ロール型クッキー「シガール」をはじめとする洋菓子で知られる株式会社ヨックモックホールディングス様は、2024年4月から従業員の業務デバイスとして新たにMacを選択可能にしています。Mac導入を決めた背景や、Mac導入時の検証を支援する当社サービス「Mac PoCプログラム」を採用いただいた理由やメリット、またMac導入を通して得た気づきなどについて、同社情報システム部で活躍する八重澤哲也様、佐藤尚也様、三輪義人様に話を伺いました。
Mac導入のきっかけは年々増加する「Macを使いたい」の声
三輪様(以下、敬称略):
Tooさんの「Mac PoCプログラム」を利用してMacを導入する前は、業務デバイスのほぼすべてがWindows PCでした。Macは1〜2台しかなく、主にデザイナーがデザイン業務に利用していた形です。そうした状況の中でMac導入を決めたのは、「業務でMacを使いたい」という従業員の声が年々増加してきたからです。
佐藤様(以下、敬称略):
感覚的な話にはなりますが、学生の頃から利用しているなど、プライベートでMacを使っている新入社員の割合が増えてきた印象があります。
八重澤様(以下、敬称略):
近年は中途採用を積極的におこなっており、前職でMacを利用していた従業員も増えています。特にマーケティングやブランディング、商品企画部門に配属されるメンバーの中に多いです。面接時点でMacを希望したメンバーにも、これまではWindows PCを貸与して使ってもらっていました。
業務デバイス選択制の評判の良さからMacも選択肢に
八重澤:
Mac導入を決定した理由には、4年前にWindows PCの複数モデルの従業員選択制を採用し、その評判がとても良かったこともあります。それ以前は、管理性を高めるために、必要十分なモデル(Windows PC)を全体統一で貸与していたのですが、特に営業部門でモバイル需要が増加するにつれ、「パソコンが重いから持って行きたくない」「据え置きモデルのみの支給だと出先から会社に帰って仕事する必要がある」というような声が上がり始めたのです。
そこで管理面の理由から従業員に制約をかけるのではなく、持ち運びしやすいデバイスを選択可能にするほうが会社全体として効果があると考えました。業務デバイスのリプレイス時にモバイルPCを限定的に営業部門から導入し、そしてその後すべての従業員が複数のWindows PCを自由に選べるようにしたところ大変好評だったため、次の端末リプレイス時にMacも選択肢に加えることにしたのです。Macを選べるようにすれば「Macを使いたい!」と言う従業員の満足度が上がり、その結果としてモチベーションや生産性が高まり、会社全体のエンゲージメントも高まると考えたからです。
佐藤:
Mac導入を経営層に上申する際は、私たち情報システム部でしっかり管理することはもちろんながら、それ以上にMacを選択可能にすることによる従業員側のメリットを強くアピールしたところ、すぐに理解してもらえました。
八重澤:
経営層よりも、実は三輪と佐藤を説得するほうが大変でした(笑)。私はプライベートでずっとMacを使っているのですが、三輪と佐藤はWindowsユーザだったからです。Macを業務デバイスとして追加すると当然負荷がかかるので「やる? やらない?」と三人で何度も議論したことを思い出します。もちろん、二人には最終的に「従業員に喜んでもらえるなら」ということで理解してもらえました。
佐藤:
Mac導入に反対していたのではなく、Macについてまったくわからなかったんです。家電量販店などで触ったことはあるものの、業務利用はしたことがなかったので、Macを導入すると言われても「どう判断したらいいかがわからない」というのが当初の正直な感想でした。
ベストプラクティスを実践できる安心感がMac PoCプログラムの採用理由
八重澤:
TooさんのMac PoCプラグラムを導入することになったのは、Macのデバイス管理ソリューションを提供するJamf社のイベントに参加したことがきっかけです。そこでWindows PCとMacは混在環境でも管理できることを知り、関係者に色々とお話を聞いて情報を集めた結果、「よし、やろう!」となりました。そしてMacの業務環境を構築するうえで信頼のおける会社としてTooさんを紹介いただき、PoC(環境診断・検証)からPilot(運用診断・検証)、Production(管理基盤構築と運用)までをトータルにサポートしてもらえるMac PoCプログラムを導入することにしたのです。
