- 従業員の約4割を占めるエンジニアやデザイナーにはMacの利用を認め、約130台を導入済。
- 最近、Macを好むエンジニアが非常に多く、導入台数は増加傾向にある。
- Windowsのみの方が管理しやすいが、働きやすい環境も重要で『Macを利用できない』ことが制約になってはいけない。
- 『ゼロトラストネットワーク』の構築で一番プライオリティが高かったのがデバイス管理だったので、そこから着手した。
- WindowsとMacでそれぞれ別々のツールで管理したほうが利便性が高く、かつ最終的な運用コストも低くなると判断した。
- Macの管理の徹底が以前の管理ツールでは不十分だったので、Jamf Proの導入へと至った。
- Jamf Proでは設定がすぐに反映されるので効率良く管理できる。MDMの設定がすぐに反映されるのは非常に重要。
- 最初の学習コストはかかったが、Jamf Proの導入でさまざまな面で以前よりも効率化できるようになった。
- キッティングはこれまで1台あたり20〜30分かかっていた作業が半分くらいになったと思う。
- すでにMacの管理をIntuneによるWindows PC管理同等のレベルにまで高めることに成功している。
- パッチのあたり具合などの細かなデバイスの状態が可視化しやすくなった。
株式会社レコチョク様のIT基盤部では、リモートワークやクラウド時代に相応しいゼロトラストネットワークの構築を目指して大きく舵を切りました。もっとも優先度が高かった従業員の業務デバイスの管理をおこなうために、Windows PCにはIntune、そしてMacにはJamf Proを管理ツールとして導入しました。Windows PCもMacも1つのMDMで管理するのではなく、それぞれ専用のMDMを選んだ背景には「セキュリティと利便性」を両立するというミッションの元、Jamf Proだからこそ実現できる作業の効率化と運用コストの削減、そして将来的な活用を見越した特有の機能の存在が大きな魅力だったからです。Jamf Pro導入の効果を、IT基盤部 伊藤智之様、野村昌男様、佐嘉田智之様、窪塚茂章様に伺いました。
リモートワークをMacで実現するために 〜ゼロトラストに欠かせないJamf Pro〜
主にエンジニアが利用するMac
2002年に世界初となる「着うた®」、2004年には「着うたフル®」を配信開始したことで知られる株式会社レコチョク様(以下、レコチョク)。2001年7月の創業以来、常に先進的な音楽配信サービスを提供し、現在は「レコチョク」や「dヒッツ® powered by レコチョク」「TOWER RECORDS MUSIC powered by レコチョク」といった音楽ダウンロード/ストリーミングサービスのほか、ソリューションを提供する提携ビジネス、ブロックチェーンを活用したビジネスへの本格参入など「音楽」を軸にビジネス領域を広げています。
現在のレコチョクの社員数は約170名。そのうち、約4割を占めるのがこうしたさまざまな商用サービスを開発するエンジニアです。レコチョクではWindows PCを業務用パソコンとして標準で支給していますが、エンジニアやデザイナーに限ってはMacの利用を認めており、約130台のMacを導入しています。
野村様:
「音楽配信事業ではWEBアプリやAndroidアプリだけでなく、iOS向けのネイティブアプリを提供しているため、開発の親和性を考えるとMacも必然的に選択肢の1つに入ってきます。また、当社は音楽市場で配信サービスを始めさまざまな事業を展開していますが、サービスのシステム設計やアプリの開発・運用など自社で開発しており、現在エンジニアも積極的に採用しています。Macを好むエンジニアは最近非常に多く、Macの台数は増加傾向にあります。」
伊藤様:
「デバイスを管理する立場からすればWindows PCだけのほうがコントロールしやすいですが、従業員が働きやすい環境で仕事ができることも重要で、『Macを利用できない』ことが制約になってはいけないと思っています。」
リモートワークへのスムーズな移行
