制御システムで業界をリードするグローバル企業、横河電機株式会社。マニュアル制作環境をXMLベースのシステムに刷新したことがきっかけで、Proof Checker PROをご導入いただきました。
最先端のマニュアル制作現場でのProof Checker PROの活用についてお話を伺いました。
制御分野のリーディングカンパニー 横河電機
石油精製や石油化学などのプラントの生産工程をセンサーで監視し制御する生産制御システムや、安全計装システムのマニュアルを制作・管理しているのが、今回話を伺ったIAプラットフォーム事業本部グローバル開発センタードキュメント技術部の若林正氏です。
生産制御システムは複雑なシステムのため、そのマニュアルは1万ページを超えるものもあり、現在はほとんどのマニュアルがXMLベースのシステムで作られています。このマニュアル制作の現場で、PDF校正ソフトProof Checker PROがどのように使用されているのか、貴重なお話を聞くことができました。
ソースデータが異なるPDFを照合するのに、Proof Checker PROだけが我々の要求に応えられるものだった
Proof Checker PRO導入のきっかけ
マニュアル制作の環境をXMLベースのシステムに刷新することになり、新たにXMLから自動組版で制作したPDFと、従来のInDesignで制作したPDFを照合する必要がありました。そこで、PDFを照合するソフトウェアの中から機能を比較・検討し、Proof Checker PROを選びました。
ソースデータ(書き出し元のアプリケーション)が異なるPDFをAcrobat Proの標準機能である「文書を比較」で比較すると、最初の相違点以降がほとんどハイライトで表示されてしまうような状態で、相違点に限定したチェックができませんでした。他の一般的なPDF比較ソフトウェアも同様であり、Proof Checker PROだけ我々の要求に応えられるものでした。最初はTooさんに貸し出しをしていただきました。それにより社内で実証し、上司を納得させる材料を揃えた上での導入となりました。
現在のマニュアルは日本語と英語の2言語ですが、中国語で使いたいというリクエストも社内からあったので、中国語を含む多言語に対応しているところもProof Checker PROを導入した理由のひとつでした。
PDF互換ソフトウェアがバージョンアップされるときの相違点のチェックにも、Proof Checker PROが役立っている
Proof Checker PRO導入の効果
Proof Checker PRO の導入のきっかけとなったマニュアルは、日英合わせると2万ページを超えるものだったため、目視で全てをチェックするのは非常に困難でした。Proof Checker PROではソースデータが異なるPDFのテキストを完全に比較チェックしてくれるので、目視の確認作業に比べて大幅な時間短縮と業務の効率化につながりました。品質保証の担当者に「2万ページを超えるマニュアルを目視で確認した」といっても納得してもらえませんが、Proof Checker PROで確認したということが、品質保証の観点で納得してもらえる材料にもなります。
今でもInDesignで制作したマニュアルを取り扱いますが、InDesignのバージョンの違いでカーニングや行送りが変わってしまう場合が結構あります。例えば、表の欄内に1行で収まっていた文章が、1文字だけ落ちてしまったりするような場合です。以前はそういった違いに気付かないこともありましたが、Proof Checker PROのおかげで判別できるようになりました。そのため、PDF変換ソフトウェアのバージョン違いに対するチェックを他部署から依頼されることもあります。
現在はXMLベースのシステムとなり、XMLからPDFに変換するソフトウェアを使っていますが、このソフトウェアでもバージョンアップでカーニングやトラッキングの設定が変わってしまうことがあります。そういったバージョンアップ毎の相違点チェックにもProof Checker PROは役立っています。また、導入効果ではないのですが、Proof Checker PROの照合結果が左右に並んで表示されるところも直感的で気に入っています。
Proof Checker PROでの照合で、思わぬミスも発見可能に
マニュアル制作現場の活用方法
導入のきっかけとなった、1言語が1万ページを超えるマニュアルは、1冊が約300ページ、合計40冊程度のPDFファイルで照合しました。Proof Checker PROでは照合度合いの設定ができるので、各マニュアルに対して最適な設定を適用しました。画像についてはうまくいかなかった部分もありましたが、テキストについては問題なく照合結果を得ることできました。
現在のXMLベースのシステムで制作したPDFはソースデータが同じなので、テキストも画像も問題なくチェックできています。Proof Checker PROでの照合結果は印刷機能でPDF変換できるので、PDF Readerで照合結果を確認できます。そのため担当ライター自身で照合結果を確認するのが主な使い方です。Proof Checker PROを導入してから、一括文字置換をして余計なところまで変わってしまったというような、思わぬミスも発見できるようなりました。
Proof Checker PROへの要望
照合結果に差異のあったテキストの抽出や文字数のカウント機能があると良いと思います。たとえば各マニュアルに仕様変更があった場合、どれくらいの変更量があったかを計測して管理したいという要望もあるからです。比較する文章を100%として「変更なし○%、追加○%」のように変更された内容の比率を表示できるといいですね。また、海外の拠点で作業をするというケースもあるので、英語版のインターフェイスも作ってほしいです。 他に、現在独自の自動化ツールを使って操作を自動化させているので、Proof Checker PRO自体に自動化機能があれば便利だと思います。
XMLをソースにしたシステムを導入したおかげで、PDFだけではなくHTMLなど様々な出力へ展開可能に
横河電機が取り組むXML ベースでのマニュアル制作
現在、当社で制作するマニュアルを紙で出力するケースは、以前に比べ格段に減っています。多くの場合、マニュアルはパソコンを使ってブラウザまたはPDFで読まれています。紙のマニュアルではなく、ブラウザやPDFの利点は、検索機能からの直接リンクが有効な機能ですね。多くのお客様は、困ったことがあると、まずは検索するようです。今後もマニュアルを読む際に「検索して調べる」というマニュアルの使い方が主流であると考えています。
コンテンツ管理については、我々の部署で扱っている生産制御システムが当社でも一番規模が大きい製品のため、XMLベースのシステムでデータベース管理しています。このシステムで出力されるマニュアルは、ブラウザで表示する電子マニュアル(XML)とPDFの2種類があります。
XMLをソースにしたシステムを導入したおかげで、PDFだけでなくHTMLなど様々な出力へ展開しやすくなりました。お客様がブラウザ、タブレットなどでマニュアルを見るケースを考え、今後はPDF以外の出力への対応もますます増えていくと思います。しかし、どんなソースデータからでもPDFにすることは容易であり、PDFは便利なフォーマットだと感じています。Proof Checker PROでデジタル校正が行えるという点で、今後もPDFは扱っていくでしょう。
横河電機株式会社
〒180-8750 東京都武蔵野市中町2-9-32
1915年の創立以来、計測、制御、情報技術 を軸に、最先端の製品を産業界に提供し、社会の発展に貢献しています。今日では制御分野のリーディングカンパニーとして、グローバ ル市場で高い評価を受けています。
グローバル企業で歴史のある横河電機様にProof Checker PROを採用いただけたことに大変感謝しています。
また、汎用の組版ソフトウェアだけではなく、専用のシステムで作成しているマニュアルの校正にも対応できたことを知り、Tooオリジナル製品であるProof checker PROの販売活動に自信と誇りを感じました。
横河電機様からは製品の仕様だけではなく、販売形態にも貴重なリクエストやヒントをいただいており、繁忙期や期間限定使用に対応できるLE版の商品化にも繋がりました。
今後も製品マニュアルはもちろん、様々なドキュメント製作の効率化に役立つソリューションを引き続き提案をさせていただきたいと思っております。