学習参考書、教育書や旅行ガイドなど数多くの出版物を手がけ、DTPをメインとしたコンテンツ制作会社である株式会社明昌堂。東京本社で営業、製版と制作の一部を担い、ほとんどの制作は新潟支社で行うという体制を取っており、本社・支社合わせて3ライセンスのProof Checker PROを導入いただいています。
今回は、Proof Checker PROを取り入れた社内ワークフローを作成するなど、同社でのProof Checker PRO活用の牽引役となっている、新潟支社の技術開発課課長・本田真規様にお話を伺いました。
明昌堂様の業務内容について
当社は昭和46 年に手動写植業として設立し、電算写植を経て、今日の多種メディア対応のDTPをメインとしたコンテンツ制作会社です。
主なクライアントは大手出版社と印刷会社です。主要な制作品目は学習参考書、教育書で、ほかにも実用書、専門書、ムック・旅行ガイドなど様々な出版物に携わっています。
Proof Checker PRO導入のきっかけ
導入のきっかけは、校正ミスによる事故が起きたことです。
修正指示の赤字が入っている箇所ではなく、指示のない箇所で意図せず変わってしまった事故でした。人間の目で見て校正するだけでは限界があると感じました。
また、クライアントの指示でProof Checker PROによるデジタル校正が前提の仕事が発生したこともあって、2011年11月に新潟支社に1ライセンスを導入しました。
Proof Checker PROを中心に据えた校正ルールの転換
導入後の取り組み
導入当初は、従来のアナログ的な校正作業から抜け切れないためか、Proof Checker PROでのデジタル校正になじめず、社内での活用がなかなか進みませんでした。そこでProof Checker PROを使うことを前提としたワークフローを考え、全社に広めていきました。
校正のために先にPDFを作成することが手間に感じられることもありましたが、事故を防ぐための取り組みとして進めていくうちに、少しずつ社内でProof Checker PROを使用する頻度が高くなりました。
今回、社内の校正ルールを大きく変更し事故を防ぐことを最優先し、可能な限りProof Checker PROで比較検査を行うことを定めました。使用頻度の高まりに伴い、2014年6月に新潟支社で1ライセンス、東京本社で1ライセンスの追加購入に至りました。
ワークフローについて
現在Proof Checker PROをどの段階で使い始めるか、また、どのようなケースで使用するかなどの判断基準は社内で検討する中でようやく固まりつつあります。これまでは最終納品物となるPDF に対してProof Checker PROを使用していましたが、それだけにこだわらず今後も最適なワークフローを試行錯誤して構築していきたいと考えています。
増刷の修正や年度毎の改訂も
Proof Checker PROなら機械的に差分チェックできて安心
実際の書籍での使われ方
旅行ガイドなどの出版物で情報量が多く複雑なものは、早い段階でProof Checker PROを使用すると、相違点が多すぎて見づらくなるので、修正が減ってきたタイミングから使用するようにしています。
情報誌では、増刷されたときの修正や年度毎の内容の改訂がありますが、Proof Checker PROがあれば差分を機械的にチェックして新旧ファイルを確認できるので、いざというときにも安心ですね。
実用書の中で、文章が多く、単純なレイアウトのものは、キャリアが浅いスタッフにまかせる場合があります。校正では、Proof Checker PROを利用することでスタッフのキャリアの差で起こるミスを防ぐことができます。
また、英語の教材は合成フォントを使うことが多いのですが、InDesignでは合字に関するトラブルが起きることがまれにあり、人間の目だけではチェックしきれない部分なのでProof Checker PROが大いに役立っています。
意図しない赤字以外の変更点を見つけるのが
Proof Checker PROの良さ
Proof Checker PROの導入効果
現在Proof Checker PROをメインで使っているのは、品質管理課の校正者2 名ですが、制作スタッフもProof Checker PROを使うよう意識付けしています。通常、自分で制作したものを厳しく校正するのは難しいのですが、Proof Checker PROなら、機械的にチェックしてくれるので人為的ミスが起きにくいです。