このようにWindows PCとMacが混在した環境でデバイス管理をおこなっているのが、レコチョクの情報システム部門である「IT基盤部」です。現在9名のメンバーが在籍し、お客様に提供するレコチョクのサービス(商用システム)を担当する「品質基盤グループ」と、ヘルプデスク業務など従業員向けの社内システムを担当する「システム管理グループ」の2つのグループに分かれ、社内のITにかかわるすべての業務をおこなおこなっています。
デバイス管理に関しては、これまで1つの管理ツールを使ってWindows PCとMacの管理をおこなっていました。しかし、現在はWindows PCにはMicrosoftのIntune(以下、Intune)、MacにはJamf Proを採用。新型コロナウイルスの影響によって一変した働き方に対応するうえで、以前の汎用的な管理ツールから、それぞれ別々のMDMへと変更したのです。
野村様:
「Withコロナ時代には、これまでのようにオフィスに人が集まり、オフィスの中にあるデバイスだけをコントロールするという従来の方法は通用しません。そこで、リモートワークやクラウドを前提としたこれからの時代に相応しい企業インフラを構築するために、認証機構やセキュリティ等を見直した新しい管理方針を組み立てました。いわゆる『ゼロトラストネットワーク』の構築です。そしてそれを目指すうえで何が足りないのかをアセスメントしたところ、一番プライオリティが高かったのがデバイス管理だったので、まずはそこから着手した形です。」
それまでレコチョクでは従業員の業務デバイスの外部持ち出しは許可制で、どうしても社外で利用しなければならない場合を除き、原則的に禁止。しかし、リモートワークになると持ち出すことが前提となるため、ゼロトラストネットワーク的な発想で企業インフラを刷新する必要に迫られたのです。そのうえで、以前の管理ツールでは不十分だったMacの管理を徹底するためにJamf Proの導入へと至りました。
IT基盤部で新しい管理ポリシーを策定したのは2020年2月。国内において新型コロナウイルスの最初の感染者が確認された日からおよそ1カ月後のことであり、新型コロナウイルスがパンデミックとして広がり、リモートワークが世間的に当たり前になるより前にすでに検討を開始していました。
野村様:
「当社のある東京・渋谷は東京オリンピックの中心地で、交通の影響で出社が困難になることが予想されていました。経営陣からリスクを回避するためにリモートワークの体制を整えるよう指示があり、2019年から準備や調査を始めていました。そのため、新型コロナの感染拡大のための出勤抑制のため、リモートワークを導入することになった際は対応に逼迫することなく、スムーズに移行することができました。そして、新しい方針に基づいてドラスティックに社内インフラの刷新に着手し始めたのです。Jamf Proの導入検討を半年以内にスタートでき、今年度から本格的に利用できたのはそうした背景があったからです。」
Jamf ProとIntuneの大きな違い 〜最終的な異なる運用コスト〜
設定の反映と使いやすさがポイント
では、なぜレコチョクのIT基盤部ではJamf Proを選択したのでしょうか。当初は、Intuneを使ってMacも一元的に管理することを検討しましたが、そこにはJamf Proでなければならない大きな理由があったと言います。
佐嘉田様:
「IntuneでMacを管理しようとすると、設定が反映されるまでに時間がかかるのがネックでした。たとえば、Macに構成プロファイルやアプリ、アップデータ等がうまく反映されていないと問い合わせがあったとき、設定を変更してもなかなか従業員のデバイスに反映されず、しばらく待たされます。そのため、従業員の方には『1時間くらい様子を見てください』と言うしかありません。その点、Jamf Proでは設定がすぐに反映されますので、効率良く管理がおこなえます。」
野村様:
「これまではファイアウォールやVPNを用いた境界型セキュリティによって外部からのアクセスをコントロールしていたわけですが、ゼロトラストネットワークでは条件付きアクセスを設定して特定の条件に合致したデバイスだけが社内ネットワークへアクセスできるようにする必要があります。その際に、正しい設定が反映されたデバイス情報を取得できていないと業務に支障が出てしまいます。たとえばデバイスを紛失してしまった場合は、すぐにロックをかけられないと大きなリスクにつながります。MDMの設定がすぐに反映されているというのは非常に重要なのです。」
