株式会社片山文三郎商店様は、1915年に京鹿の子絞り専門の呉服店として創業しました。ライフスタイルの変化に合わせて、伝統と新しさの融合をめざし、インテリアやファッションなど呉服以外の分野でも絞り染めの魅力を発信されています。
今回、都度手入力していたことで、時間がかかったりミスが発生していた商品・在庫情報を複数の基幹システム間で連携するために、ローコード開発プラットフォーム「Claris FileMaker(以下、FileMaker)」開発サービスを導入されました。導入の経緯や効果を、四代目 片山 一也 様、砂辺 日野 様に伺いました。
オンラインショップやポップアップストアの出店で、国内外へ商品を広く発信
片山文三郎商店は、京都に本店を構え、創業当初は着物をメインに展開していました。ここ20年で絞り染めの技術をスカーフやカバンなどの洋装に落とし込んだ商品を展開するようになりました。店舗販売のほか、オンラインショップや全国の百貨店でポップアップストアを出店したり、海外にも商品を発信しています。最近は店舗の改装と新ブランドの立ち上げに注力しているところです。
FileMakerは開発の自由度が高く、既存の基幹システムに馴染んでくれた
以前は、3つのシステムで販売管理をしていました。商品・在庫情報はレジシステムで管理し、専用アプリでポップアップストア出店時に販売委託先に提出する出品明細を作成、会計アプリで販売委託先への納品請求書の作成・発行をおこなっていました。
この3つのシステム間で、商品や在庫情報が連携されておらず、二度手間の作業が多く発生していました。例えば、システムごとに商品情報を一から手入力したり、出品明細の発行後には、手打ちでレジシステムの在庫を減らしていました。ポップアップストア出店後には、販売委託先に対し、売れた商品分の金額を記載した納品請求書を発行しますが、出品情報から手打ちで作成していました。複数箇所でポップアップストアを同時出店する時もあり、出品情報を誤って入力して請求してしまうなど、ミスが起きやすい環境でした。
販売管理のパッケージソフトなどを検討しましたが、カスタマイズの自由度が高くなく、コストもかかることが懸念点でした。FileMakerは、開発の自由度が高く、既存の基幹システムに馴染んでくれることが決め手でした。
事務作業にかける時間が約半分に。データ連携でミスが起きにくいフローを構築
FileMaker導入後は、まずレジシステムに商品情報を登録すると、自動でFileMakerに反映されます。その商品情報をもとにFileMaker上で出品明細を作成・発行すると、自動でレジシステムの在庫情報も書き換えてくれます。さらに、出品明細の情報をもとにFileMaker上で売上を入力するだけで、請求書のデータまで作成できます。工程が減ったことで、事務作業にかける時間が50〜60%程度削減できたと思います。
請求漏れや紛失のリスクが低減。データを安全に保存できるようになった
一番効果を感じていることは、請求漏れや紛失のリスクを低減できたことです。以前は、紙に出力した請求書を先方に送り、手元にもコピーをとって管理していたのですが、紙なので紛失のリスクがありました。会計アプリには請求書を発行したという記録が残らないので、請求し損なうリスクもありました。
FileMaker導入後は、FileMaker上で請求データを作成後、月末に会計アプリに転送して請求書の発行をおこなうというフローで運用しています。FileMaker上に請求データと、会計アプリに転送した記録が残るので、紛失や請求漏れの心配がなく、安心感があります。
開発だからこそ実現できた細かな機能で、業務をさらに効率化できた
商品情報は写真付きでFileMakerへ登録できるので、見やすくて便利です。バーコードを読み取ると写真が出てくるので判別しやすいですし、タグのつけ間違い防止にも繋がっています。
ソート機能もお気に入りで、販売委託先への提案資料として商品リストを作るときによく使います。選んだ商品を希望の順番でリスト化することができます。以前はレジシステムから作成していたのですが、登録順でしか表示できないため、商品情報を提案したい順番に一つずつ登録し直して作成していました。順番を間違えてしまって初めからやり直し、ということもあり、腰が重たくなる業務でした。
これらの細かな機能の要望は、できることが決まっている既存製品で叶えられるものではなく、オリジナルで開発してもらえたからこそできたことだと感じています。
スタッフの接客時間が増え、売上増加にも繋がっている
FileMakerのカスタムAppは使いやすく、操作に迷うことはありません。店舗スタッフも使っていますが、すぐ操作に慣れた様子で、「便利です」という声も聞いています。
時間に余裕ができたことで、スタッフが店頭に立てる時間が増えました。FileMakerの導入だけが要因ではありませんが、接客に時間を割けるようになったことが売り上げ増加にも繋がっていると感じています。
現在取り組んでいる改装のための店内整理も、以前であればスタッフは手一杯で、僕一人で進めなければいけない状態でした。最近はスタッフから「手伝いましょうか?」という声も上がるようになり、スタッフが時間にゆとりを持てるようになったことを実感しています。
Tooのサポートは手厚く、まるで当社の専属チームのように親身に対応いただいています。何か困ったことがあった時にすぐにレスポンスしてくれることがありがたいです。今日明日で進めたい業務がある時にも、スピーディに対応していただき、業務を止めずに済みました。
お客様の需要を知り、より多くの人へ商品を届けていきたい
取り置き在庫に関しては、スタッフ個人やExcelで管理しているのが現状です。今後、これらもFileMaker内に集約してデータとして管理できるようにしていきたいと考えています。
また、FileMakerで在庫や売上を管理できるようになり、今後はそれらのデータベースを活かして分析に繋げられないか検討中です。どの商品がお客様から好評なのかを把握し、今後の新ブランドの展開や商品開発に繋げていきたいと考えています。
※記載の内容は2024年12月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。