株式会社サンジゲン様は、TVアニメ、劇場アニメ、オリジナルビデオアニメなどの3DCGアニメーション制作を行っています。外部の制作スタッフとの共同作業が多く、制作データ共有やデータ視聴のためクラウド・コンテンツ・マネジメント「Box」を導入されました。Boxの導入背景や具体的な活用方法について、システム・開発部の金田氏と中村氏にお話を伺いました。
導入のきっかけ
もともとは社内のFTPサーバーの代わりにしたいというのが検討のきっかけです。オンプレのFTPサーバーを外部の方とのやりとりに使っていましたが、もっとセキュリティを担保したいということになりました。調べていたら前々からTooさんで扱っていたBoxというのが、外部のコラボレータを扱えるということがわかり、もしかしていけるのではということになりました。
例えばFTPでは、このユーザーは本当に使っているのか?いまも使える必要があるのか?というのが不明瞭でした。データにしてもオンプレだとどうしても決められた容量内でなんとかしなければならない。FTPに置かれたまま放置されているデータも管理者としては「ちゃんとした場所に置いてください」とお願いするわけですが、やってもらえない場合もあります。容量を整理しようとなった場合にも消せなくて容量が不足するということがよくありました。
またどうしても社員の出入りがあるため、その人が外部の方々とやりとりしていたデータがどこにあるのかわからないとか、ローカルのパソコンの中身を探さないとわからないということが起きていました。その点、Boxで外部会社とのやりとりのフォルダが決められていれば、探せばそこにあるだろうということになります。そういう点でも移行のハードルは低かったと思います。
映像データを渡さずに見てもらえる環境
一番大きな恩恵は各種ファイルの再生機能によるものです。協力会社さんにできあがった映像を共有する必要があり、それまでは1枚1枚、Blu-rayやDVDに焼いて、ディスクの形で相手先に渡していました。いまはBox上でデータをダウンロードせずに再生してもらうことができるようになりました。セキュリティ的にもデータが外に出ないということを担保できます。ディスクの紛失や流出ということも避けられますし、ディスクに焼く時間も削減できました。
外部コラボレータ機能をフル活用し、大勢のスタッフとデータ共有を実現
仕上がったものを見ていただく以外に途中経過の制作データのやりとりにも使っています。
デザイン画を元に3Dモデリングしたのを「これどうですか」と共有するのにも使ったりします。最近うちの会社がやっている「バンドリ」という作品では、音楽とか音声のやりとりが多いので、音響の会社とのデータ共有にも使用しています。ファイルのやりとりだけでもだいぶ助かっています。
フォルダの使用権限はルートだけ決めていますが、あとは現場の管理者に渡して権限をつけてもらっています。結局、制作については外部とのやりとりが大量に発生するので、そこにシステム管理者が介入すると制作が進みません。
同じ会社の人とやりとりするにあたっても、FTPサーバーの時代から技術の打ち合わせは技術の人と、撮影の打ち合わせは撮影の人とみたいな感じで、そのたびにFTPのフォルダ作ってくださいという依頼が来ていました。
いまは同じ会社のフォルダ内であれば、制作の現場で自由にフォルダ設定ができるようになったので我々も楽になったし、現場の人たちも頼まなくてよくなった。セキュリティ的にも、監査情報がちゃんと見られるので、誰が何をやっているのかわからない状況ではありません。
また、外部コラボレータを活用して、多くのスタッフと共有できるようにしています。監督や演出さん、会社でも担当制作、さらにその先のディレクターなどです。うちの会社では窓口の方としか接点がなくても、作品に関わる人はとても多いので、その先のスタッフの方も参加できるようにしています。業界の特徴かもしれません。
外部コラボレータの権限は、制作期間が終わった時に切る事ができるのが良い点です。ただ現状はテレビでいつ終わるかわからない...という点もあります。テレビでシリーズが始まってから、同じキャラクターが別のプロジェクトで動いたり、テレビも2期、3期と続きます。先日発表された「新サクラ大戦」では、ゲームとアニメ化も引き続きやるので、終わりがない、切れるタイミングがないんですよね。
社内のユーザーからの声として、制作部の部長が「外部のコラボレータを無制限に呼べるのはすばらしい」と言っていました。気兼ねなく呼べる、ビジネスプラスの特典ですね。
社内のデータライブラリとして活用も
社内のファイルサーバーとしても活用しています。社内ではタグ機能の運用を明確に決めて使っています。Boxに置くデータは大量になるので検索可能にして社内ライブラリとして活用できるようにしています。
例えば、モブキャラと言われているような、賑やかしの汎用キャラクター用の3Dデータを使いたい場合、タグで「キャラクター」「女の子」などを検索すると、どんなデータがあるのか見ることができます。小物系や設定ファイルなども、すでに作ってあるものを再利用できます。
社内のサーバー内を探していた時代は、社歴の長い人はどこにどんなデータがあるというのを感覚的にわかっているのでたどりつけるけど、新人はわからなくて全然違うところを探していました。そのせいで仕事を任されてもできあがりが遅いなんていうこともありました。
外部との書類のやりとりにも活用
書類もBox経由でもらえるようになりました。常にどこに置いてあるか把握できるし、同じところに置いてあれば経緯がわかります。メール添付するということをやめることができます。持ち歩けるPC内に書類が置いてあるのも危険ですので、とてもいいと思います。リンクだけ送ればいいし、招待ユーザーしか見ることができないので安心です。先方がBoxユーザーだと本当に楽ですね。
人材採用でも使っています。アップロードだけをさせる「ファイルリクエスト」機能がとても便利です。履歴書や作品をこのURLにあげてくださいと使っています。いままで、採用担当者も、郵便のやりとり自体がなくなり、所定のフォルダに集まってくるのでとてもよいと言っています。
※記載の内容は2019年11月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。