また、Macを管理するうえではJamf Proは圧倒的に使いやすいと言います。IntuneがWindowsを前提に作られているのに対し、Jamf ProはAppleデバイス専用のMDMであるため、ユーザーインターフェイスが大変わかりやすく、操作する際に戸惑うことが少ないのです。
佐嘉田様:
「Intuneの汎用的な設定メニューや、機械翻訳的なメニュー名はわかりづらく、また特定の設定メニューへアクセスするのに階層が複雑です。その点、Jamf ProはMac専用に開発されているので、設定メニューなどがわかりやすく作られています。そうしたユーザーインターフェイスの違いによる操作感の違いはとても大きいと思います」
複数のMDMでも効率的に管理できる
Windows PCはIntune、MacはJamf Proと別々のMDMで管理しようとすると、2つのツールの操作を習得したり、手間が増えたりすることを懸念して導入を躊躇しがちです。しかし、レコチョクのIT基盤部では従来の汎用的なツールを使って2つのプラットフォームを管理するよりも、それぞれ別々に管理したほうが利便性が高く、かつ最終的な運用コストも低くなると判断しました。
野村様:
「ゼロトラストネットワークを構築するうえで両方のプラットフォームに強いMDMを探したのですが、見つけることができませんでした。また、本質的なことを考えると、私たちの目的は『1つのツールで管理すること』ではなく、「複数のツールを使ってでも実現したいことを叶えること」です。複数のツールを利用することで運用工数が大きく跳ね上がるのならば選択肢には入りませんが、Jamf Proは操作の難易度がそこまで高いわけではありません。導入時にかかるのは最初の学習コストだけですので、それならば本来の目的を最短で実現するために別々のツールで管理するほうがいいと考えました。」
窪塚様:
「もちろん最初は2つのツールの使い方を習得しなければなりませんが、ある程度使い方を覚えてしまえばその後苦労することはありません。むしろ、さまざまな面で以前よりも効率化できるようになったと思います。たとえば、実際にIntuneとJamf Proで操作の異なる部分を書き出してみたところ、従来のツールよりも全体のドキュメントは短くて済みました。1つのツールを使っていたときもそれぞれのプラットフォームごとに操作方法は異なりましたので、それを考えると各プラットフォームに特化しているMDMのほうが操作が明快でイメージしやすく、共有しやすいのです。」
IT基盤部のミッションと今後 〜従業員が働きやすい環境を目指して〜
キッティングの効率化にも成功
Jamf Proを使うことで、Macのキッティング作業を大きく効率化できたことも運用コストを下げることにつながりました。これまでレコチョクのIT基盤部ではMacのシステム環境を設定したり、コマンドファイルをバッチ化して流し込んだり、アプリケーションをインストールする際にTime Machineバックアップから初期化したMacに対して1台1台おこなうなど、手動でのキッティングに大変な時間と手間がかかっていました。
窪塚様:
「Macのキッティング手順はマニュアルにすると膨大な量になっていたのですが、従来の管理ツールと比較するとJamf Proはキッティング時の選択項目が多く、簡略化を図ることができます。また、Macに詳しくない人でも容易に扱うことができるので運用を回しやすくなりました。現在は効率的なキッティング方法をテストしている段階ですが、これまで1台あたり20〜30分かかっていた作業が半分くらいにはなると思います」
さらに、Jamf Proならばクラウドで管理できるため、従来の管理ツールで必要だったオンプレミスのサーバ管理が必要なくなり作業負担が軽減できたと言います。
伊藤様:
「単純に時間を短縮できたり、属人化を防いだりできるようになったのはもちろんですが、貴重な人的リソースを効率的に使えるようになったことが大きなメリットだと思います。IT基盤部ではデバイスの管理は従来どおりおこないながら、手を動かすことはできる限り減らし、そこで新たに生まれた時間をゼロトラストネットワークをはじめとする新しい環境構築や、従業員が働きやすい環境構築に向けて費やしたいと思っています。」
