小学校全児童がiPadを利用、PC教室にはiMac Proと1人1台MacBook Proが使える環境を構築。
立教大学の系属校である立教小学校様では、小学1〜2年生で共有端末iPadの使用方法を学び、小学3〜6年生で1人1台のiPadを活用した学びを進めています。
そして、新たに2018年4月にPC教室を大幅改装し、机と椅子をほぼ撤廃。iMac Pro 12台、MacBook Pro 45台を導入し、児童が3種類の端末を使用できる環境を構築しました。小学校でのMac導入とその効果について、メディアセンター長も務める石井先生にお話を伺いました。
PC教室の机と椅子を撤廃し、子供たち同士が学び合う環境を構築
弊校では「学び合い」を大切にしています。普通教室でも、全員が同じ方向を向いて座るのではなく、子供同士が学び合いやすいように机を配置しています。さらに、そもそも机がなければ、子供たちは自然と輪になって課題に取り組み、学び合いが生まれるだろうと、PC教室では固定の机と椅子を撤廃しました。 この教室は子供たちが日常でiPadを使うシーンを想定しています。中には自宅でiPadを使用している子もいますが、その際、おそらくゴロゴロと寝っ転がりながらゲームをしたり、動画を見る端末として使っています。環境を彼らにとっての日常に寄せ、その中できちんとiPadを使えるようにすることを目指しています。行儀よく椅子に座って使えば正しいのではなく、寝っ転がりながらでも、情報モラルを知って、学びにつながる使い方ができることが重要です。
PC教室では固定の机と椅子を撤廃
子供たち自身が考えて、ツールを選ぶことが求められる
情報科の授業では最低限のマニュアルをiTunes Uで共有し、説明作業を短く、なるべく子供たちが操作できる時間にしています。自分でいろいろ発見する方が楽しいですし、わからないことは詳しい子に聞いて、互いに教え合います。やり方をすべて教えて皆が同じ成果物になるより、それぞれ違うものができる方が面白いと考えています。デジタルツールの選択肢を広げようと、iPad、MacBook Pro、iMac Proの3種類を揃えました。iOSとmacOS、ノートPCとデスクトップPCには違いがありますが、私からは使い分けを教えません(笑)。画面が大きいから複数人でまとまって作業するならコレ、机を囲って分業するならこのスタイルがやりやすい……と、彼らは体験によって感覚を身につけるからです。
iPadでiTunes Uを見ながら、MacBook Proで作業する児童たち。修学旅行に向けて情報を調べ、電子本作成ツール『iBooks Author』を使って編集、グループごとにまとめる。
今後、教室でのデジタルツール活用はもっと日常的になるでしょう。すると何かを調べたり、勉強したり、まとめたりするとき、さまざまな手法とツールの中から、子供たち自身が選択することが求められます。手書きで模造紙にまとめる子がいても良くて、自分にとって良い方法を知り、どのツールを使うか考えて選ぶことが重要だと考えています。
校内端末(iPad/MacBook Pro/iMac Pro)は、Jamf Proで統括管理
小学校では、1年生が6年生になるまでに期間があります。端末の入れ替えサイクルとしては長いですが、一方で積み上げ型でないと習得できない学びもあります。これを支えるため、長期間使える端末を導入しています。 端末を管理するソフトウェア(MDM)は絶対に必要です。2014年、はじめて3年生にiPadを配布した際にはMDMを使わず、アプリを追加するにも一苦労でした。管理台数の増えたiOS端末とmacOS端末は、MDMであるJamf Proで統括管理しています。さまざまなMDMが存在しますが、Jamf ProはmacOS端末もまとめて管理できるので採用しました。単なる環境構築だけではなく、授業に合わせてiPadやMacの構成を変えるなど、細かい設定もできるところに期待しています。
物足りなさを感じてから、より高機能なツールに誘導する
ツールは、基本的にApple標準のアプリケーションを使います。例えば文書作成ツール『Pages』が使えれば、子供たちは類似の文書作成ツールも同様に使いこなせます。標準アプリケーションをしっかり使い込んで、余裕ができた分の費用はプラスアルファにあてようという考え方です。例えば、標準アプリケーション『iMovie』でも、簡単な動画編集は可能ですが、今回、Adobe Creative CloudをiMac Proで使えるように導入しました。まずはiMovieを使い込み、それで物足りなくなった子に「こっちでやってみたら?」と、Adobeのツールを提示するつもりです。
また、XcodeでのiOSアプリ開発環境をiMac Proに整えました。世の中にはアプリ開発をしている小学生もいますから、全校児童720名の中に、本気でやりたい子がいてもおかしくありません。全員が使わなくても、同時に10人まで対応できる環境を整えておくという発想はありかな、と。保護者の方々にも『本物の環境を整えます』とお伝えしています。
授業時間終了5分前には、Apple標準のロック機能を使って、一度手を止めるように促している。石井先生は「特別な機能は使っていない」と話す。
環境を整えて興味関心を増幅、学びを広げる
iPadだけでは物足りない、と感じる子を育てたいですね。iPadは情報を引き出すには便利ですが、自分で何かをイチから作るには物足りないはず。そのとき子供たちはMacBook Proに進むでしょう。MacBook Proで物足りなさを感じるのは結構難しいと思いますが、やり尽くして物足りなくならないときっと次には進めません。それが好奇心や興味関心という言葉につながっていくと思います。弊校の児童はそういった興味関心が高い傾向にあります。そこに環境やツールを整え、関心を良い方に向けてあげられれば、さらに学びが広がっていくだろうと感じています。
小学3年生からオリジナルケースに収めたiPadを毎日持ち歩く。紫色は立教小学校のテーマカラー。
立教小学校
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※本件は富士電機ITソリューション株式会社との協業(マルチベンダー方式)で、Apple製品部分をTooが担当いたしました ※記載の内容は2017年12月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。