株式会社共同テレビジョン様は、テレビ番組、映画を中心に幅広いコンテンツ制作を手がける制作プロダクションです。情報番組やバラエティ、ドキュメンタリーの制作を行う制作センター第2制作部では、セキュリティ的に安心できるサービスで動画ファイルのやり取りをするため「Box」を導入されました。Boxの導入背景や具体的な活用方法について、第2制作部の川崎琢氏にお話を伺いました。
サービスの安定性が導入の決め手
取引先の放送局が導入していたこともきっかけに
動画ファイルを安全にやり取りできる信頼性の高いサービスを探していて、各種サービスを比較検討して決めました。取引先の放送局がBoxを導入済みで、共同作業で利用していた担当社員からのインプレッションも参考にしました。インターフェイスが優れていて直感的に使えること、サービスの安定性が納得いくものだったことが導入の決め手となりました。
導入前のテスト段階では、Box社が用意したTooとのBox共有フォルダ内で質問と回答のやり取りなどをおこないました。機能的には事前に想定していた内容でできないことはありませんでしたが、設定の場所がわからないところなどをTooに教えてもらいました。
動画素材の漏洩リスクをBoxで軽減
各番組で収録してきた動画素材は、Boxに格納して担当者にダウンロードしてもらいます。そのあと書き起こしや編集などの作業があるのですが、これまでは素材をハードディスクやUSBメモリ等でやり取りしていました。
放送局や外部の人を含め、多くの人が動画を確認する必要がある場合は、ハードディスクやUSBメモリの物理ストレージで配るのは現実的ではありません。しかし、ファイル転送サービスなどで送ると漏洩リスクもあることが懸念材料でした。
Boxでは誰と共有しているのか、誰が見たのかも確認できるので安心できます。技術的な検証をするためのファイルなど、機密性の高いものも安心してやり取りできるようになりました。
映像制作の現場にはビジネスツールでは使いづらい面も
Office 365も導入しておりOneDriveもありますが、ひとつのアカウントにつき1TB という容量制限があり、素材のやりとりを行う映像制作の現場では現実的ではないと感じていました。また、ビジネスツールなので素材管理の観点では使いづらい面もあり、別のものが必要だと考えていました。
台本やドキュメントなどの共有だけであればOneDriveでも問題ありません。しかし、番組を制作する上での台本やスケジュール表などと、撮影した素材や編集して繋いだ動画等を同じところに置いて管理した方が効率的であると考え、今はドキュメント類とともにすべてBoxに入れています。
ファイルサイズの制限や速度的な面で不満はない
非圧縮の動画ファイルの場合はほぼBox上にアップロードしないため、1ファイル5GBの制限は問題ありません。プレビュー用には軽いファイルをBoxに置いて共有していますが、短いものでは実ファイルを使う場合もあります。動画プレビューの速度的な面も不満はありません。
配信デジタル系の仕事でMP4ファイルで納品する場合には、今後Box上で納品することも想定しています。放送系のものは非圧縮の動画ファイルなので納品に使うのはまだ難しいですが、今後は可能になるのかもしれません。
プロデューサーのやり方にあわせた使い方ができる
各プロデューサーが番組ごとのフォルダを作って、そこでファイルのやり取りをしている状況です。上手に使っているプロデューサーは、外部協力スタッフに見せるフォルダを分けて権限を与えるなど工夫しています。
例えば台本やスケジュールはほぼ関係者全員が必要だけれど、撮影した映像は美術や技術のスタッフには渡す必要がないなど、権限を分けられることで柔軟な対応ができます。そういった管理すべてを一人の管理者では追いかけられないので、各プロデューサーに任せています。
また、番組ごとの使い方として、プロデューサーによって、放送回ごと、収録場所ごとなどフォルダの分け方が違います。例えばインタビュー番組の場合は、ゲスト出演者ごとや収録日ごとに分けるなど、番組によるスタイルの違いが大きいです。Boxはフォルダのアクセスレベルに自由度、柔軟性がありますが、細かく分けない方が使いやすい場合もあります。
メッセージのやり取りも将来的にはBoxに一本化したい
動画のプレビューをしてもらうのに、以前はファイル転送サービスを使ったり、短いものではメール添付やLINEで送ったりもしていました。LINEで既読が付いても動画を見ていなかったり、直しが入ったときにどれが最新のファイルかわかりにくくなる問題もありました。Boxだとファイルを一元管理できますし、いつ誰が見たかの履歴も全部残るので、そのような問題も少なくなりそうです。
Boxで動画の共有を行っていても、メッセージのやり取りは今でもLINEやメールを使っています。将来的にはBoxのコメント機能を使うことで、チャットツールでやり取りしている部分も含めてBoxに一本化したいと考えています。コメントや通知の便利さに気付けば、みんな段々と使うようになってくると思います。
セキュリティ面も強化されて安心して使えるように
クラウドの活用は以前から試みていましたが、社内でも担当者ごとにバラバラのサービスやツールを使っている状態でした。
Boxの導入でそういったクラウドサービスの利用をかなり減らすことができましたし、セキュリティ面も強化されて安心して使えるようになった効果が大きいです。
今後もセキュリティ面に不安のあるツールを極力排除していく方針を進めていきたいと考えています。
業界や業務フローの知識もあるTooなら安心
現在は第2制作部への部分導入ですが、他部門においてもBoxを使えるようにしていくことを検討しています。第2制作部の取り組みを全社に対して提言しており、必要に応じて実際の利用方法を見せることによりBoxの便利さは社内に認知されつつあると思っています。
Tooはシステムベンダーではなく制作に理解があるところで、業界や業務フローの知識もあるので安心して導入をお任せすることができました。現在もサポートセンターを利用して十分サポートしていただいています。今後Boxには、業界標準になって使うことが当たり前の存在になることを期待しています。
※記載の内容は2020年3月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。