- 日頃から、MacBookのさらなる有効活用を目指していた。
- ARアプリ作成講習は、通常授業では得られない刺激を生徒へ提供でき、非常によい経験になるのではないかと考えた。
- Macをより深く、広く使うきっかけ作りとなる内容だった。
- 講習をきっかけに、生徒たちから積極的にアイデアが生まれることを期待している。
- 今後も生徒の発想で作り上げることに必要なものは、できる限り用意していきたい。
広尾学園小石川中学校・高等学校様は、世界水準の思考力をもつ人材を育てるために、教育理念に「自律と共生」を掲げている中高一貫校です。今回は、Tooが提供する「教員向けMac・iPad研修」をカスタマイズし、生徒様向けにMacBook Airを活用した4日間のARアプリ作成講習を受講していただきました。講習当日のレポートと、導入の経緯や効果を井上尭洋先生に伺いました。
生徒1人1台所有のMacBook Airを有効活用したい
同校は2022年度より、生徒個人所有で1人1台のMacBook Airを導入し、日々の授業で活用されています。
井上先生:
日頃から、デバイスのさらなる有効活用を目指していました。TooさんにカスタマイズしてもらったARアプリ作成講習は、通常授業では得られない刺激を生徒へ提供でき、非常によい経験になるのではないかと考えました。
ARアプリ作成を通してアプリ開発の裏側を覗く
今回の講習では、生徒が所有しているMacBook Airと、Appleが無償で提供しているアプリ開発用ソフトウェアXcodeなどを活用し、身の回りにある物を iPhone・iPad上で AR 表示できるアプリを作成しました。
はじめに、XcodeやAppleが開発したオープンソースのプログラミング言語の簡単な使い方を学びます。その後、Xcode上で利用可能な3Dモデル作成ツール「Object Capture」を活用して、アプリ上でAR表示する3Dモデルを作成しました。
まず、3Dモデルにしたい被写体を360度さまざまなアングルから写真撮影します。その画像を解析して立体的な3Dモデルを作成するフォトグラメトリという手法を用います。生徒それぞれに、ぬいぐるみや置物などのお気に入りの被写体を用意してもらい、少しずつ角度を変えながら50〜100枚ほど撮影しました。
Object CaptureはXcode上ですぐに使いはじめられ、撮影した画像を指定すると数分で3Dモデルを作成できます。撮影した写真によってきれいな3Dモデルができることもあれば、穴が空いていたり、凹凸が目立つものもできました。
完成した3Dモデルを生徒同士で見比べながら、「さまざまな角度からバランスよく撮影できていないのではないか」「光が強く当たっている部分に穴が空いてしまうのかもしれない」「厚みがないものは3Dモデルにするのが難しそうだ」「背景が単色の場所で撮影した方がよさそうだ」など多くの意見が出され、きれいな3Dモデルに仕上げるための気づきがありました。
考察を踏まえ、さらに2回目、3回目の写真撮影とモデル作成をおこなうと、3Dモデルの品質が向上しました。こうして作成された3Dモデルを使って、講習の終盤でARアプリ作成に取り組みます。XcodeのARアプリ作成用テンプレート「Augmented Reality App」を使用するので、初心者でもARアプリが簡単に作れます。
アプリを開くと生徒が作成した3DモデルがiPhone・iPadの画面越しに現実世界に表示され、指定したモーション通りに動きました。自分たちが苦労して作成した3Dモデルが現れる光景に、教室内は生徒たちの「すごい!」という歓声であふれました。
Macの導入から活用までTooがサポート
井上先生:
参加した生徒からとても好評でした。1人1台MacBook Airを使用している中で、Macをより深く、広く使うきっかけ作りとなる内容でした。Tooさんに講習を実施してもらえたことは、そういった意味でも大変ありがたかったです。
今回の講習以外にも、TooさんにはMac用修理保証サービス『Tooあんしんパック』など、校内で利用するデバイスの運用自体も包括的にお手伝いしてもらっています。今後もMac活用のサポートをお願いしたいです。
Too講師:
初日はXcodeの操作に慣れていない生徒も多く緊張しているようでしたが、講習が進むにつれ、自分で作った3DモデルをiPad・iPhoneで表示できるようになりました。ARアプリが完成する頃には楽しんでいる様子も見られました。
講習後のアンケートでは『ARコンテンツに興味を持てた』『もっといろいろなARコンテンツを作ってみたい』『今後、ゲームなどのアプリも作ってみたい』などの声がありました。ARなどの一見難しく感じられる技術も、まずは体験してみることで生徒に興味を持ってもらえ、そこから探求を広げるきっかけになると実感しました。
新しいテクノロジーへの興味が生徒の柔軟な発想を引き出す
同校では、メタバースを活用した学園祭やオープンキャンパス開催を構想されているとのこと。
井上先生:
新しいテクノロジーに興味が湧くことで発想が活性化されるため、その入り口としてAR体験はちょうどよいコンテンツでした。今回の講習をきっかけに、生徒たちから積極的にアイデアが生まれることを期待しています。また、生徒の気づきから私たち教員が教わることもとても多くあります。今後も生徒たちの発想で作り上げることに必要なものは、できる限り用意していきたいと思っています。
教育現場でのMac活用の効果にさらなる期待が高まります。
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※記載の内容は2022年10月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。