和光学園和光高等学校様は、「自由と自治を学ぶ学校」として、生徒自身が学校生活をつくり上げていくことで、主体的に行動できる人間を育むことを目指しています。今回、生徒の創造力を発揮する授業づくりのために、校内のコンピューター室にiMacとAdobe Creative Cloudを導入されました。導入の経緯や効果を、情報科教諭の小池則行先生に伺いました。
社会で活きる力をつけるためにiMacとアドビ製品を活用
私は高等学校の情報科の教諭として、1年生の必修「情報Ⅰ」と2年生の選択講座「デジタルデザイン」という授業を担当しています。授業では現実社会の課題を取り入れることを大切にしていています。SDGsや戦争、震災といった社会課題に対して、私たちはどのように捉え、対応していったらよいのかを考えていきます。生徒は自分の学んだことを形にするためのツールとして、iMac教室とアドビ製品といったテクノロジーを活用し、啓発ポスターや動画などのクリエイティブを制作していきます。
私は、校内のインフラの整備にも携わっており、ネットワークやサーバー、生徒端末の整備から、アドビ製品やGoogle Workspaceのライセンス管理といった業務も担当しています。ですから、各教科の教員が、授業でテクノロジーを使いたいと思ったときに、いつでも使える環境を用意しておくのも、私の重要な使命の一つです。
インターフェースに優れコンピューター初心者に適したiMacをコンピューター室に設置
コンピューター室が学校施設として付加価値をもつことは、学びの環境整備の面から非常に重要です。生徒は自分が所持するスマホやタブレットより大きな画面で、課題に没頭しながら取り組むことで、教室で行われる授業とは異なる学びの経験が生まれます。
本校がiMacを導入したのは2013年でした。それ以前はWindows PCを使っていました。macOSは直感的に操作できるため、コンピューター初心者にとって馴染みやすいと思います。生徒にはiPhoneユーザーが多く、AirDropを使えば学校のiMacへのデータ共有もスムーズです。また、Apple製品のスタイリッシュな見た目は、コンピューター室が特別な空間だという雰囲気を醸し出すのに一役買っています。コンピューター室に一歩足を踏み入れると、生徒のスイッチが入り、モチベーションも上がるのがわかります。
学校への導入ノウハウがあるTooからの採用に決定
10年以上同じMacを使っていたため、パフォーマンスが下がり、アドビの最新の機能を十分に使えない状態でした。また、ドメインログインの仕組みを構築していたため、コンピューターの起動にとても時間がかかりました。
リプレイスに向けて業者を探す中で、Apple製品の導入に特化しているTooを知りました。学校には特有の制約があるため、パートナーとなる外部企業にはコミュニケーション力を求めていました。Tooは私たちが抱えていた課題を的確に把握し、助成金の申請などにも配慮してくれました。ニーズを満たす形で手配してもらったことにとても感謝しています。
ツールのパフォーマンスの高さが授業への没入感を促進
リプレイス後はAppleシリコン搭載のiMacを導入したことで、動画編集ソフトPremiere ProやデザインアプリAdobe Expressの生成AI機能も、スムーズに動作します。以前はOSバージョンの関係でアドビ製品の最新機能を使うことができなかったので、授業で活用できる幅が確実に広がりました。また、ドメインログインからローカルログインに構築し直してもらったことで、起動がとても速くなりました。
アドビ製品に関しては、共有デバイスライセンスからユーザー指定ライセンスに変更しました。1ユーザーにつき2台のデバイスにインストールできるので、学校でも家でも作業ができるようになり、生徒のやる気を継続させる環境が実現しました。
デバイスやアプリの起動に余計な時間がかかると、生徒の思考も停止してしまいます。自分のやりたいことがすぐに反映され、フィードバックされることで、生徒の想像力と集中力が高まっていきます。iMacをリプレイスしてから、生徒の課題への没入感は一層強くなりました。
アドビ製品を活用して生徒の考えが作品として可視化される
コンピューター室は主に、高校の情報の授業で使っています。1年生の必修科目「情報Ⅰ」ではAdobe Expressを使って、デジタルシチズンシップに関わる啓発ポスターやバナーを作成します。シチズンシップとは何か、また最近急速に注目されている生成AIの可能性や危険性なども学習し、そこから得た気づきや考えが制作物として表現されます。
2年生では3泊4日の研究旅行に行った後、三つ折りリーフレットをInDesignで制作します。InDesignは文字との相性がよく、枠をつくって写真やテキストを入れれば、ある程度形になるので、アドビ製品を初めて使う生徒でも使いやすいツールだと思います。私が作ったテンプレートも渡していますが、オリジナリティ溢れるレイアウトで作成する生徒も多く、そのクオリティは非常に高いです。とことんつくり込みたい生徒は、家でも作業できるので、ユーザー指定ライセンスに切り替えて本当によかったと思います。
数多くの書体が揃っているAdobe Fontsを利用できるのも大きな魅力です。ある生徒はUDデジタル教科書体を使ってリーフレットを制作しました。ユニバーサルデザインを考慮して、フォントまで選択できるようになったと思うと感動します。
コンピューター教室をハブとして生徒のポテンシャルを最大限に引き出す
情報科以外でのコンピューター室活用も、緩やかに広がっています。例えば英語の授業では、Adobe Expressを使い、チームでひとつの動画作品を共同作業で制作していました。Adobe Expressはアイデア次第で無限に広がる、創造的な活動ができると思います。コンピューター室をハブとして、生徒が持つポテンシャルを掘り起こすことで、本校が目指している「自律した学習者」の育成が加速しているように感じます。
今後は、ファブラボのような空間をつくってみたいです。現代の生産現場はオートメーションが基本です。例えば、コンピューターでデザインしたものが、3Dプリンターやレーザーカッターでイメージどおりにでき上がる、という一連の工程を体験できる環境が学校にも必要です。そのためにも、ネットワークの強化やデジタルファブリケーションの整備を進め、iMacやアドビ製品を最大限に活用していきたいです。
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※記載の内容は2024年3月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。