文理開成高等学校では、2013年に教職員のICTリテラシー向上と業務改善のためにiPadを20台導入しました。ペーパーレス会議やクラウド利用など、さまざまな学校業務でiPadを活用しています。
教職員の朝会では、iPadでクラウドに共有されたドキュメントを見ながら進められます。これまで複雑な議題はプリントアウトしたり、耳で聞いて書き取っていました。これをクラウド共有することで、プリントアウトの手間や聞き落としがなくなり、教職員の情報共有に役立っています。
承認プロセスの効率化を実現
教員間で利用されている稟議システム
iPadから遠隔地にいる校長に申請をあげることができ、決済のスピードが格段にアップしました。
iPad導入によって最も効率を実感できたのは、同校独自の稟議システムと支出伺いの承認システムです。クラウドを利用した非常にシンプルなシステムで、電子印影や承認などの機能が備わっています。今まで稟議の承認がおりるまで1〜2週間の時間がかかっていましたが、直接上長に承認依頼ができるよう業務プロセスを変更しました。多忙な鈴木校長がたとえ遠隔地にいても、学校の現場からの稟議はメールで届きます。稟議結果も申請者にすぐにメールで届くので、迅速な決裁が可能になりました。稟議を却下するときは「理由」の入力が必須項目になっているので、情報共有も実現されています。
「このシステムがあれば、出張中でも細かいチェックが可能です」。厳しい経営状態からの立て直しを実現された鈴木校長を、iPadとクラウドがサポートしています。
授業やSNSでの活用も
全日制教頭 藤田先生(左)とITご担当 志賀先生(右)
藤田先生は日頃の業務はすべてiPadで。理科をご担当されている志賀先生は、授業で実際に行うのが困難な実験を動画で見せるのにも利用されています。
現場の先生方も、授業や活動にあわせてiPadを様々に利用されています。英語発音の習得や、動画を使った授業での理解度の向上に大きな効果を上げています。また修学旅行のレポート作成も現地からすぐに送れるため、学校にいる人にもリアルタイムに情報を共有できています。
「これからの学校では、“やり方”を教える教育ではなく、やり方を予習してきた上で“それからどうするか考える力”を教えていく時代です。講座や講義コンテンツのモバイル向けの提供も活発になってきているので、このようなツールも活用していきたいと思います」と鈴木校長は可能性を感じています。
そのほか、学生向けの案内はLINEを使用したり、対外的に学内活動をFacebookで発信したり、保護者向けにメールマガジンを発行したりと、学内外含め情報発信にSNSを積極的を活用しています。
教育現場のこれから
少子化が進む中、学校経営は大きな転換期を迎えています。今後の教育現場について、鈴木校長は以下のように語っています。
「少子化と多様化が進み、生徒の学力の2極化が進んでいます。生徒数が多かった時代は、学校は学力で差別化を図れましたが、これからはより少ない生徒たちを対象にするため、幅広い学力の生徒を受け入れる必要があります。そのため画一的な授業ではなく、生徒の学力や個性にあわせて、それぞれが勉強のスタイルを選択できるようになる時代に突入してきています。だからこそ、学校は集団生活やコミュニケーション能力の開発など、個々の勉強だけではない学校ならではの教育により力を入れることが求められます。そしてそれが学校の個性となっていくと考えます」
文理開成高等学校
[美しい房総の海を望む鴨川にあり、80年を越す伝統ある文理開成高等学校は、医学部進学コース、大学進学コース、普通コースで、高い志を持つ生徒の育成をされています。様々な学校行事の開催や、寮・寄宿舎を完備されるなど、学生たちが充実した環境ですごせるよう学校現場を整えています。
理事長・校長 鈴木 淳 様
銀行やビジネス界で多彩な実績を持たれる鈴木校長は、学校運営機構株式会社の代表取締役に就任され、2013年1月学校法人文理開成学園理事長、2015年1月同校校長に就任。経営のプロフェッショナルとして、学校の現場と経営という両面から力強くサポートしています。