなります。
変更箇所以外に、本当に変更がないかの確認が必要
社内で作成された文書や、文書が複数人によって編集できる場合、意図しない変更が紛れ込むことがあります。そのため、文書の改正や修正があった場合、変更箇所だけでなく、変更箇所以外に変更がないか全文書のチェックが必要です。
手作業による限界
新旧対照表の作成自体は、フォーマットが決まっていたり、何を確認するか手順が明確であったりと、単純作業のようにも見えますが、作成担当者の負担やミスによる影響はとても大きい作業です。
新旧対照表を作成するには、変更された内容を作業時から正しく把握しておく必要があります。変更作業時の確認のやりとりが頻繁になったりすると、把握漏れが発生してしまいがちです。
ExcelやWordにまとめるやり方が一般的かと思われますが、変更箇所を把握し、変更されたテキストをコピー&ペーストで仕上げていくという、まさに手作業で、ミスが発生してもおかしくない業務です。
継続的な更新の管理法がない
文書の継続的な更新は必須ですが、明確な共有場所がなく、個人のPC内でしか管理できない場合もあります。文書にいつ、どのような変更がされたなどを的確に把握できる、いわゆるバージョン管理は、手作業ではなかなかうまくいかないものです。ともすればファイルの取り違いが発生してしまうリスクもあります。
また、新旧対照表が作成された後でも、会議のやり取りの中などで新たな修正が発生することもあります。その場合、文書に変更は加えたものの、新旧対照表の更新を忘れてしまうケースも発生します。
ミスの発生しやすい作業的業務は積極的にデジタル化を
新旧対照表の作成業務をラクにするためのヒント
新旧対照表の作成は細部にわたる注意が必要です。しかし、ツールや方法を活用することで、その負担を軽減できます。
どこが変更されたかはツールが自動判別してくれるので、変更箇所を手作業で指定する必要はありません。変更作業中に発生した意図しない変更箇所も指摘してくれるので、安心です。
ツールの導入となると、お金がかかることなので自分の楽のための導入は、躊躇してしまうなどの声も聞かれます。しかし事務的で生産性が高いとは言えない作業を効率化して、空いた時間を各種企画立案や、顧客・社員サービス向上のための実現に利用できるようになります。結果的には組織全体のメリットにつながるのではないでしょうか?
異動が頻繁にある会社の場合、導入してもすぐに異動だから...。といった理由で導入に積極的になれないという声も聞かれます。しかしツールを導入することで、もし自分が担当からはずれても、後任の担当者が初期から生産性高く働けるようになります。長期的に見れば、逆にコストダウンにつながると言えるのではないでしょうか?
新旧比較に役立つ機能と新旧対照表作成の専用ツール
具体的なツールをご紹介します。すでにお使いのツールの機能を利用できますが、専用のツールを利用することで作業を大幅に効率化できるでしょう。
文書作成ソフトで利用できる機能
Adobe Acrobat
書類をPDFに変換できる場合は、Adobe Acrobatの「文書を比較」機能を利用して、PDF間の差分を視覚的に比較できます。変更箇所のみを記載する一般的な新旧対照表のフォーマットとは異なりますが、簡易的な利用としては重宝する機能です。
Microsoft Office(Word、Excel)
文書の作成にはWordやExcelを利用するケースも多いでしょう。その場合はソフト内に用意された「比較」機能が使えます。文書の旧版と新版を比較し、変更点をハイライト表示します。この結果を基に新旧対照表を作成できます。Acrobatと同様簡易的な機能ですが、ソフトについている機能なので、手軽に利用できます。
新旧対照表を自動で作成できる専用ツール
新旧文書(おすすめ)
新旧対照表を作成するための専用ツールです。

Microsoft WordもしくはExcelのプラグインとして利用できます。数ステップで文章の比較結果が一目でわかる新旧対照表を自動生成できます。
一般的に作成されるようなフォーマットの新旧対照表が、素早く誰でも簡単に作成できるので、業務効率化に大きく貢献します。
主に下記のような機能があります。
- 2つの文書を比較し、その差分から自動的に新旧対照表を作成
- 参照文書を対照表形式で編集し、改訂文書と新旧対照表を同時に作成

旧ファイルと新ファイルを読み込み、「新旧対照表」を作成します

複数段組み等にも対応し、新文書作成時にも元文書の段組みを維持して出力されます。

Wordで設定したアウトラインレベル (1〜10段階) のブロック単位で比較します。(初期設定のブロック [比較単位] は段落 (改行) 単位)
自治体でも実際に活用されており、導入事例が掲載されていますので、新旧対照表作成ツールの導入の経緯やメリットを確認できます。
レイアウトされている文書の差分を確認したい場合のツール
市報や帳票などのグラフィカルでレイアウトが複雑な書類で、差分を確認したいケースはありませんか?確認に多くの人手や時間がかかってしまっている場合は、専用ツールで作業を効率化できます。
また、自分で作成、もしくは他の人から支給された原稿が正しく反映されているか?を、確認したい場合のツールもあります。
Proof Checker PRO
非常に高機能なPDF比較ツールです。文字情報はもちろんレイアウトされている画像の一部が違っていても、的確に変更箇所としてマークされます。

Collate Pro
Wordで作成された原稿と、市報などレイアウト済みのデータを比較したいケースに活用できます。

新旧対照表の作成に課題をお持ちでしたらご相談ください
新旧対照表作成に便利なツールのご提案をいたします。どのツールを導入したらいいかわからない、実際にどのように使うのか見てみたいなどございましたら、個別デモ会を定期開催しておりますのでぜひお申し込みください。 疑問点などのご質問、お見積もり依頼などは随時承っておりますので、フォームよりお気軽にお問い合わせください。