佐藤:
Tooさんとは2023年4月頃に最初のミーティングをおこないました。当初は2023年10月頃にMac PoCプログラムを開始する予定だったのですが、当社側の事情で少し開始を延ばしてもらい、その間にMacの導入台数などの社内リサーチをおこないました。そしてMac PoCプログラムを約2〜3カ月実施して、2024年4月にMacを正式導入しました。
三輪:
新しいデバイスを導入する際、Windows PCでしたら通常はActive Directoryに参加させることから始まりますが、Macの場合はその段階から方法がわかりませんでした。また、ネットワークやセキュリティの設定、アプリの配布などMacを業務デバイスとして使えるようにするにはさまざまな検討項目がありますから、それらを自分たちでいちから勉強して実践するには非常にハードルが高く感じていました。Mac PoC プログラムでは、Mac 導入に関するすべてのことを手取り足取りゼロから支援いただき、本当に助かりました。
佐藤:
勉強すれば自分たちで環境構築できるかもしれませんが、それには多大な時間を要しますし、構築後も本当にそれでいいのか不安になるでしょう。Mac PoCプログラムの採用を決めたのは、「こうすればいいんだ!」と納得しながらMacを安心して導入できると思ったからです。
三輪:
Mac PoCプログラムで特に魅力的だったのは、私たちが管理しやすい形でMacを導入できる点です。たとえば、当社ではiPhoneのMDMとして利用する「Microsoft Intune」でMacも管理することにしたのですが、Wi-FiのプロパティやOSの更新制御、FileVaultによる暗号化など、当社のWindows環境に合わせた形でMacの構成プロファイルの作成方法を教えてもらいました。また、認証周りに関してはMacをActive Directoryにドメイン参加(バインド)させず、「Kerberosシングルサインオン機能拡張」を利用する方法などをアドバイスいただき、その結果としてセキュリティのベースとなる部分を一律かつ画一的な形で構築できたことが本当に良かったです。
佐藤:
Mac導入の全体の流れと、その中で私たちが確認すべきポイントをまとめた資料をプログラム開始当初にいただけたのも有り難かったです。Macの管理のことがわからなくても、「どの順番でどこを気にすればいいのか」を手順を追ってわかりやすく確認できました。また、プログラムを通して「この部分は当社としてはこうしたい!」という要望に対しても定例会などで相談に乗っていただいたり、追加の資料を用意してもらいましたので、プログラム開始からとてもスムーズに導入を進めることができました。
八重澤:
私はMacユーザなので「こうすればできるのだろうな」という思いはありましたが、そうした不確かな知識を元に独自に進めていったら、やはり素人仕事に留まっていたと思います。たとえば、先ほど出た認証周りの話が良い例です。ネットで調べるとMacをActive Directoryにバインドする方法が出てくるのでそれを実践していたと思いますが、Mac PoCプログラムを利用したことで、現在はAppleもその方法を推奨していないことがわかりました。現在や今後のトレンドを踏まえ、ベストプラクティスで環境構築できることがMac PoCプログラムの大きなメリットだと思います。
また、Mac PoCプログラムはパッケージとして完成されています。導入段階から当社がどうしたいかの要望を丁寧に聞いていただけましたし、各検証項目がモジュール化されていて全体に漏れがないかをしっかりとチェック・評価いただけるので安心できました。
Mac導入の効果は生産性アップだけでなく、社員採用の面でも
三輪:
現在、Mac の利用者は少ないのですが、導入後の効果としては、相手側がMacを利用している場合にデータのやりとりがスムーズにおこなえること、特定のソフトに関してはMacのほうがサクサクと動くことから、Macに慣れていた従業員が業務をおこないやすくなり、生産性が高まったことです。私たち情報システム部でも、Windows PCとMacの2台持ちで業務をおこなっており、Macの良さを1ユーザとして実感しています。また、Macユーザが快適にMacを使っているのを見て、Windows PCしか使ったことのない従業員からも「Macを使おうかな?」といった声がちらほらと上がってきています。
