企業の「成長の壁」とは?
企業の成長において、30人の壁、50人の壁、100人の壁……という言葉をご存知でしょうか。一般的に従業員数が「30人」「50人」「100人」を迎える前後で、経営者はさまざまな課題に直面すると言われています。これはいわば会社の「成長の壁」。どの会社にも起こり得る課題を先読みし、事前に手を打つことが大切です。
企業の成長に伴う課題例 - 1
30人の壁
目が行き届かない
30人前後から、経営者1人でのマネジメントが難しくなります。経営者以外は全員横並びという「フラット型」の集団から、「ピラミッド型」の組織に変換が迫られる時期です。
対策例
レポーティングラインの整備
経営者以外のリーダーを立て、レポーティングライン(企業や組織の中で業務報告や意思疎通を行う際の系統のこと。 )を整えます。同時にデザイン制作用に情報共有ツールの導入をおすすめします。情報共有には、アイディア出しや課題解決のためにコミュニケーションを図るためのものや、機密ファイルや画像データをセキュアにやりとりするためのものがあります。
バックオフィス機能や評価制度の整備
経営者1人が、人事・総務・経理・システム管理など、あらゆるバックオフィス業務を兼任されてはいませんか。組織化していく中では、バックオフィス機能や評価制度の整備が必要になります。
また、少人数なら無償のITサービスをすでに利用していた場合、30人を境に有料プランへの移行が必要になってきます。法人向け契約のメリットはサービスによってさまざまですが、多くは管理や決済の業務を軽減させることにあります。
個人管理から、会社としての管理運用へ
「個人」ではなく「会社」に紐づいたツール運用に切り替えましょう。会社規模のさらなる拡大に対応できるか、当面はある程度小回りのきく会社規模で経営するため、コストを抑えて利用できるシステムかなど、将来を見越したツール選定が重要になります。
業務情報の流れを会社として設計・整備する。
企業の成長に伴う課題例 - 2
50人の壁
経営者と社員の距離が遠くなる
徐々に「ピラミッド型」組織の階層が深くなります。各部門で生まれたばかりの組織長が「マネジメント」に直面し、マネジメント不全を起こしやすい時期。また急激に数十人の新規入社者が加わると、いままでの背景が共有されていないメンバーに対して、経営者の価値観や意向をどうやって社内浸透させるか頭を悩ませます。
対策例
ミドルマネジメント層の強化
一般的に、ITツールや研修などの解決策が挙げられます。しかし、すべての会社に効く特効薬があるわけではありません。経営者としてミドルマネジメント層の育成、もしくは採用に集中できるような体制を整えましょう。
社内ITルールの整備
クライアントから求められるコンプライアンスの基準が変化してきます。少人数では「モラル」や「道徳」で運用していた物事に対して、コンプライアンスに基づいた明確な社内ルールの設定・運用が求められます。社内ITルールの明確化とともにセキュリティの高度化を図りましょう。
ITインフラ/執務スペースの強化
人数が急増すると、ネットワーク回線が遅くなる、執務スペースが手狭、など社員が職場環境にストレスを感じることが多くなってきます。ITインフラに加え、ミーティングスペースの確保など、快適なファシリティの整備を図るべきです。オフィス移転はただ広くしたいというだけではなく、働きやすい職場とは何か?という視点を持つことが重要です。また、スケール変化が急すぎて、折角こだわった内装が無駄になるケースもあります。オフィス移転は計画的に取り組みましょう。
マネジメントの体制とファシリティ環境を整備する
企業の成長に伴う課題例 - 3
100人の壁
コミュニケーションの複雑化
100人企業ともなると、マネジメント層、リーダー層は数十名以上となります。人数が増えると意見に多様性が生まれる反面、意思決定が遅くなる場合があります。また、これまで成長を牽引してきたコアメンバーの離脱が重なりやすい時期でもあります。
対策例
分業化
さらなる事業拡大を見据えるならば、専門部署を設置した分業化が必要です。しかし一般的に分業化によって、コミュニケーションコストは上がります。ファシリティ以外にも、社員のモチベーションの維持や情報交換しやすい社風作りなどに、より配慮が必要になります。
各分野に専門家/プロを配置
経営者の立場からすると「内部統制が気になる」「人事制度を再考したい」「社内システムを整備したい」といった諸課題が顕著化してきます。各分野にセキュリティや人事などの専門家を配置し、経営者自身は「経営」に注力できるようにしましょう。
大規模かつ専門性の異なる組織のコミュニケーションをスムーズにする