小林製薬株式会社様は「あったらいいなをカタチにする」をスローガンに医薬品、医薬部外品、スキンケア製品、漢方、芳香消臭剤、衛生雑貨品などを製造・販売しています。製品輸送の段ボール箱の記載内容が、指示書通りになっているかの検査にかける労力をデジタルの仕組みで軽減するため、ドキュメント差分検出ソフトウェア「Collate Pro」を導入されました。導入された経緯とその導入効果について、製造本部 品質管理部の小林健夫様に伺いました。
輸送の段ボールの記載内容を機械的にチェックしたい
当社では一般消費財や医薬品を販売していますが、流通の過程で段ボール箱を使用して小売店などに輸送します。その段ボール箱には、JANコードや商品の製品番号、法律で記載が義務づけられている項目など、表示する必要があるものがたくさんあります。記載内容を間違えると取引先様にも迷惑をかけるので、内容のチェックを人の目だけでなく機械化したいというのが導入を検討するきっかけでした。
機械化することでミスを防ぐことはもちろん、これまでの人の手による校正、検閲にかかっていた時間を短縮することで、業務の効率化につなげることも考えました。
校正のルールを複数パターン用意
段ボール箱に記載する内容は基本的には同じですが、製品によって細かい違いがあります。例えば芳香剤だと、可燃物なので慎重に扱ってもらうための記載が必要です。そこで、記載内容のルールを何パターンかに分類して、校正するための仕組み作りができたのが導入のポイントになりました。分類分けはTooさんからのアドバイスも受けて進めました。
元データのExcelファイルと段ボールに記載するためのデザインデータのPDFファイルとをCollate Proで比較するのですが、必要のない部分に関してはデータが空欄になっていてもチェックがかけられるところも便利でした。
必要な数のコードが入っているかもCollate Proでチェック
段ボール箱に記載する文字内容やJANコードなどのコード類は本社のシステムで管理していて、そこに開発担当者が必要な情報を入力します。段ボールに印刷する版をデザインする協力会社には、人的ミスがないように自動出力したデータで依頼する仕組みになっています。
協力会社の制作したデザインを確認する際には、文字がアウトライン化されていない状態のPDFファイルを受け取り、社内システムの情報を自動出力したExcelファイルとの比較をCollate Proでおこない正誤判定の結果を出します。
フォントの違いもチェックできるCollate Proの機能を利用して、記載する分野、項目ごとにフォントを変えることで自動チェックを簡単におこなえる工夫もしています。段ボール箱全体でコードをいくつ入れるなどのルールもあるのですが、その数の過不足のチェックもCollate Proでおこなえるようになったので便利です。
10分ほどかかっていた校正作業が1分程度に短縮
開発担当者は10人いて、それぞれが10人ほどのグループを作っています。Collate Proを使っての校正作業は各グループの事務担当者がおこなっています。Collate Proを使うにあたって個人のスキルは関係なく、ルーチン作業的にこなせています。
以前はプリントアウトしたものを2人でダブルチェックしていたのですが、人の目では10分ほどかかっていた作業が1分程度に時間短縮できました。この作業は年間600件くらいあるので、大きな業務効率化に繋がっているはずです。
Collate Proで検査結果と検査レポート、元データをPDF化して資料として残すルールになったので、ダブルチェックのあとにおこなっていたグループ長の確認作業は不要となりました。
担当者の精神的な負担も軽減
担当者たちの率直な感想として、間違えてはいけない校正作業に対する精神的な負担、緊張感、プレッシャーが軽減されたことがとても大きいという声もあがっています。
現在はコロナ禍で全員が毎日出社ではないので、出社している事務担当者がグループの垣根を越えてほかのグループの校正作業のためにCollate Proを使うことで対応しています。
コロナ禍でもスムーズに運用できるのが当たり前の感覚になってしまっていますが、以前の様に2人で時間を合わせてダブルチェックをおこなう仕組みでは難しかったと改めて感じています。
今後は多種多様な海外製品でもデジタル校正を導入したい
Collate Proによる校正作業は、まだ海外向け製品には使っていません。言語の違いだけでなく、国によって法律も異なるため記載する内容も違い、種類がありすぎてパターン化が難しいと感じています。このパターン化を当社で進める必要がありますが、Tooさんの力も借りながら、将来的には多種多様な海外製品でもデジタル校正を導入できればと考えています。
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※記載の内容は2021年8月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。