佐藤:
Macに関心を持ち始めた従業員に話を聞くと、見た目のデザインに惹かれている場合もありますが、特にバッテリの持ちを魅力に感じているケースが多いですね。同じ作業をした時のバッテリの持ちやソフトウェアの動きなど、会議や打ち合わせの場で見聞きしているのだと思います。そうした意味では、Macを使い始めたユーザが社内の広告塔のような存在となっています。
八重澤:
初めて導入したばかりですし、まだユーザ数も少ないため、現段階ではMacの導入が会社の事業に大きな影響を与えたかまでは判断できません。ただ、やはり「Macも選べるようにしたこと」には大きな価値があると思っています。Macを使いたくても使えなかった従業員を喜ばせることができただけでなく、新入社員に「とても充実している」と言ってもらえるので、会社として従業員が働きやすい環境を構築するのにどれだけ力を入れているかの1つの現れになっています。さらに、学生向けに会社説明会を行うときに「当社では業務デバイスをWindows PCとMacから選択できます」と伝えると学生の受けが良いことから、人事部門からも喜ばれています。
IT環境の見直しと"攻めのIT"にも効果をもたらしたMac導入
八重澤:
Macを初めて導入してみて、今後はWindows PCでしか動作しないツールはできる限り選択しないようにすることが大切だと気づかされました。たとえば、特定のシステムでは画面表示の一部にバグがあるもののMacで利用できていますが、次に入れ替える際にはMac対応をしっかりと謳っているものや、ブラウザから利用できるSaaSをチョイスしようと思います。ブラウザで動作すれば、iPadを導入している店舗で利用するなど活用を広げられるからです。そうした意味において、今回のMac導入は当社のIT環境を見直すことにもつながっています。Macのゼロタッチ導入を経験してみて「本当にすごい!」と驚かされたりもしましたので、私たちにとっても自分たちの意識を変える良い刺激になりました。
三輪:
今後は、Macも含めた業務デバイスの従業員選択制を続けながら、環境整備の面でOSの垣根なく業務利用できるソフトウェアやサービスに切り替えていくことに力を入れていきたいと思います。現状はどうしてもMacで動作しないソフトウェアのアドオンがあるため、一部の職種の方にはMacへの切り替えを待ってもらっています。そうした従業員のために今後環境を整えていければ、自然と柔軟性のあるより良いIT環境へと変わっていくと思います。
八重澤:
私たち情報システム部では、数年前からいわゆる"守りのIT"だけでなく、情報システム部から積極的に社内に価値を発信していく"攻めのIT”をミッションに掲げています。Macの導入を主導したのもまさにそうした使命感から実践したものです。たとえ管理工数が増えるとしても、Macを導入することで従業員の満足度が上がり、それによって業務効率化や生産性向上を実現できれば、それが最高の商品を生み出すことにつながります。私たちは直接お菓子作りや販売に関わる部署ではありませんが、情報システム部からも企業のミッションに寄り添った価値を生み出せるように意識改革をおこなうことが重要です。当社の商品は「必需品」ではなく「嗜好品」ですから、お菓子で人を笑顔にするという価値を従業員がより発揮できるように、できる限り制限やつまらなさを取り払って、楽しく、働きやすい環境で自由な発想を生み出せる環境を提供したいと思っています。
佐藤:
今回Tooさんにご協力いただけてよかったのは、Macについてわからないことばかりの中で、Mac PoCプログラムによるMacの導入だけでなく、残価設定型のオペレーティングリース「Apple Financial Service(AFS)」を利用したMacの調達、修理・保守などの面でもサポートいただけたことです。現在はもともと使っていたこともあり、Microsoft IntuneでMacを管理していますが、今後MacやiPhoneの導入台数が増えていけば、Tooさんが取り扱うJamf製品の導入も視野に入るかもしれません。Appleデバイスの法人導入をトータルにサポートしてもらえるため、今回Macを入れたから終わりではなく、今後も継続的に相談したいと思います。
※記載の内容は2024年11月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。