大洞印刷株式会社様は、最先端テクノロジーを駆使したUV印刷・クリアファイル作成の他、販促アイデアの創出やマーケティング、ウェブシステムの構築など、さまざまな角度からビジネスサポートをされる印刷会社です。業務の生産性向上の一環として、PDF修正・入稿前データチェック(プリフライト)ツール「Enfocus PitStop」と、RPA・ワークフロー自動化ソフトウェア「Enfocus Switch」を組み合わせて導入されました。導入の経緯や効果を、代表取締役社長 大洞広和様と、システム部 横関淳様に伺いました。
多品種化する印刷データを人の目だけでチェックしていた
大洞様(以下、敬称略):
近年は特に、お客様の趣味嗜好が多様化しています。弊社が得意とするクリアファイル印刷で培った技術を活かし、写真集やキャラクターグッズ、トレーディングカードなど、パーソナライズされた小ロット多品種のニーズにお応えするために、2011年にデジタル印刷機を導入しました。
その頃、プリプレスの工程において、多品種化する印刷データを人の目でチェックしていました。オペレーターは常に緊張感がある状態で長時間作業をしていたため、精神的な負担がかかっていました。チェック漏れが生じてしまうことも多々あったことから、ワークフローの自動化を考え始めるようになりました。当時は私たちの要望に合った製品がほとんどなく、Enfocus製品一択で導入に至りました。
横関様(以下、敬称略):
私は元々データチェックや製版を担っていましたが、Enfocus製品導入に際しワークフロー自動化の担当を任されました。自社のワークフローに合わせてPitStopやSwitchの設定をするにあたって、プログラミングなどの専門的な知識はありませんでしたが、Enfocus製品はUI/UXに優れていて使いやすかったです。
印刷点数が10倍以上増加してもオペレーターの人数は保ったまま対応可能
横関:
Enfocus製品導入後は特に、お客様からの入稿データのチェックで活用しています。オペレーターによるチェック漏れが減り、それに伴って印刷事故が減りました。
フォントや裁ち落とし、インキ量など、印刷前に必要な約100項目のチェックをPitStopが自動的におこなっているため、導入前と比較して3分の1以上の時間短縮が実現され、校了までのレスポンスが圧倒的に速くなりました。また、PitStopによるデータチェック以外でも多岐にわたるワークフローをSwitchで自動化しているため、それらを含めると計り知れないほどの時間が短縮されています。
大洞:
Enfocus製品導入前の年間ジョブ数は約3,000件でしたが、現在は約40,000件にのぼっています。しかし、データチェックを担当するオペレーターの人数はここ数年増員なく対応できています。
効率化はもちろんですが、一番のメリットは安全性が向上した点です。人の目でおこなうチェックは、いくつ間違いが存在するのか分からない間違い探しをするようなものです。Enfocus製品を導入してその負荷が大きく軽減されました。機械でのチェックに見落としはありません。
ワークフローの自動化によってお客様にかかる作業工程も削減
横関:
弊社では「WEBでデザイン」という、サイト上でお客様がデザインデータを作成できるサービスを提供しており、主力商品でもあるクリアファイルを製造しています。クリアファイルの印刷用データでは、発色を良くするために透明素材に白版をのせる作業が必要で、お客様にとってもデータ作成が難しい特殊な印刷物です。
そこでSwitchを活用して、あとから入稿データに白版を自動で付けるワークフローを作りました。その後、別の面付けソフトにデータを自動で送り、最終的に印刷用に加工して校了するところまでをSwitchで実行しています。完全な自動化を実現できた上、お客様にとっても煩雑な白版を付けるステップを減らすことができました。
データが複雑なシール印刷のチェックも自動化を実現
横関:
弊社ではシール印刷もおこなっていますが、シール印刷には、カット線の外側の余白、カット線同士の距離、カット線のアンカーポイントの数など、さまざまな制約があります。そのデータチェックにも PitStop を活用しています。
また、Switchを使って面付けシステムから印刷用の面付けデータを受取り、そこから自動でカットデータを生成してカッティングプロッターへ送るワークフローも組みました。シール印刷をされる企業様は、この機能だけでも十分 Enfocus 製品を導入する価値があると思います。
ワークフローへの意識が社内全体で高まった
大洞:
副次的な効果ですが、Enfocus製品の導入によってワークフローについての意識が社内全体で高まったと感じています。印刷工程とは関係ない部分で自動化について話をすることもあり、いろんなところに波及効果があります。
非規格のデータは自動化を進める上でネックになることが多いため、できる限り商品の定型化を進めるなど工夫を重ねてきました。その中でお客様にご理解をお願いすることもありましたが、それ以上に価格や納期、小ロット化という点で多くのメリットをご提供できています。印刷ロスを減らせたことも、サスティナビリティの面でよい効果があると考えています。
弊社では2028年までに100% 自動化を目指しており、現在年間ジョブ数の82% が自動で処理されています。ここまでのワークフローを1回で組み上げたわけではありません。漏れがあるたびに見直して、Tooさんに相談しながらEnfocus製品の設定を育てきました。そのため、自動化については早く取り組み始めることが大事だと感じています。
ITの力を活用して商品の製造から配送までをトータルで提供する
大洞:
ここ数年IP関連商品のビジネス拡大と、商品の製造から配送までのプラットフォーム化を強化しています。データが入稿されると、自動でデータチェックされ印刷に進み、請求の処理がされ、出荷システムによって個別配送されるという一連のフローを、お客様ごとに構築して提供しています。
すでに人間だけでは対応できないレベルなので、他社のサービスと柔軟に連携できるEnfocus製品ありきでビジネスを考えています。商品を製造してお客様の手元に渡るまでの工程をITの力を借りていかに確立させていくかが、今後の鍵だと思います。
TEL:058-320-5123 ウェブサイト
※記載の内容は2023年8月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。