ダイスケリチャードさんの仕事場は、都内のとある閑静な住宅街。サイト運営スタッフがお邪魔して、本気のインタビューをさせていただきました。独立を決めたきっかけ、イラストの発想の源、日本人であるダイスケさんが、ダイスケリチャードという名前で活動されてる理由とは?
ファンなら必読のインタビューです!
小学生・中学生くらいのときはイラストレーターになりたいと思って絵を描いていたんですけど、イメージ的に食べてくのは厳しい世界かなと思いました。
デザイナーであれば有名にならなくても、ちゃんと仕事をこなしていれば食べていけるかなと思い、高校くらいからデザイナーを目指しだして、デザインの専門学校を卒業後、デザイナーとして就職しました。
イラストレーターになる明確なきっかけはなくて、人に勧められて趣味で描いていたらそのまま職業になった感じですね。
土日はイラストレーターとして活動していたんですが、収入が本業のデザイナーを上回ることもありました。「これならイラストレーターで生活ができるな、独立しちゃおうかな」と思ってした感じですね。
そうですね。
2018年に入って雑誌『MdN 』さんの表紙をやらせてもらったり、個人的な画集を出したりしました。すると、そういったことができたことで、僕のイメージにある『イラストで食べていける人』になれている気がしました。
2018年の8月に独立するときには、もうある程度は仕事をいただける状態だったかと思います。
知っていたのは本当に仲のいい数人だけですね。基本は副業禁止の会社だったので内緒にしていました。ただ、そういった人にも『ダイスケリチャード』という名前は隠して活動していました。本名がダイスケなので本名に近い名前で活動しているよくらいは伝えていたら、一人に見つかって、じゃあもういっかという感じになりました。
本名プラス何かで活動したかったんです。で、その何かを考えるときに、適当に検索しまくって一つも検索に引っかからなかったワードを選びました。ウェブの検索結果で一番先に自分の名前が出るようにしたかったんです。
生活面や金銭面ではないですね。ただ独立前に勤めていたのが結構大きい会社だったので、仕事が役割分担されており、業務上のやりとりなど、社外の方と仕事面のお付き合いがほぼありませんでした。なので、現在は仕事のメールのやりとりなど、イラストを描くこと以外で苦労することが多いです。
TwitterやInstragramなど、SNSから入ってくることが多いですね。ただ基本、仕事を受けるのは企業からだけで、個人からの依頼はお断りしています。最近、画集を出したので、その話題をきっかけに名前が挙がるようです。最近ではイラストを採用いただいたアーティストさんのPVが、ちょくちょくTVやCMで流れたりするので、それが宣伝になっていることも多いですね。
むしろ頻度を下げるようにしています。僕自身がそうなんですけど、好きなアーティストでも発信頻度が高いと、情報を見逃してしまうことが多いんです。基本的には1日1〜2回くらい、1週間あいてもいいので余計なことは言わないようにしています。
オフィシャルとは別に普段使いしているアカウントがあるので、ちょっとしたことはそちらで発信して、重要なイベント告知などが雑談などの情報に紛れないように気を使っています。
今では絶対に受けないですが、過去には2日で納品した経験があります。信頼していただいたので、ラフと完成品だけでいいと言われて。ラフを依頼当日にあげて、翌日に完成品を納品しました。
普通は人物一人で1週間程度です。基本は10日くらいいただいています。
もともとはPCでペンタブレットを使っていました。あるとき「先輩がiPadを購入したのを自慢されて羨ましいし、買おうかと思っている」という話を父親にしたんです。ちょうどその時、父親の会社のロゴを作っていたり、自分の誕生日が重なったりといったタイミングだったこともあり、父親が買ってくれました。使ってみたら自分にしっくりきました。
そうですね。ある時期からわかりやすいというか、特徴的だと言われるようになってきました。だた特にそれを意識はしていませんでした。
実はめちゃ面倒くさがりなんです。例えば、顔を描くのが面倒くさいとか苦手とかから逃げた結果、顔を描かなくなりました。できるだけ短い時間でちゃんとしたものを描きたいけど、手抜きには見られたくないので、ごちゃつきはこれくらい配置しておけば最低限見えるようなるかなというところをやっていたら、現在のスタイルになったという感じですね。
試しはします。ただ、簡単に触ってみて、5分10分で合わないと思ったらもう一生使わない感じですね。
