株式会社カラー様は、庵野秀明氏が代表取締役を務める映像企画製作会社で、「エヴァンゲリオン」シリーズや「シン・仮面ライダー」などの作品を手がけられています。カラー様では、デザインや演出に関わる分野などにApple製品を活用されています。
今回は、Apple製品をよりセキュアに効率的に管理し、クリエイティブな業務に集中できる環境を整えるために、Apple専用のデバイス管理サービスJamf Proを導入されました。導入の効果と今後の展望を、取締役 デジタル部 デザイナー 小林浩康様、執行役員 技術管理統括 鈴木慎之介様、システム部 システムエンジニア 三澤一樹様に伺いました。
クリエイティブメンバーが主にApple製品を活用
小林様(以下、敬称略):
カラーでは主に、デザイナーや演出部のメンバーがApple製品を使っています。3DCG業務はDCCツールに纏わる理由からWindows PCを使っていますが、アドビ製品を使うようなデザイン業務、映像編集などにはMacを、その場で絵を描く打ち合わせや制作物のチェックバックの際にはiPadとApple Pencilを使っています。
三澤様(以下、敬称略):
Appleシリコンがリリースされ、起動やアプリケーションの操作が非常に速くなりました。私は非クリエイティブ部門のシステムエンジニアですが、日頃のソフトウェアのオペレーションだけでも十分作業効率は上がったと感じています。
鈴木様(以下、敬称略):
カラー全体で見るとWindows PCユーザーの方が多い状況です。社内システム管理者としては、クリエイターにとって慣れ親しんだOSを提供できることが創作の効率を上げる上で重要と考えており、Windows PCもMacも選択肢として両方用意した上で、どのOSでもシームレスに仕事ができる仕組み作りを第一に考えています。
iPadの活用でスムーズなアウトプットを実現
小林:
デザイナーやイラストレーターが多い打ち合わせでは、iPadにApple Pencilでアイデアを描いて見せながら進めることも多いです。紙からの移行は最初は違和感がありましたが、僕らの仕事は描いたものを皆でレビューして、修正して再度レビューする、というサイクルが重要です。AirDropを活用した共有など、iPadの利便性はかなり高いです。描き心地については、画面にペーパーライクフィルムを貼ったり各々カスタマイズをしながら、紙からiPadに移行しつつあります。
鈴木:
iPadのイラスト制作アプリ「Procreate」で作ったデータをMacに送り、3DCGアニメーションの統合ソフトウェア「Blender」を使って3Dシーンを描いている人もいます。3DCGチームは基本的にWindows PCでBlenderを使用していますが、BlenderがMacにも対応したことで、できることの幅も広がりそうです。
Apple製品をセキュアに管理するためにJamf製品の導入を決定
鈴木:
我々は外部に漏れてはいけない情報ばかりを扱っています。リモートワークの社員も増えている中で、誰がどこでどのデバイスを使っているのか、OSの状態やセキュリティポリシーの遵守など、管理には本当に苦労していました。
小林:
以前はExcelで台帳を作って手作業で管理をしていました。しかし、デバイスを一度ユーザーに渡してしまったら管理側からは追いきれないため、デバイス管理は個々に任せるしかなかったのが正直なところです。
鈴木:
他社製のモバイルデバイス管理(以下、MDM)を検討したこともありましたが、Apple製品に特化した MDMを使いたいとなったらJamf製品一択でした。その後、社内のAppleデバイスが増えつつある中で、より柔軟なデバイス管理を実現するため、最初に導入したJamf NowからJamf Proに変更しました。Jamf Proは機能が豊富で詳細な設定項目があるため、デバイスの状態把握するための情報を数多く収集できます。また、Self Serviceでユーザーが必要なアプリや設定を、ユーザーの任意のタイミングでインストールできる組織専用のアプリストアを作れる点も魅力でした。
デバイス管理にかかる作業量は体感で1/10程度に削減
鈴木:
MDMを導入して一番のメリットは、大量のデバイスの環境を同一にできる点です。Macの台数が一気に増えてきたタイミングで、この量を手動でキッティングするのはコストが高いと感じていました。
三澤:
キッティングは本当に楽になりました。台数にもよりますが、以前は丸一日かかっていたものが、1〜2時間で終わります。Wi-Fiの設定をJamf Proによって事前に配布しておくことで、デバイスの電源を入れれば即座にネットワークに接続できる状態になっています。また、Jamf Proの構成プロファイルによって、デバイスがオフィスに届いた時点で必要なアプリ類がインストールされるようになりました。
鈴木:
システム管理者もすべてのOSに精通している訳ではないので、可能な限り管理工数を減らしたいです。それをサポートしてくれるのがJamf Proで、究極的にはシステム管理者のやることは無くなっていきます。体感で作業量は10分の1ぐらいになったと思います。
日々の積み重ねによるストレスを削減
鈴木:
Jamf Proの管理画面からは、デバイスの状態を即座に把握できます。アプリケーションは何をインストールしているのかも分かりますし、最新のOSにバージョンがアップデートされていなかったらシステム管理者が気づくこともできます。
さらに、今後Self Serviceを活用できれば、システム部門を通さずに必要なアプリをライセンスが担保された状態でインストールできます。ユーザーは個人でApple IDを入力する必要もなくなります。
小林:
これまではメンバーから「アプリをインストールしたいんだけどApple ID を忘れてしまった」と言われることも多々ありました。Jamf Pro導入後はApple Business Managerで購入したアプリを配布できるので、アプリインストールにApple IDが不要になり、そうしたストレスも軽減されます。
クリエイティブに費やす時間を創出していきたい
鈴木:
クリエイティブ業界を知っているのがTooさんの強みなので、何かあればまずはTooさんに相談しています。今後は、ユーザーのApple製品に対する知識を平準化したいと思っています。例えばMacとiPadを導入した際にSidecarを使うなど、生産性を高める最新機能に気づいていないユーザーも多いので、Tooさんのような企業からApple製品ならではの魅力を教えてもらいたいです。
セキュリティに関しては、もちろんJamf Proのリモートワイプ機能などもあり安心材料になっています。理想としては、ユーザー本人が確実に会社指定のデバイスを使っている環境を整えたいという思いもあります。クリエイティブの現場では、Jamf製品のようにデバイスの動作を重くしないなど、ユーザーが管理されていることを感じさせない管理状態が欠かせないので、Tooさんにはそうしたソリューションもご提案してもらえると心強いです。
小林:
我々のような特有の動きをする企業でも、Tooさんはきちんとアジャストしてくれます。モノ自体はどこでも購入できますが、「このタイミングで」「こういう使い方をしたい」などを相談できるのがありがたいです。カラーの中核でもある演出部のメンバーがMacやiPadを使っていることもあり、Apple製品は制作に必要不可欠な存在です。きちんと管理してストレスがかからない状態にすることが一番だと思っています。
鈴木:
ユーザーと管理者の双方が、デバイス管理に消費していた時間をクリエイティブな仕事に費やして、いい作品を生み出してもらいたいです。クリエイティブは反復作業ですから、野球で例えるとバットを振る速度を速めるのがデジタル化だと思います。すべてはその環境を実現するためにJamf製品を導入しています。
※記載の内容は2023年5月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。