愛知県中南部に位置する西尾市は、西に矢作川が流れ、南に三河湾を臨む、人口17万人の都市です。「西尾城」などの歴史的な史跡も点在し、豊かな自然と文化に囲まれています。市民のくらしを支える西尾市役所様では、令和7年度に控える基幹業務システムの標準化に備え、納税通知書などの帳票の校正を、ミスなくおこなうために、デジタル校正ソフトウェアの「Proof Checker PRO」を導入されました。導入の背景や効果を、総合政策部 情報政策課 課長補佐の越野弘幸様に伺いました。
令和7年度までに基幹業務システムを移行。納税通知書などの様式も変更
私が所属する情報政策課では、基幹業務システムの開発や管理・運用、社会保障や税番号制度に関連する業務、情報政策を推進する上での企画などを担当しています。
今後の動きとして、各地方公共団体が使用している基幹業務システムを全国で統一するために、国から標準準拠システムへの移行が求められています。住民基本台帳や国民健康保険などの20業務のシステムが該当します。
それに付随して、市民税や国民健康保険、軽自動車税などの帳票も、国から示されている標準仕様書に示された様式に変更する必要があります。これらの帳票はこれまで市民の皆さまが見やすいように、自治体ごとに独自のフォーマットを適用しているものがありました。標準準拠システムへ移行すると、記載内容はもちろん、枠の大きさや位置、帳票自体のサイズなどが変更される予定です。
重要な書類である帳票を目視で校正するには限界があった
帳票には、基本となる項目がテンプレートのようにあらかじめ印刷されている、プレ印刷というものがあります。プレ印刷の空欄部分に、数字や名前などの個別の情報を入力し、市民の皆さまに送付します。プレ印刷の作成と印刷は外部の業者に委託しており、その校正を各担当でおこないます。
標準準拠システムの移行に向けて、変更が加わる帳票は何百種類と発生します。そうした帳票のすべてを担当者による目視で校正することは、膨大な時間と労力がかかるのではないかと懸念していました。
また、通常業務においても、委託業者が作成した帳票の校正が各業務ごとに年に何回かあります。修正箇所は、年度や制度改正に伴う文言の変更、税率の変更などが多く、特に税率などの数字は間違いが許されないため担当者は神経を使います。さらに、8枚綴りになっている納付書もあり、膨大な量を校正する場合もあります。
業務ごとに複数人でチェックをしていますが、修正を繰り返すうちに、意図しない部分が変わっていたこともありました。人の目だけで校正をしていると、思い込みによってミスを見逃したり、修正箇所以外の全体のチェックに時間を十分に割けないこともあり、校正をデジタル化できるツールを探していました。
使いやすさやローカルで動作する点が魅力。現在は通常業務で発生する校正に活用
Proof Checker PROを知ったきっかけは展示会です。実物を見たところ直感的に使いやすい製品だという印象を受けました。また、主に個人番号利用事務系の業務での利用を予定しているため、外部のネットワークに接続せずに動作する点も魅力でした。USBキー認証をPCに差し込むことで利用することができ、差し替えればどのPCでも使用できます。
導入後は、検査したい帳票のPDFデータをProof Checker PROへアップロードし、ボタンを押すだけで校正できるようになりました。現在はシステム移行に関する業務は準備段階のため、通常業務で発生する納税通知書や納付書のプレ印刷などの校正に活用しています。
校正作業では、修正前と後のPDFを比較しているのですが、「自動あおり機能」で新旧のデータをパラパラ漫画のように表示できるうえ、合っている部分は薄く表示されることから、視覚的にとてもわかりやすいです。人間の目で何回も確実に校正をすることが難しい場面で、とても役に立っています。
校正にかける時間が1/12に削減。目視では確認できないデータ上のミスも検出
これまでは1つの帳票の校正に1時間はかかっていましたが、Proof Checker PROでは5分もかからずにおこなうことができ、精度も十分です。以前、3校〜4校と修正が進んだ途中で新たなミスが発生したことがありました。20ページ以上ある書類のとある1ページの見出しに意図しないスペースが入っていましたが、きちんと検出されましたので驚きました。
また、予想以上の効果も発揮しています。新旧のデータを比較していた際に、目視だと異常はないデータに差異が検出されました。どこが違うのか調べてみたところ、なんと透明なレイヤーがデータ上に入っていました。目視では判別できない差異もきちんと検出されることから、ミスを見逃したらどうしようという職員の心理的な負担も軽減できています。
庁内業務のDXに向けてさまざまな場面での活用を目指す
Tooのサポートには、トライアルのときに半日ほど丁寧にレクチャーをしてもらいました。製品自体の使い方もとても簡単だったので、導入後はトラブルなく使用できています。Proof Checker PROの費用対効果についてはとても満足しています。
標準準拠システムへの移行での活用は、今年度末頃から始まる予定です。標準準拠システムへの移行に合わせて作成されるプレ印刷の校正で、具体的には初稿と修正稿の比較などに活用します。修正は複数回おこなう予定で、今後1年の間に作業が一気に集中することから、職員の負担を軽減してくれるものと期待しています。
西尾市では庁内業務のDXを推進しているため、Proof Checker PROの新たな活用用途を探していきたいです。例えば予算編成の策定時期になると、各課が予算見積書を作成する際に、赤字修正をおこない、提出資料として大量の書類がカラーで印刷されます。予算見積書のPDFをProof Checker PROにかけるようにすることで、修正箇所をすぐに判別できるようになり、その間のカラープリントの出力は減ってペーパーレスにつながると考えています。今後もデジタル化できる部分はツールを活用して、本来専念するべき業務に時間を費やせるように、うまく仕組みを構築していきたいと考えています。
※記載の内容は2024年8月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。