ルーティーンワークではないですが、好きな深夜ラジオがある日は、日中は何もしないで、深夜にそれを聴きながら仕事をします。僕の場合、作品に漢字のモチーフを入れたりしますが、何も思い浮かばない場合は、ラジオで流れていた言葉から拾って描いちゃおう、とかあります。誰もわからないですけど。
例えばおでんの話をしていたら、「じゃあ、おでん描いちゃえ!」みたいなノリで、ラジオを発想の源として活用しています。気に入ったラジオがないときは動画サイトなどの動画をBGM代わりに流すこともありますね。何か鳴っていたほうが集中できます。サラリーマン時代でもラジオを聴きながら仕事をしていました。
インスピレーションでいうと、外出時に他の人を見て、この服装好きだな、と思ったら、スマホにその服の組み合わせなどをメモしています。別にそれを絵にしようという感じではなくて、単純に好きだなと思って見ている感じです。それを見て、誰かに向けて描いているというよりは、自分の好きなものを描いている感じだったりします。
髪ですかね。髪の流れとかを描くのが好きです。実際の人をモデルに描いたりすることもあります。ボブヘアーが好きだなと思ったら、そのとき描きたいイラストの最大源のモチーフとなる人を探して描いたりします。ボブヘアーの最高傑作、みたいな人を画像検索して、出てきた人から選んでいます。
二人だけいます。一人目は漫画家の『武井宏之』さんです。僕は、物心ついたときから、絵を描くのが好きで、どちらかというと物の模写とかが多かったんですが、イラストっぽい、アニメとか漫画風になったきっかけがこの方でした。
小学校1年生くらいに親と本屋に行ったとき、平置きされていた『シャーマンキング 』の15巻の表紙がとにかくカッコよくて、「もうこれしかない!」と思って15巻から買いました。それから漫画っぽいイラストも描けるようになったので、イラストレーションの分野に飛び込むきっかけになったのが武井浩之さんです。
最近だと『出水ぽすか 』さんです。週刊少年ジャンプで『約束のネバーランド』 を描かれています。連載が始まる前から、ウェブで1日1枚くらい絵を投稿されていました。
一見、ごちゃついていて線が荒いようで、それでいて綺麗に見える画風がめっちゃカッコいいんです。こんな絵が描きたいと思って、僕も1日1枚描いたりと一時期、真似をしていました。でも、全然できなくて、逆に削ぎ落としていった結果、全然違う現在の画風になりました。
趣味で描く絵には、パッと見たときに一つだけ何かフックになるポイントを入れるようにしています。どこかに違和感を感じるところとか、「なんでこれにこれを合わせたんだろ?」みたいな。入れるものも、描いているときにお茶のペットボトルが目に止まったら、それを頭に乗せちゃえみたいなノリです。
僕の場合はその質問の趣旨と、あまり合っていないタイプの人間かもしれませんね。画力を高めたとか、どこかで習ったとか、本を買いあさったとかは一切なくて、描きたいように描いていたら、認めてもらえたかも、という感じです。あらためて話すと、なんか自分むかつきますね。
○○さんの絵を真似して描いた、という方とかよく見ますけど、そのあとが難しいですよね。まあ、僕も憧れた人の画風を真似してなれなかったクチなんですけど(笑)。僕のはシンプルなので、真似しようと思えばなれると思うのですが、やはり同じものを描いてもしょうがないですよね。
真似るにしても、どこかを削ぎ落として自分のオリジナリティーをそこに埋めて、別物に仕上げていけばいいんじゃないかと思います。
服をつくってみませんか?という、オファーを企業にいただくのですが、いままでは僕のイラストをプリントしただけの服の企画が多かったんです。やってみたいのはプリントではなくて、イラストに出てくる服、そのモチーフ自体を作ることだったんですが、実は最近それも叶えることができました。
ただ個人的にはイラストレーターが他のことをやるって、正直あんまり好きじゃないですよ。鼻につくじゃないですか、ブランドを持ったりとか(笑)。だから、本業を食わないようにバランスをみてやっていく必要があるなと思います。
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本日はありがとうございました。
デザイナーとして活躍されていた時期を経て、イラストレーターとして独立されたダイスケリチャードさん。直感を大切にしたイラストレーションを描かれているそのスタイルは、基本的なデザインスキルのベースがあるからこそだと思いました。
さらなる今後のご活躍を期待しています!