「教育の印刷・信頼の技術」を掲げる株式会社リーブルテック様は、教科書の印刷を中心に、企画編集、デザインから製本、配送にいたるトータルシステムによって教育用図書づくりに携わってこられました。
改訂や再版が多く、また品質の確かさが強く要求される教育用図書の校正作業にProof Checker PROをご活用いただいています。Proof Checker PROを導入されたきっかけや、導入の効果についてプリプレス本部プリプレス部組版課課長の中野氏、係長の桜井氏にお話を伺いました。
指示された修正箇所以外が変わっていないことを保証したい
Proof Checker PRO導入のきっかけ
中野氏:
教科書は4年ごとに大幅に内容が改訂され、文部科学省の検定が実施されます。そして発行後も毎年度、統計資料や科学的事実などの改訂が発生し、改訂した内容の検定を受けます。Proof Checker PROは「修正指示以外の箇所が変わっていないこと」を保証するために導入しました。内容に間違いがあってはならない教育用図書を多く扱うなかで、従来の人の目による校正に限界を感じていたからです。
TeX組版の強みを生かす
中野氏:
弊社ではAdobe InDesignの他に、大量の数式組版や定型レイアウトに有効なTeXという自動組版ソフトを採用しています。例えば数学の参考書には、膨大なページ数をぎっしり埋めるように数式表記があり、少数精鋭のチームで組版するにはTeXが必要不可欠だと考えています。その反面、自動組版の融通をきかせた調整やTeX独自のスタイルファイルなど、通常では便利な機能が裏目に出てしまうことがありました。オペレーターの操作ミスとは異なり、修正箇所とはかけ離れた箇所で、意図しない変更を引き起こしてしまうことがトラブルの原因となっていました。
桜井氏:
専門の校正担当者も、赤字の入った修正箇所の近くは注意深く確認しますが、別ページに修正の影響が出てしまった場合に、変更に気付くのはなかなか難しいものです。未然に発見されなければ品質事故につながりかねません。これをなんとか解決したいという課題意識がありました。加えて電子書籍に流用する際にもデータに差異がないことを確認したいという要望がありました。
見開きと単一ページの比較が、印刷工程をサポート
校正ワークフロー
リーブルテック様では、Adobe InDesignとTeXという複数の組版ツールを使用されています。Adobe InDesignの場合はダイレクトにPDFを作成し、TeXの場合にはAcrobat Distillerを使用してPDFを作成します。作成したPDFをEnfocus PitStopでプリフライトし、その後Proof Checker PROで校正しています。
Proof Checker PRO導入の決め手
中野
デジタル校正を調べるなか、画像比較ならば他にも多くのツールがありますが、文字をベースとして比較できるツールは、当時 Proof Checker PROだけ。ほぼ一択でした。
桜井氏:
導入にあたってはProof Checker PROの導入評価版を使って、事前に使用感を検証しました。実は以前にも導入を検討しましたが、サンプルテストで思っていた処理スピードが出ずに、導入を断念したことがありました。その後、バージョンが上がった際に再度テストを実施し、ワークフローの工夫によって大容量データであっても実用できることを確認しました。大容量データの一括校正に関しては、さらなるアップデートを期待しています。
印刷工程のなかで便利さを感じる場面
中野氏:
ページを指定する方法により、見開きページと単一ページとの比較を便利に活用しています。お客様が原稿を確認される段階では、完成形をイメージしやすい見開きページのカンプ(完成見本)でやりとりをしますが、製版工程に供給する最終データは、面付のためにそれぞれを単ページとして扱うためです。実際の運用では、両者の比較に加え、Enfocus PitStopでプリフライトしたPDFを、Proof Checker PROで検査することで、品質を確実に担保するようにしています。
※Enfocus PitStopは、制作・出版・印刷にまつわるPDFソリューションです。プリフライト機能によって、不正なカラーや低解像度オブジェクトなど、印刷データとしての問題点を検出することができます。
導入効果は「品質の担保」
DTPソフトの仕様変更による微細な差も見逃さない
Proof Checker PRO導入の効果
中野
導入効果としては、やはり品質を担保できることが大きいです。これまで校正担当者が目視で行っていた確認作業をデジタル化できただけではなく、実際に品質事故を未然に防いだこともありました。
桜井氏:
教育用図書では、6〜8年という長いスパンで、周期的に改訂するものもあります。Macが制作時のバージョンに対応していない事態が起こりえますが、お客様からすれば、昔の最終データを修正するという認識です。しかし、DTPソフトによってはバージョンによる仕様の違いにより、組版結果が異なる場合もあります。バージョン違いの影響について、従来の方法で全ページ確認することは非常に難しいことでしたが、今はこういった場合でも比較的、簡便に確認できるようになりました。
品質を保証する運用ルールを設定、無理なくワークフローに浸透
運用ルールを細かく設定
桜井
協力会社でのProof Checker PROの導入事例を参考に弊社に合わせてアレンジしました。パラメーターの設定など細かい調整はありましたが、モデルがあったおかげでワークフローの構築に大きな苦労はありませんでした。導入から3〜4ヶ月間、試験運用の期間を設けることで、校正チームには操作に慣れてもらいました。組版部門ではTeXを使うチームと、InDesignを使うチームそれぞれが原稿の組み上げを担当し、校正チームがProof Checker PROを使った校正を行っています。Proof Checker PROを活用する場面や作業者を限定することで、いつでも同じ品質でチェックができるよう、細かいルールを設けて運用しています。
素早いフィードバックが、オペレータースキルの向上につながる
中野氏:
オペレーターは、もちろん修正箇所以外には手をつけないで作業しています。修正操作によって、実はその修正箇所以外で不具合が起こること、他に影響が出る場合があることなど、Proof Checker PROによって、どんどんフィードバックを得ることができます。これによって、自然と操作する際に注意するポイントや観点が身につくため、オペレーターのスキルアップにもつながると思います。
今後の展望
中野氏:
現状では確認したいデータが複数ファイルにわたる場合、手動でこれらを切り替えています。今後はバッチ処理などで自動化できれば、夜間にデジタル校正を機械が行うことで、昼間の照合待ちの時間を減らすことができるかもしれません。品質の担保と同時に、働き方改革に見合ったワークフローの実現ができるのではないかと考えています。
株式会社リーブルテック
教科書、教育用図書製造により、深く日本の教育・文化に携わっています。組版システム「TeX」を業界に先駆けて導入。TeXユーザ会での発表など、普及・発展活動も行っています。近年ではICTを軸とした情報価値創造へ向けての展開を目指しています。
〒114-0004 東京都北区堀船1-28-1
http://www.livretech.co.jp
※記載の内容は2017年12月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。