武蔵高等学校中学校は、東京都練馬区にある中高一貫の男子校。私立では日本初の旧制7年制高等学校として創立され、2022年4月には100周年を迎えた歴史と伝統を持つ名門校です。2021年9月から一部の学年において生徒へのiPad導入を開始、2024年までには全生徒に「1人1台デバイス」になるよう、段階的に導入を進めています。そこには、新型コロナウイルス流行下での休校措置の中、各家庭でも学校の情報に触れられるようにしておくことの必要性を教職員が実感したという背景がありました。他校に比べて後発だからこそ、必要とするものをしっかりと見極め、自分たちの理想とする「学び」とICT活用を実現する……が先生方の希望。導入して1年足らずではありますが、浸透度は予想以上で「生徒たちがiPadを持ち歩いているのが当たり前の光景になった」といいます。
導入前の課題
中学生・高校生の子どもたちに使用させるデバイスということもあり、学校側が最も重要視していたのは「安心して使わせることができるか」という点。また、これまでも一部授業で共用のiPadを使用していましたが、授業ごとに設定をチェック・確認する作業が負担となっていたため、デバイスを一括管理するためのシステムは必要不可欠でした。
導入のポイント
「BYADプログラム」で学校側の手間を軽減
各家庭で自由に購入した学習用デバイスを持ち込む「BYOD(Bring Your Own Device)」ではなく、学校が指定したデバイスを各家庭で購入する「BYAD (Bring Your Assigned Device)」プログラムを利用することで、学校専用ネットショップを通した各家庭の購入をサポート。さらにTooのセットアップサポートを付帯し、教員側が指定した学習用アプリケーションをプリインストールしたデバイスが手元に届く形に。生徒への販売フローをスムーズにしただけでなく、すぐに授業で活用できるというメリットもありました。
Jamf Proとフィルタリングで安全に
学校側が最も重視していた「安全性」に関しては、Apple専用の統合デバイス管理MDMである「Jamf Pro」により、生徒たちの端末環境を学校側で検討した推奨環境に一括設定でき、トラブル対応にも迅速に動くことが可能になりました。プロファイル作成やMDMの管理・運営に関するサポートもTooが行い、初期設定に関する不安も解消。学校側の希望に応じたフィルタリングソフトも同時に導入することで、安心して子どもたちがデバイスを使える環境に。
あんしんパックとあんしんMDM運用できめ細やかなサポート
子どもたちが日常的に使うデバイスでは、物損や故障が数多く発生するもの。落下・衝突・水濡れなど、通常の保守サービスでは及ばない物損の修理も保証するサービス「Tooあんしんパック アカデミック」を導入することで、教職員側の故障対応の負担を軽減。また「あんしんMDM運用」により、授業や生徒の状況に応じたMDM運用に関する相談や、トラブルシューティングなども随時Tooに任せることができます。
武蔵の目指す「学び」との相性の良さが、iPad導入の決め手
休校期間を機に、思い切って進められた武蔵高校・中学校のICT化。デバイスとしてApple製品であるiPadを選んだのは、先生方が時間をかけて導き出した結論でした。(以下、氏名は敬称略)
川端:
この時期の導入は、他校に比べれば遅いかもしれません。ですがその分、現実的に授業に活用できるスペックのデバイスがようやく登場し、導入できたという実感があります。ノートPCではなくiPadに決めたのは、子どもたちでも感覚的に使える操作性と、カバンから取り出してすぐに使えるスピーディさ、そしてスタイラスペンとの相性の良さですね。
箱﨑:
武蔵はもともと芸術分野の教育に力を入れている学校ということもあり、クリエイティブ系の作業が得意なApple製品は相性がいいのではと思いました。また、セキュリティが強固であること、Appleはアプリケーションの審査が厳しいので安心して使わせることができるという点も含め、保護者にも安心いただくことができます。
平瀬:
導入前に各教科の先生方に実現したい授業のスタイルや使いたいアプリケーションのヒアリングをし、Tooさんには必要なアプリケーションのプリインストールもお願いしました。ただ、武蔵の100年の歴史の中で大切にされてきたのは、自然豊かな学習環境も含め「アナログさ」でもあります。先生方も自分たちの指導法や教材に、こだわりと自信を持っている。だからこそ、ただ授業をデジタル化するのではなく、私たちが重要視したのは「デジタルとアナログを融合させること」でした。
