関西大学第一中学校・高等学校様は関西大学の併設校として、創立以来100年以上の歴史を積み重ねてきています。今回ICT教育推進のため、中学校と高等学校に在籍する生徒約1,900名に対して一人一台のiPadを導入されました。導入効果や今後の教育で目指されていることを、教頭 今中俊久様と図書・情報部主任 梅若裕晃様に伺いました。
一人一台の端末導入の必要性を強く実感
今中様(以下、敬称略):
本校には中学校と高校合わせて約1,900名の生徒が在籍し、多くの生徒が関西大学に進学します。中学校入学直後は全員同じカリキュラムで学び基礎学力をつけ、高校2年生になると進路に合わせて学習コースが分かれていきます。部活動も盛んで、中学校では20、高校では30以上の部が活動しています。
タブレット端末導入の契機となったのは、2020年3月の新型コロナウイルスによる休校要請でした。当時は端末として使えるものが生徒所有のスマートフォンしかなく、YouTubeの限定公開で授業動画を配信したり、関西大学のネットワーク上から課題のPDFをダウンロードさせるなどして対応しました。しかしスマートフォンでできることは限られています。生徒の学習を保障するためには、一人一台端末導入の必要性を強く感じました。
梅若様(以下、敬称略):
教員も出勤できない、もしくはまばらな出勤状態で、動画の配信やオンライン授業の構築はとても苦労しました。その時点で可能な最大限の対応を考えましたが、やはり生徒一人ひとりが同じ端末を所有していて、学習アプリやグループウェアが使えたらどれだけ便利だろうと感じていました。
Apple Financial Servicesで、学習段階に合わせた端末の選択が可能に
今中:
本来は1学年ずつ順にiPadを導入するのが教員への負担が少ないのですが、在校生への平等な配布や休校が今後も起こる可能性も考慮して、6学年一斉の導入を決めました。その際課題になったのは、1年間しか端末を使用しない高校3年生にかかる負担の大きさです。適した事例が他校様でも他社でもほとんどなく、途方に暮れていたところTooさんから残価設定型のリース形式であるApple Financial Services(AFS)での導入を提案してもらいました。大学進学の際はPCの利用がメインとなるであろう高校3年生にとって、端末への金銭的な負担を最小限に抑えることができました。
オンライン授業で生徒に学びの環境を保障
今中:
iPadの導入で、コロナウイルスに感染してしまった生徒や、濃厚接触者と判定された生徒に向けたオンライン授業も手軽におこなえるようになりました。教室でおこなっている授業をiPadで撮影してビデオ会議システムで配信するだけで、他の生徒と同じように学習することができます。特に高校3年生になると進路に深く影響が出ることもあり、日々の授業が一層重要になります。学びが保障されるということで、生徒はもちろん保護者様も安心できる学習環境が整いました。
小テストの平均点がアップ。今後はアクティブラーニングへの活用も想定
梅若:
学習支援としてアプリを積極的に取り入れています。iPad導入後は、漢字の小テストの平均点がぐっと上がったようです。従来は生徒が各々の方法で漢字を覚え、小テストを実施して「間違えたところを20回書きなさい」と、画一的な復習方法が取られていました。しかしアプリなら、覚えられなかった漢字は記憶が定着するまで自動で出題されます。生徒それぞれの習熟度に合わせて、教員では手が回らないところをカバーできるのでiPad導入の効果を十分に実感しています。
生徒は自宅でも、宿題や自習でiPadを活用しています。今までは生徒の提出物を教員が一つひとつチェックしていましたが、アプリならどの生徒がどの範囲まで終えられたか%でわかりやすく表示されます。教員側のメリットとして、提出状況や進捗がひと目で把握できるようになりました。
総合的な学習の時間に、研修旅行で訪れる予定の八重山諸島の自然や環境を知る目的で、島の模型を作成する課題にも活用しています。地理院地図を参照して等高線を確認したり、航空写真を見ながら自然の状況を把握します。紙では提供しづらい資料も、iPadがあれば生徒自身が瞬時に情報を手に入れられます。今後はリアルタイム授業支援ソフトを導入することで、アクティブラーニングを実践しやすい土壌を構築していきたいと考えています。
生徒への連絡もスムーズになり、教員の働き方の変化も期待
梅若:
生徒への連絡もスムーズになりました。例えば提出物やテストの出題範囲などを、授業中の口頭連絡と併せてグループウェアで再度発信しています。欠席している生徒にも確実に連絡できるので便利です。部活動の連絡ツールとしてもiPadを活用しており、長期にわたり欠席している部員に対して、従来は担任の教員を通じて連絡していましたが、顧問が直接連絡できるようになりました。
今中:
今まで郵送していた書類を、PDFで送ることができるようにもなりました。電話するほどでもないけれど共有しなければいけないこともグループウェアに書き込むだけになりました。教員の手間が減っているので、働き方の変化にもつながるのではないかと感じています。
総合的なサポート力でTooからの導入を決定。今後も新たな技術を教育に取り入れたい
梅若:
iPad導入初年度ということで、導入からキッティングまですべてTooさんにお任せしました。さらに、ソフトウェアのライセンス取得作業など、デバイスだけでなくソフトウェアの部分もサポートしてもらい非常に助かりました。特に中学生はタブレット端末の扱いに慣れておらず頻繁に修理が必要になるだろうと考えていたので、付帯した修理・保証サービス「Tooあんしんパック」もポイントになりました。期間内であれば何度でもサポートしてもらえるため、保護者様の金銭的な負担も最小限に抑えられるのが魅力的です。
今中:
他社との比較もしましたが、サポート体制や我々の要望に対する柔軟性など、客観的に見てTooさんの対応が一番信頼できるものでした。iPad導入後の流れを考えても、間違いなかったと確信しています。今後は、デバイスと教育関連のコンテンツがよりうまく連動する体制を強化したいと考えています。また、私が担当している高校の総合学習の時間では、コンピテンシー評価を導入しています。今後AIなどの技術を積極的に取り入れることによってより面白い教育が展開できると考えていますので、Tooさんから引き続き最先端の知識を提供してもらえると嬉しいです。
※記載の内容は2021年7月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。