校正担当の手を介さず、制作スタッフ自ら使用して校正することで業務のスピードアップにもつながっています。
修正の赤字が入った部分は人間がチェックしますが、データの不具合で起きる予期せぬ変化など人間が見逃すところを見つけてくれるのが、Proof Checker PROの良さであり、導入効果として一番期待していたことです。
引き続き導入効果を測定していきたいと考えています。年間でミスによるクレームがどれだけ減ったかといった効果測定でどのような結果が出るか、非常に楽しみです。感覚的には、Proof Checker PROを導入することで期待していた効果は十分実現できていると感じています。
品質を守る重要な工程として
Proof Checker PROを紹介したレポートを営業活動にも利用
デジタル検査しているということが営業ツールにもなる
Proof Checker PROでデジタル検査しているということが、営業活動においてお客様とのきっかけ作りに役立っている面もあります。
当社のホームページにも載っているのですが、「デジタル検査のご紹介」と題して、製版工程での検査を行うシステムである「Hallmarker」と責了前までの組版工程で使用しているProof Checker PROとを、当社の品質を守る重要な工程として紹介したレポートを作り営業活動にも活用しています。
問題点と課題
Proof Checker PRO での作業に慣れてくると、チェックする人間が「いつも出ているあの相違点だろう」という先入観だけで、チェック内容をよく確認せずに見逃してしまう可能性も出てきます。そのような思い込みをなくす心掛けが必要です。それと共に、Proof Checker PROの設定をもっと細かいところまで最適化していく必要も感じています。また、文字もの/地図が多いもの/写真が多いもの、など用途によって設定を使い分けることも今後の課題だと考えています。設定をしっかり作っておけば、使う人による熟練度の差をなくしていくことにもつながるはずです。
制作環境について
最新のMac ProでProof Checker PROを動かしているので、速度的なストレスはほとんどありません。大半の場合、解析に待たされるという感覚はないですね。そのかわり、比較するPDFファイル1組毎に解析の実行をしなくてはいけないのが手間になっています。
複数ファイルの解析がまとめて自動処理できるようになると、より快適になると思います。
常に最善のワークフローを目指し、日々研究を続けていきます
さらなる環境改善へ
校正作業のとき、紙とモニターとの視点移動を少なくして疲れを軽減できないかを検討し、Tooさんに相談してWindows用のタッチパネルディスプレイで画面を寝かせて使用できるタイプのものを採用しました。このディスプレイを使用すると、画面の下に紙を置いて校正箇所を見比べられるのでとても便利です。
当社では、どんなに業務が集中している状況でも必ず納期に間に合わせることをモットーとしています。そういった過酷な状況を力技だけで乗り切るのではなく、機械でできることは極力機械に任せられるよう設備投資に力を入れています。
ワークフローの自動化や、Proof Checker PROによるデジタル検査などもその一環で、常に最善のワークフローを作るよう、技術開発課を中心に日々研究を続けていきたいと考えています。
株式会社明昌堂
〒141-0032 東京都品川区大崎3-9-10
昭和46 年設立の多種メディア対応コンテンツ制作会社。電算写植、DTP制作で培った日本語文字組版技術を追求し、主要制作品目の学習参考書、教育書の制作では、その技術と独自の作業効率化ワークフローにより、低コストで高品質の書籍データを完成させています。
明昌堂様では当初、お客様の要望に応える形でProof Checker PROでの比較照合を始めていただきました。それが次第に明昌堂様の中で欠くことのできないフローと変わるほど活用が広がったことを、担当営業としてとてもうれしく誇りに思っています。
普段の営業活動でも明昌堂様の成功事例を念頭に、ソフトウェアによって人の目では見落としがちになる変更、変化を自動的に検知し見逃さないProof Checker PROを提案していきたいと思います。
今回のインタビューを快くお受けいただき、詳細な実用方法についてのお話やお褒めの言葉もいただきまして貴重な体験となりました。