社会に出たときに、デバイス活用の能力を発揮できるように
平瀬:
iPadを活用する授業として、まず想定していたのは語学学習です。英語科ではもともとコンピューター支援による言語教育の実績もあり、先生たちからの期待は大きかったです。
箱﨑:
芸術分野の授業でも、いろいろとできることが増えました。例えば映像制作や音楽の制作など、Appleの場合は素晴らしく使いやすい純正のアプリケーションが用意されている。みんな思った以上に自分の作品作りを楽しんでいますよ。
川端:
物理の授業で実験を撮影し、その動画をスロー再生しながら「この現象のポイントはここだよね」とディスカッションすることも。生徒たちがiPadを使いこなす速度は私たちの予想を遥かに超えています。例えばメールを使って教師にアポイントを取ったり、生徒会選挙をフォームを使って電子化したり。リアクション・ペーパーなどが電子化されたことで、生徒の意見集約とフィードバックにかける時間が大幅に短縮できました。一方で、顔を合わせてお互いに話すことの大切さも、生徒たちには同時に説いています。そのためのルールも知らないようでは、たとえ電子化されていても生産的なディスカッションにはなりませんからね。
箱﨑:
iPadなどのデジタルデバイスの使い方は、大学生、社会人になったときにそのまま役立つものです。だから「生徒に使わせる」というよりは、彼らには使いこなす能力をつけて社会に出ていってほしい、という気持ちでいます。
Tooのサービスは「かゆいところに手が届く」
平瀬:
「導入する端末をiPadにする」ということは決めていましたが、「どこの会社にお願いするか」までは決まっていませんでした。相見積もりの結果、Tooさんにお願いすることを決めたのは、提案金額の適正さと共に私たちのやりたいことや条件に合わせ、Jamf Proや「あんしんMDM運用」、フィルタリングなどを提案してもらえたことと、問い合わせに対するレスポンスの良さです。他社さんでは販売会社と運営会社が異なり、いろいろ質問しても伝言ゲームのようになってしまう中、Tooさんはすぐに的確な答えが返ってくる点が技術的観点含めて魅力でした。
川端:
特に「Too あんしんパック」、「あんしんMDM運用」が助かりました。私たちの学校には、学内SEが常駐していません。そのため、何かがあったときにすぐTooさんというホットラインに繋がるという安心感を持ちながら、細かな設定の相談ができる。特に生徒たちは、あの手この手でフィルタリングをくぐり抜けようとしますし(笑)、授業で使いたいものや状況に応じて、設定を変えていく必要もある。エンジニアの多賀さんには本当にお世話になっていますし、頼りにしています。
箱﨑:
修理完了時にメールをくださるなど、本当に「かゆいところに手が届く」サービスをしてくださるんですよね。
多賀:
武蔵の先生方は最初から使用目的が明確で、それを実現するためにはどうすればよいのか、学校としての意見をまとめたうえでご質問いただけるので、サポートする側としても気が抜けず、とてもよい緊張感を持って対応させていただいています。
導入後の効果
安全性をきちんと確保しながら、生徒たちのクリエイティビティを喚起し、知的欲求を突き詰めるためのツールを導入することに成功。オンラインでの成果物提出やプリントのPDF配布など、ペーパーレス化と教職員側の作業負担を減らす結果にも。すべてをデジタル化するのではなく、アナログな部分も残すことで、武蔵ならではの「学び」をアップデートする形に。
Message
この先の未来も、パートナーとしてともに
より発展的な使い方のために
これから全校生徒に1人1台の導入を進めていくことで、例えば、出席簿のiPad活用や、隣接する大学や学園とのシステム連携など、これまで以上に発展した活用法を考えています。今、Tooさんに感じているのは、こちらの意図しているものを、本当に的確にくみ取って返していただける方々だな、ということ。今後ともいろいろとご相談できればと思っています。
「アナログ」と「デジタル」
どちらも大切にする姿勢はTooも同じ
武蔵さんの考えられている「アナログとデジタルの融合」について、私たちTooもまさに「アナログ」と「デジタル」両方を取り扱っている企業ということで、とてもご縁を感じています。今回はiPadでのご提案でしたが、Tooにも様々な部署があり、ご協力できることは多いはず。ぜひ私たちのことをもっと知っていただき、これからも生徒さんたちのよりよい学びのお手伝いができればと思います。