TooからのJamf Pro導入で将来のデバイス運用が具体的にイメージできる
今回Jamf ProをTooから導入いただいた経緯として、「Apple Financial Services」を利用したMacのリースやゼロタッチ導入の話など、Jamf Pro導入後のステップを具体的にイメージできたことが大きかったと言います。さらにレコチョクでは、TooがMDMの運用支援をおこなう「あんしんMDM運用」もご活用いただいています。
窪塚様:
「主に利用させていただくのは、ヘルプデスク業務においてトラブルが起きたときに、原因を切り分けたいときです。Jamf Proで過去にそのようなトラブルが起きたのかどうかを知ることができます。チャットで迅速に対応いただけるのでとてもありがたいです。」
また、今後のデバイス運用に関してもTooに期待を寄せています。
佐嘉田様:
「新しいMacを導入する際、現在はいったん弊社でMacを受け取って、キッティングをしてから従業員に配付しています。今後、Macの購入時にTooさんの『あんしんLCMサービス』を利用すれば、弊社側は発注作業だけで自動でデバイスを手配いただけます。修理対応やデバイスの在庫、キッティングまでお任せできるので、従業員がデバイスを開封してネットに接続したらJamf Proによって設定が自動で適用されます。Jamf Proだけではなく、Tooさんのサービスを利用することでさらに業務が最適化されていくと思います。」
Jamf Pro特有の機能にも期待
Jamf Proを実際に使い出してからまだ半年しか経過していないものの、すでにレコチョクのIT基盤部ではゼロトラストネットワークを前提に、Macの管理をIntuneによるWindows PC管理同等のレベルにまで高めることに成功しています。
野村様:
「Jamf Proは目的ではなく、自分たちがやりたいことを実現するための手段として導入しました。従来の環境よりもデグレードすることなく、Jamf Proの導入によって『クラウド時代に相応しいMacの管理』のスタート地点に立つことができたと思います。キッティング作業の効率化もそうですし、運用面でもデバイス管理のスピードが格段に上がりました。たとえば、新しいOSがリリースされたときなど、これまでは管理ツールが対応するまでに半年かかっていたのですが、Jamf ProはOSのリリースと同時に対応する『ゼロデイサポート』を実現しているため、即座に最新版へアップデートすることが可能です。また、Jamf Proではさまざまなインベントリ情報を取得できるので、たとえばパッチのあたり具合などの細かなデバイスの状態が可視化しやすくなったのも大きなメリットです。」
そして今後は、Jamf Proに搭載されるさまざまな機能の活用をさらに図っていきたいと言います。
野村様:
「たとえば、Jamf Pro特有の機能である『セルフサービス』です。アプリケーションを配付する際にこれまで管理側でプッシュしていたものを従業員自らが必要に応じてインストールできるようになれば、管理側の手間が減るだけではなく、従業員の体験向上にもつながります。また、従業員のEXを高めるためにはゼロタッチキッティングも今後実現したいと思っています。」
そのほか、現在レコチョクでは社用携帯にAndroidを利用していますが、今後iPhoneやiPadといったAppleデバイスが増えてきたときに一元管理できるのもJamf Proの魅力の1つとして捉えています。
伊藤様:
「IT基盤部でミッションとしているのは、セキュアかつ利便性の高いシステム構築をおこなうことです。リモートワークを含めて働き方は多様化していますので、セキュリティは保ちつつ、従業員がどんなデバイスでも使えるような環境を整えたいと思います。働く場所は自由だけれど、働き方に制限があってはいけません。ガチガチのセキュリティをかけて従業員の利便性や生産性を損なうのではなく、両方を同時に高められるような環境構築を目指しています。」
※記載の内容は2022年1月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。