株式会社キャピタル・アセット・プランニング様は、金融業界に特化したシステムインテグレーターです。金融フロントエンドシステムのパイオニアとして、創業からFT(Financial technology、金融工学)とIT(Information technology、情報技術)の統合を掲げてきました。2年連続で全世界FinTech Top 100にランクイン(※)するなど、グローバルでも高い評価を得ています。
今回、Tooのデジタルマーケティング講習のメニューの一つである、カスタマージャーニーマップ(CJM)制作講座をカスタマイズし、
4日間の企業研修としてご受講いただきました。
なぜ、システムインテグレーターである同社がマーケティング研修を導入したのか、その経緯を伺いました。
生命保険会社などの金融機関、会計事務所に独自のITシステムを提供
弊社は「金融機関向けシステムインテグレーション」と「資産管理プラットフォームの提供と相続・事業承継コンサルティング」という大きく分けて2つの事業を手がけています。
金融機関向けのシステム開発では、生命保険会社向け開発のシェアが大きく、いま国内に生命保険会社が43社あるうちの19社は我々が開発したシステムをご利用いただいています。これはライフプランナーが生命保険の設計をする際に使うシステムです。お客様の希望をヒアリングしながら、万が一、世帯主が亡くなった場合に必要な保障額、そのために必要な終身保険の月額保険料などをシミュレーションできます。
また、統合資産管理プラットフォーム「Wealth Management Workstation」の提供と、このシステムを利用した事業承継、財産承継、相続対策コンサルティングを展開しています。このシステムは、お客様の金融ポートフォリオを可視化することで、現状の課題を把握しやすくするものです。70ほどの会計事務所が利用しており、銀行証券、金融機関にはカスタマイズして提供しています。
受託開発から、マーケティング活動の一部としてのシステム提案へ
お客様を呼び込むための提案が必要に
近年、金融業界の環境が変わり、我々に求められるコンサルティングのテーマが変わってきました。これまではシステムを使うのは依頼者=顧客であり、弊社ではその要望にあわせてシステムを提案・開発すればよかったのですが、現在は「お客様を店頭に呼ぶ戦略を提案してほしい」と、顧客の要望がマーケティング要素を含めたものに変わってきました。
というのも、20代〜30代のお客様が金融機関の店頭にいらっしゃらなくなり、窓口販売の商品をご紹介できないことが課題になっているからです。そこで、スマホアプリで店頭へ誘導するような施策が必要になりました。
しかし、多くの金融機関のスマホアプリは、振替や決済、入金操作くらいまではできますが、世界的に見てもアプリを通じてお客様を店頭に呼び込んだという成功事例はまだ少ないようです。また、投資信託など各人のニーズに基づいた最適な商品を、お客様自身でアプリ上で選んでいただくこと自体も、それとは異なる難しさがあります。
そこで、まずは「金融機関は、お客様を呼び込むマーケティングのどこに悩んでいるのか」を知るために、ユーザー視点や導線を把握する方法(カスタマージャーニーマップの制作)を学ぼうというのが、今回の研修実施のきっかけでした。
我々のビジネスを理解して、研修内容をカスタマイズしてくれた
研修で制作したカスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーマップ制作に関する書籍はたくさんありますが、まず実際にゼロからイチをつくる体験をした方が理解が早いだろうと、研修という形を選びました。プログラマーの7割方がカスタマージャーニーマップという言葉自体を知りませんでした。
Tooを選んだ決め手は、研修内容をカスタマイズしてもらえる点です。我々も初めての開催だったのでさまざまなアドバイスをいただき、弊社社員のレベルにあわせてプログラムを組んでいただきました。講義内容の調整までご対応いただける企業様は他にありませんでした。
講師の方に、我々のビジネスや商品をご理解いただいた上で、カスタマイズした研修を展開していただけたので非常によかったです。全4回の研修で、後半の2回は「生命保険の加入」「投資信託の購入」「全体資産管理」という具体的なテーマに対して実施していただきました。
マーケティング視点を持つ重要性を感じられた
研修にはコンサルタント、グラフィックデザイナー、プログラマーの他、管理職のメンバーも含め30名ほどの社員が参加しました。研修を通じて「こうやって顧客の導線を考えるんだ」ということを初めて知ったメンバーも多いです。社員同士がグループで相談しながら真剣にテーマに取り組む様子を見て、成果云々の前にマーケティングやユーザーの導線を考えることに興味をもってくれたことがよかったです。金融商品のマーケティングはどうあるべきなのか、そのゼロイチを知ることができました。
顧客ではなく、ユーザーのニーズを知る必要性に気づいた
生命保険のライフプランナーのためのシステム、証券会社の投資信託を販売するためのシステムなど、我々は長年、プロフェッショナルのためのシステムをつくってきました。そのため、これまでは金融機関の向こう側にいる、生命保険の契約者、投資信託を購入する個人投資家のニーズに基づいたシステムはつくってきませんでした。ところが、今後やろうとしているスマホアプリの世界では、ユーザーはインテリジェント・アドバイザー(金融機関販売員)ではなく、インテリジェント・インベスターである一般の方々(ユーザー)です。
ビジネスに対してどう成果があるかはまだこれからの話ですが、ライフプランナーが持ち歩くPC用に作っていた画面を小さくするのとはまったく違います。自分自身がユーザーになったときに「わかりやすい画面」を作らなくてはいけない、そう強く認識が変わったと思います。ユーザーの気持ちに基づいて画面を設計していくヒントを得られました。
※「IDC FinTech Rankings Top 100」より(2017年92位、2018年88位)
今回のキャピタル・アセット・プランニング様のおもな研修目的は2つありました。
一つは、ペルソナを設定しカスタマージャーニーマップを作り、ユーザーシナリオ付きで提案できるようになること。
マーケティングを行う上で、顧客体験の質はとても重要です。既にカスタマージャーニーマップは、キャピタル・アセット・プランニング様の社内でも作ってみようという意見が出ていたようです。
カスタマージャーニーマップを作成する目的は、顧客がどのような時にどのような感情でどのような行動を取ったかなどの、サイトでの導線を可視化することです。それによって、CX/UXの向上や顧客インサイト発見の手助けになり、より効果的な施策を打つことができるようになります。そのような理由から問い合わせが多い研修メニューの一つです。
もう一つは、社内コミュニケーションを取ること。参加者が30名弱あるということもあり、カスタマージャーニーマップを作成をする際はグループワークを組み込み、他部署の方々とコミュニケーションをとれるようにしました。
今後も、キャピタル・アセット・プランニング様の課題を解決できるよう、さまざまな研修をご提案していきたいと思います。
※記載の内容は2019年6月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。