- デジタルネイティブな子どもたちがデバイスを自由に使える環境を整えるためにも、大人も学んでいく必要性を感じていた。
- 1ヶ月くらいで誰でも使えるようになり、1人で機材周りを担当できるようになった。
- クロマキー合成を使ったりと、工夫次第で子どもたちの興味を惹きつける表現ができるようになった。
- アンケートでは約92%の子どもたちが「楽しかった」と回答してくれている。
- 青森、大阪、東京の3拠点で接続し、子どもたち同士の交流が生まれた。
- 社内のファミリーイベントを実験の場として、いろいろな機能を試している。
- 映像に興味がある子どもは多いので、将来アフタースクールに配信スタジオを作れたら楽しそう。
特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクール様は、安全で豊かな放課後をすべての子どもたちに届けることを目的として2009年に設立されました。今回は、小学生向けの多様なプログラムのオンライン化のために、配信映像スイッチャーのATEM Mini Pro(Blackmagic Design)を導入されました。導入の経緯や効果を、事務局 広報 鈴木香里様と、ソーシャルデザインチーム 長坂昌樹様に伺いました。
学童クラブのデジタル化を進める
鈴木様(以下、敬称略):
私たちは、放課後の子どもたちに安全で楽しい居場所をつくる活動と、企業と一緒に全国にプログラムを届けるという、二つの柱で事業を展開しています。共働きのご家庭が多い現代、アフタースクールでは物理的な場所だけでなく、遊びから展開する放課後ならではの学びが生まれるよう、さまざまな活動を展開しています。
以前から、学童クラブのデジタル化推進に対する意識はありました。デジタルネイティブである子どもたちが学童クラブでPCやタブレットを自由に使える環境を整えるためにも、リテラシーの教育を含め、大人も一緒に学んでいく必要性を感じていました。
そんな中、コロナウイルスの影響で2020年3月に全国一斉休校要請が出されました。アフタースクールをはじめ日本中の学童クラブでも利用制限がかかり、子どもたちは社会とつながる機会がなくなってしまいました。気軽に話す時間を確保するために、まずはZoomを使ったおしゃべりから始めていきました。
高品質で低価格なBlackmagic Design製品一択
長坂様(以下、敬称略):
そんな折に、配信画像を切り替えられるスイッチャーATEM Mini Proを提案いただきました。学童クラブにはそれまでオンライン環境がほとんどなかったため、正直なところ最初は恐怖感が勝っていました。しかし実際にやってみると、映像や音をとてもきれいに配信でき、没入感や一体感を感じられるさまざまな表現が可能になることがわかりました。
ATEM Mini Proはボタンひとつで簡単に操作できます。1ヶ月くらいで誰でも大方問題なく使えるようになり、スタッフ1人で機材周りを担当できるようになりました。現在ATEM Mini Proは関東拠点と関西拠点合わせて6台導入しています。
鈴木:
スイッチャーに関しては、ATEMシリーズよりも機能が充実して安価な製品は他にないと思います。Blackmagic Designが提供する製品はハリウッドなど、プロの現場でも使われています。高品質な製品を生み出す企業が教育支援をしていることにも感動しました。
子どもたちが夢中になって学べるプログラムを提供
鈴木:
今回は、山形県の学童クラブにいる子どもたちに食育に関するプログラムを実施しました。アフタースクールのスタッフが東京のスタジオから司会進行を務め、クイズや謎解きを通じて野菜のおいしさを伝えるという内容です。司会担当者の後ろにはグリーンバックを設置することで、背景を自由に変えてテレビ番組のような演出ができます。
長坂:
機材構成は、Zoomで東京と山形県の学童クラブをつなぎ、カメラ映像とパソコン資料をATEM Mini Proで切り替えて、マイクやスピーカーを設置するだけととてもシンプルです。ATEM Mini Proのダウンストリームキーヤー機能を使って背景に星の画像をポンと出したり、クロマキー合成を使ってスタッフが消えたり現れたり「ワープ」する演出を入れると、子どもたちはとても喜びます。工夫次第で子どもたちの興味を惹きつける表現ができるようになりました。
企業とのコラボもATEM Mini Proを使うことで表現の幅が広がり、外部の方々と自信を持って連携できるクオリティになりました。アンケートでも、約92%の子どもたちが「楽しかった」と回答してくれています。また、離島の子どもたちにプログラムを届けたり、複数拠点と繋がる体験もオンラインだからこそできる取り組みです。実際に、青森、大阪、東京の3拠点で接続し子どもたち同士での交流も生まれました。コロナウイルスが落ち着いた後も、リアルとオンラインのプログラムは並行して進めていきたいです。
鈴木:
コロナウイルスでテレワークが恒常化したときに、学童が必要なくなる家庭が増えるのではないかと考えた時期もありました。しかし親が在宅勤務中、常に子どもと向き合えるわけではありません。親子それぞれがお互いの時間を尊重することも大切ですし、スマホやゲームに向かうだけではなく、プログラムに参加して友達と繋がることで得られる学びも多いと感じています。
支援員やスタッフの活動にもATEMを応用
鈴木:
全国の放課後支援員向けに研修会や講演活動をおこなったり、自治体による現場視察の受け入れもしています。これらのプログラムもATEM Mini Proを使ってオンラインで実施するようになり、資料や動画も安定して配信できるようになりました。遠方の方だと旅費の捻出が難しい場合がありましたが、その心配もなくなりました。
長坂:
ほかにも、子育て中のスタッフが多いので社内のファミリーイベントもオンラインで開催しています。そこを実験の場として、いろいろな機能を試しています。進行役のスタッフを立てて画像をATEM Mini Proで切り替えて、臨場感たっぷりのお化け屋敷を企画したこともあります。
オンラインならではのメリットを活かしたい
長坂:
演出次第で、子どもたちはいくらでも夢中に取り組みます。オンラインならではの表現をさらに活用したいです。また、映像に興味がある子どもは多いので、将来アフタースクールに配信スタジオを作ることができたら楽しそうです。
鈴木:
今後は、オンラインの学びも得た中で、学童クラブ同士がつながる活動もしていきたいです。まだまだ情報が届いていない学童クラブや学校もあると思うので、教育機関同士が繋がるイベントがあると嬉しいですね。さらに、子どもたちが機材を触る機会も増やしていきたいです。オンラインイベントを企画したいという子どももたくさんいます。リアルの活動も少しずつ取り戻していますが、子どもたちや地域のニーズに寄り添いながら、引き続きプログラムをブラッシュアップしていきたいです。
TEL:03-6721-5043 ウェブサイト
※記載の内容は2022年2月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。