株式会社ヤクルト本社様は、乳酸菌を含めた幅広い分野での研究開発を展開されており、その一つである化粧品事業では「乳酸菌のチカラを、素肌のチカラに。」を掲げ、素肌美を追求した化粧品の数々を開発されています。化粧品事業部門では、オリジナル化粧品のパッケージ制作に、パッケージデザイン向け文字検版支援ソフトウェア「フォルトファインダープロ」を活用されています。デジタル検版を導入された経緯とその導入効果を、湘南化粧品工場開発課の川嵜氏にお聞きしました。
膨大なアイテム数。
目視で修正箇所を見つける度、何度も手戻りを繰り返していた。
常時100以上のデータを扱う
通常、製品パッケージのアイテム数は、製品数よりも多くなります。一つの製品に対して、ボトル容器、製品を包装する紙箱、カートンなどが必要です。それにミニチュアサンプル、アルミサンプル、エステ向けの業務用パッケージなど、用途にあわせた取り揃えが加わります。常時100以上のデータを扱っているかと思います。さらに新製品や製品リニューアルに伴った新規パッケージ制作もあります。製品のリニューアル時には、製品シリーズのパッケージを丸ごと変えることも多く、その際には膨大な量のデータを読み合わせで確認していました。既存製品についても、法改正に伴って注釈の文言を追加する改版や、事務所移転による住所変更での改版を経験しました。こういった場合、期間内で全製品パッケージの改版が求められます。
目視では間違いを一度で発見できなかった
化粧品のパッケージ開発部門は5名のチームです。その業務の中に、 製品パッケージに記載する原稿起こしや版下作成等があります。これまで文字の検版は読み合わせで確認していましたが、目視では間違いを一度で発見しきれず、手戻りを何度も繰り返していました。ここにフォルトファインダープロが有用なのではないか、と考えました。
導入前に費用対効果を試算したら、人件費を下回った。
導入後、手戻りの回数が圧倒的に減少
Tooからフォルトファインダープロを紹介され、社内で「このソフトは良いね」という話になりました。その後、2017年4月にはトライアル版の使用を開始しました。導入にあたってのネックは費用的な問題だけ。そこで、大まかな数字で導入の費用対効果を試算しました。すると年間のパッケージ改版の頻度と、読み合わせ回数、そこにかかる人件費で試算したとき、フォルトファインダープロの年間使用料より人件費の方がやや高いという結果が出たのです。また実際に導入してみたところ、手戻りの回数が圧倒的に減りました。費用対効果の試算時には、手戻り分の読み合わせ回数は考慮していなかったので、試算以上の効果を出していると思います。
ミスの見逃しを防止し、製品の品質を守る。
製品パッケージの配合成分の表示は、絶対に間違えられない箇所
特に気を配るのは、製品パッケージの配合成分の表示です。万が一ミスがあれば全品回収につながるので、品質への信頼のためにも、絶対に間違えられない箇所です。成分名同士を区別する中点記号など、細かな箇所でも原稿と比べて抜け落ちがないかを、フォルトファインダープロで確認しています。成分表示以外にも、社内で設定している表記ルールがあります。これが統一できているかを確認するため、改版の前後で原稿同士を照合しています。また新規パッケージ制作の場合は、外部の協力会社にデザインの一部を依頼することもあります。協力会社でも原稿を確認していますが、予期せぬミスが生じることもあり得ますので、ここでの確認にもフォルトファインダープロを使用しています。
成分表示の確認に有効活用されています。画像やアウトライン化されたロゴなども照合が可能です。
実際に事故を未然に防ぐことができた
フォルトファインダープロは、結果をわかりやすく表示してくれるので、単純な誤植を見落とさずに済むのが良い点です。製版後の工程でも、青焼きをスキャンして版下との差異がないかの照合に使っています。すでに一度、事故を未然に防ぐことができました。
エリアを指定して照合。「フォルトファインダープロ」では変更のあった箇所だけが赤色で検出されます。
情報量が多くても、機能の使いわけでスムーズに照合できる。
導入にあたって大変だったことは……正直、特になかったです。はじめに使用方法のレクチャーをTooから受けたので、ソフトウェアの操作に困ることもありませんでした。ヤクルトの化粧品は環境配慮のために添付文書をなくし、紙箱の内側に使用方法を記載しています。その分、見開きデータの情報量が重くなるため、照合に時間がかかりました。現在では、選択する範囲の調整やあおり機能を使い分けることで、スムーズに照合できるようになりました。
環境配慮によって添付文書はなく、代わりにパッケージ内側に化粧品の使用方法などが記載されています。
修正作業の終わりが見える安心感。
デジタル検版によって、いままで2回実施していた読み合わせを、1回に減らすことができました。一方で精度は上がっています。データを制作した本人は間違いに気付きにくいものですが、フォルトファインダープロを使えば、自分自身でもチェックできるので、次の工程の人に迷惑をかけずに済むのが良い点だと感じています。また一度照合して修正箇所が検出されれば、それ以外の箇所での手戻りがないという安心感があります。
株式会社ヤクルト本社 湘南化粧品工場
TEL 0120-8960-25
※記載の内容は2018年1月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。