- 直感的な操作性と生徒がApple製品に慣れ親しんでいることなどから、iPadの優位性が高いと結論づけた。
- 導入で重視した点は3つ。1. 学習活動を円滑に進められる。 2. スムーズに導入できるデバイス。 3. ICT担当者への負荷が軽い。
- スタイライスペンを必須とした。日頃の作業をiPadに置き換えていくことでデバイスをスムーズに活用できるようになる。
- 無償の学習用アプリがあるので、教科書の内容を網羅しながらゲーム感覚で授業に取り組める。
- 自然故障以外に対応できる保証サービス加入を必須とした。
- プログラミングの授業をきっかけに生徒が主体的に学びを深められる授業を目指したい。
2021年度に創立80周年を迎えた兵庫県立御影高等学校様。幅広い学びを展開する普通科と、社会で活躍できる力を養う総合人文コースで、課題解決に主体的に取り組む人材を育成しています。部活動では全国大会や近畿大会に進む生徒も多く、文武両道な環境が整っています。
同校は、各家庭で自由に購入した学習用のデバイスを持ち込む導入形式を採用し、2022年度より生徒1人1台のiPadをTooから導入しました。導入の背景や授業での活用方法を、数学科・情報科教論でICT活用委員会 委員長でもある西川昌弥様に伺いました。
ユーザーインターフェースが優れ、導入が円滑なiPadを生徒1人1台のデバイスに採用
2022年度は3年生の理系の担任をしており、数学科と情報科を担当しています。そのほか校内のICT活用委員会の委員長として、デバイスの選考などICT教育の促進を図っています。
兵庫県の公立学校はGIGAスクール構想に基づいて、2022年度より生徒1人1台のタブレット端末を導入することになりました。導入において重視していたことは、学習活動を円滑に進められること、スムーズに導入できるデバイスであること、ICT担当者への負荷がかかりすぎない、という3つです。
特にデバイスのスムーズな導入に必要なのは、直感的な操作性です。当初は他社製のデバイスも候補として挙がりましたが、iPadはユーザーインターフェースが優れていること、iPhoneを使っている生徒が多く日ごろからApple製品に慣れ親しんでいることから、デジタル世代の生徒にとってiPadの優位性が高いと結論づけられました。
日頃の作業をiPadに置き換えていくことで授業にスムーズに活用できる
iPadに初めて触れる生徒もいましたが、操作方法を知っている生徒がわからない生徒に積極的に教えてくれる姿も見られ、学び合いや共同作業の場にできました。授業で使用するツールは主に、ノートアプリのGoodNotes 5、辞書アプリ、カメラ機能などです。
本校の特徴ですが、スタイラスペンまたはApple Pencilを必須アクセサリとしました。鉛筆でノートを取ることのように、日頃の作業をiPadに置き換えていくことで、デバイスをスムーズに活用できるようになります。スタイライスペンの種類は指定しませんでしたが、本校の予測値よりも多い生徒がApple Pencilを選択していました。iPadとの親和性や、書き心地などの圧倒的な使いやすさが、選択した理由のようです。
また、県立高校のネットワークは環境整備中であり、日々改善している最中です。そのような状況下でも、iPadにはAirDrop機能が搭載されているので、例えばWi-Fiがないグラウンドでも近くの人とデータを送受信できます。AirDropの安全性について懸念される学校もあると思いますが、情報モラルに関する啓発活動も同時に進めることが必須だと感じています。
豊富な学習用アプリの活用で生徒の興味を掻き立てる授業を展開
新学習指導要領で大きく変化した情報科の授業「情報Ⅰ」では、Appleがリリースしているプログラミング学習アプリの「Swift Playgrounds」を使用しています。同じくAppleが提供しているコーディング学習プログラム「Everyone Can Codeパズル」という教材と組み合わせることで、教科書の内容を網羅しながらゲーム感覚で授業に取り組むことができます。
Apple製品には学習用の無償アプリが豊富に用意されているので、うまく活用することで必要以上の教材費をかけずとも、学びの環境を構築できそうだと感じています。プログラミング学習のように、授業によってはiPad一つで授業を展開できるのではないかと模索している段階です。
そのほか英語や地歴公民、数学などでも積極的に活用しています。実技科目でのiPad活用は検討中ですが、カメラ機能を使い実習の様子を撮影して、技術向上に役立てることも可能だと思います。
Tooが提供する生徒個人へのデバイス販売プログラムで教職員の負担を軽減
生徒へのデバイス1人1台導入については何もかもが未知の領域でしたが、Appleの正規販売店であるTooさんの支援サポートがあったからこそ構築できたと感じています。販売フローに関しても、専用の購入サイトや推奨製品のパンフレットを作ってもらうなど、本校の実情に応じて柔軟に対応いただきました。教職員の負担は大幅に軽減され、導入についての不安はゼロだったと思っています。
また、iPad導入にあたって、Tooさんのデバイス保証サービス「Too あんしんパック」を付帯必須としました。さまざまな学校を訪問視察した中で、高校生はどう気をつけていても、落下や水没など自然故障以外の要因でデバイスを壊してしまうと気がつきました。そうした故障条件もカバーしながら、Apple Pencilや同梱されたケーブル類も保証対象であることも、本校にとってはメリットでした。昨今の学校がiPadを届けにくい状況下でも、配送サービスが充実していて、迅速に修理対応をしてもらい感謝しています。
テクノロジーを積極的に取り入れることが授業のICT化を促進する
今後の展望としては、Appleが提供している授業支援アプリ「クラスルーム」や「スクールワーク」の活用です。これらを使えるようになれば、生徒がGoodNotes 5を画面共有してスムーズに発表したり、教員が一括して生徒のiPadの挙動を制限できます。
ICTを活用した授業を促進するために重要なことは、最初から完璧な授業を目指すのではなく、まずは挑戦した上で軌道修正していくことだと思います。iOSやアプリの仕様は日々更新されますから、完璧を目指していてはいつまでもiPadを使いこなすことはできません。その状況を生徒にも理解してもらっています。
さらにその先には、生徒が自ら学びたいと思える授業づくりが必要です。情報科においては、まずはプログラミングの考え方や活用などが身近な存在であると気付いてもらい、実生活と結び付けられる授業展開が重要です。学校の授業がきっかけで興味を持ってもらえれば、今やネット上にいくらでも学べるサイトやアプリが公開されています。生徒が主体的に学びを深められる授業を目指したいです。
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