兵庫県立星陵高等学校様は、自由闊達な校風のもと、自ら考え(自考)、自らを律する(自律)ことができる人材の育成に重きを置かれています。今回は、Tooが提供する「教員向けMac・iPad研修」を生徒様向けにカスタマイズし、動画編集アプリiMovieとメモアプリの活用方法を1年生と2年生に受講いただきました。研修開催の背景や効果を、教務部部長の田中伸治様、校内のICT管理と数学科を担当される外山憲太様、iPadの導入に携わり数学科を担当されている田中勇樹様に伺いました。
生徒1人1台のiPadを導入。有効活用するきっかけを作りたかった
田中(勇)様(以下、敬称略):
本校は、生徒1人1台にiPadをBYOD(Bring Your Own Device)形式で導入して2023年で2年目になります。iPadはデジタルとアナログのいいとこ取りができるデバイスで、ノートに鉛筆で書くように、PDFの資料にiPadを使って書き込めます。iPadに初めて触る生徒も多くいましたが、操作性が直感的で分かりやすいのが魅力です。
外山様(以下、敬称略):
今年度は、「iPadをより身近なものとして使う」というテーマを掲げています。しかし生徒を見ていると、科目ごとに活用度合いの差があり、調べ学習だけにとどまっている様子も見受けられました。iPadはクリエイティブなデバイスなので、受け身の活用ではなく、有効活用する機運を学校全体で高めたいと考えていました。
部活動や日々の生活でも役に立つ機能をレクチャー
外山:
私たち3人はApple Teacherの認定資格を持っているため、活用方法を教えることはできますが、通常業務との並行は時間の制約もあり非常に難しいです。そこで、iPadのBYOD導入をサポートしてくれているTooのiPad活用研修を採用することにしました。
勉強以外にも、部活動や日々の生活の中でiPadを普段使いできることを目標に、プログラムを組んでもらいました。内容は、Apple純正の動画編集アプリiMovieとメモアプリを活用した、YouTubeに配信できる動画の作成です。生徒には事前にメモアプリに動画のアイデアを書き出してもらいました。メモアプリには図やイラストを描くこともできるので、絵コンテのようなものを作成する生徒もいました。
動画編集の敷居が低くなり表現の幅が広がった
外山:
本校の最上位目標である「自考・自律」に倣って、手取り足取り教えるのではなく、生徒が試行錯誤し、わからないことがあれば、お互いに助け合いながら進めることができるプログラムにしてほしいとTooにリクエストしました。研修中は生徒同士が声をかけながら助け合い、熱中して動画を作成していました。
開催後のアンケートでは、「iMovieでこんなに簡単に動画が作れることに驚いた」「メモ機能が思ったよりも便利だった」というポジティブな声がたくさん挙がりました。動画編集の敷居が低くなり、気軽に表現できる手段が増えたと思います。
田中(伸)様(以下、敬称略):
プレゼン動画を提出する授業があるのですが、今回学んだことをフル活用できそうです。研修をきっかけに、他の機能に興味を持った生徒同士が教え合うことで、生徒主体で授業が回っていくのではないかと期待しています。
外山:
体育の授業でも実習の様子を動画で提出しています。いらないシーンをカットしたり、複数の動画を1つにくっつけたりなどの簡単な編集を誰でもできる状態になり、動画の質が変わってくるのではないかと楽しみにしています。
今回の研修を経て、 iPadをクリエイティブに活用できる生徒が増えたらと考えています。そうした環境を作れるように試行錯誤している最中ですが、最近プリントをPDF化してiPad上でメモを取っている生徒が増えてきました。また、私が担当している数学ではiPadを計算用紙にしている生徒もいます。
研修を受けた生徒様からのコメント
小西遥大さん:
研修を受けて、新しい発見がたくさんありました。一番印象に残ったのが、クイックメモの機能で、授業中にパッとメモが取れるのがとても便利です。動画編集もとても楽しくて、部活動紹介の動画に活用できそうです。もっと編集を学んで、きれいな動画を作れるように探究したいです。
蜂谷惺慧さん:
iPadをあまり活用していなかったので、今回の研修で初めて知った使い方がたくさんありました。メモアプリには、資料などのスクリーンショットを貼り付けることもできると分かり、文字だけでメモを取るよりも断然記憶に残りやすくなりました。
加藤悠生さん:
以前から動画編集アプリを個人的に使っていましたが、今回iMovieの使い方を教わって、「フェードイン」「フェードアウト」などの用語の意味を知ることができたので、さらに使いやすくなると思います。iPadを勉強や授業でたくさん使っていきたいので、勉強に役立つ情報をもっと知りたくなりました。
iPadの活用によって教員の仕事にも変化が現れた
田中(勇):
iPadの活用により教員側の仕事にも変化が起きています。小論文の指導では、従来は生徒が書いた文章をその場で読んでいたため、待ち時間が発生していました。最近は事前にデータで送ってくれるので、あらかじめ添削しておけば、生徒を待たせることはなく、コミュニケーションに時間を割くことができます。
顧問を務めるアメフト部でもiPadを活用しています。ミーティングでチームの目指す姿をブレストする時に、デジタルホワイトボードを使って意見を書き出してもらうことで、発言の数やアイデアの量が格段に増えました。また、練習の様子を撮影して、生徒同士で映像を見ながら改善点を話し合ってもらっています。
生徒と教員の双方にiPad活用によるメリットをもたらしたい
田中(勇):
iPadを活用する教員を100%に近づけるのが今後の目標です。そのためにも、授業以外の業務がいかに効率化されたかという効果を打ち出していきたいと思います。本校の教室にはApple TVが常設されていて、iPadの画面をミラーリングできるので、これら設備もフル活用できるようにサポートしたいです。
田中(伸):
iPad導入初年度は、「家に忘れました」「充電がありません」という生徒が多くいました。しかし最近は、授業に持ってくるのが当たり前になるといった変化が現れてきました。この流れを学校全体に広げ、授業のDX化を推進していきたいです。
外山:
この2年間iPadの活用に力を入れ、授業見学に訪れた方から「星陵高校はiPadの活用が進んでいる」という声をいただくことも増えました。次のステップとして、学校全体の校務のDX化を進めたいです。生徒が気持ちよく学び、教員が気持ちよく働けるような環境を作っていくのが私たちの仕事だと思います。
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