株式会社ヤクルト本社様は、乳酸菌をはじめとした幅広い分野での研究開発を展開しており、約70年の歴史を持つ化粧品事業では、「乳酸菌のチカラを、素肌のチカラに。」を掲げ、素肌美を追求した化粧品の数々を開発されています。今回、化粧品の容器の具体的なイメージ共有や設計段階でのモデル作製に使用する3Dデータを内製するため、3DCADソフトのAutodesk Fusionを導入されました。導入の目的や効果について、湘南化粧品工場 開発課 ご担当者様に伺いました。
ヤクルトの化粧品パッケージを手がける
開発課は、製剤チームとパッケージチームに分かれており、私はパッケージの設計を担当しています。デザイン会社やモデリング製作会社、容器メーカーと協働し、各種パッケージの仕様を設計していきます。
容器が化粧品の中身を守ることはもちろんですが、お客様が使い続けたいと思えるようなデザイン性や利便性にもこだわっています。
パッケージデザインの社内検討と確認に時間とコストがかかっていた
新製品がリリースされる際には、最初のデザインがあがってから約1年かけて容器を設計していきます。一つのシリーズで化粧水、乳液、保湿クリームなど複数のアイテムがあるため、7,8種ほどの容器や化粧箱、発送箱などを、同時進行で開発します。
発売スケジュールに合わせ、容器の開発にもスピード感が求められます。業務フローのどこで時間短縮を図れるか模索した時、何度もやりとりが発生していた容器形状・構造を決めるまでの工数をもっと削減できるのではないかと考えました。
3Dデータの内製化で、具体的なイメージを簡単に共有できるようになった
以前の開発フローは、まず新製品のコンセプトをもとにデザイン会社からあがってきた平面スケッチを社内で選定します。いくつもあるデザイン案の中から絞られた候補は、3Dデータとモックアップを外注で制作し、最終的な形を決めていました。平面スケッチと、実際にあがってきたモックアップのイメージにずれがあると、再度社内で認識のすり合わせが必要になったり、外注先に再作成を依頼する作業が発生し、コミュニケーション工数が増えてしまうこと、また、外注するたびに作成コストもかかってしまうことが課題でした。
Fusion導入後は、デザイン会社からあがってきた平面スケッチを自分で3Dデータ化し、初期段階から完成に近いイメージで検討できるようになりました。社内での認識合わせがスムーズになり、コミュニケーション工数や外注コストの削減に繋がっています。
価格に対して高機能。簡単に触れることも魅力
導入に際してさまざまな3DCADソフトを比較検討しましたが、オートデスクの体験セミナーでFusionを触ってみて、価格に対してできることが幅広いところに魅力を感じました。3DCADと聞くとハードルが高いイメージがありましたが、たくさん供給されている解説動画などを参考に、独学で触れるようになりました。
サポートが充実しているToo様から導入し、具体的にやりたいことが見えてきた段階で、Too様独自のトレーニング講習を受講しました。「こんなものを作りたい」という要望を伝え、それに沿った実践的なトレーニング内容を組んでもらえたことで、学んだことを業務に活かすことができています。わからないことがあった時には都度メールなどで質問にも答えてもらい、親身にサポートしてもらっています。
簡単なステップで作成可能。容量計算などの機能も活用
Fusionは、製品イメージのスケッチを写し、設定した中心線を軸に回転させるという簡単なステップで3Dデータを作成することができます。
例えば、スキンケアのボトル形状は、容量にあわせて径や高さを変えた複数パターンを検討することがあります。 以前は、外部に依頼して複数パターンを作成してもらっていましたが、Fusionで3Dデータを内製することで、外注先からデータが提出されるまでの時間が削減されましたし、形状検討の質が向上したと感じています。
また、容器の断面図をFusionで作成し、プラスチック削減を検討する際の社内提案にも使っています。他部署との認識合わせがしやすくなり、製造をお願いしている容器メーカーへのイメージ共有も円滑におこなうことができました。Fusionは容量計算ができるので、液面高さの把握にも活用しています。以前はこのような細かい作業も、外注先にお願いしてやってもらっていましたが、自分でできるようになり、とても便利です。
Fusionのライセンスがない人に対しても、リンクを発行して3Dデータの共有が可能なので、社内外への確認作業もスムーズです。最終製品のイメージ共有まで簡単におこなえるようになりました。
できることを増やし、より解像度の高いコミュニケーションを目指す
現在、左右非対称な形状のボトルをFusionで3D化することに挑戦しているところです。Too様にサポートしてもらい、使える機能やできることを増やしてより複雑な形状にも挑戦したいと考えています。さらに、3Dデータの色指定やロゴを乗せるなど、デザインを加えられるスキルも習得し、より解像度の高いコミュニケーションの実現を目指しています。
株式会社ヤクルト本社 湘南化粧品工場 様には、パッケージデザイン向け文字検版支援ソフトウェア「フォルトファインダープロ」もご導入いただいています。
株式会社ヤクルト本社 湘南化粧品工場 様 フォルトファインダープロ導入事例
ヤクルト本社 湘南化粧品工場では、「五感で感じる体感ツアー」として、大人(中学生以上のお客さま)を対象とした工場見学を行っています。オリジナル成分の体感、化粧品生産ラインの見学、体感タイム(化粧品の体感)、飲料サービスなどを盛り込んだ、約90分のコースをご用意しています。
(要予約:HPまたはお電話にてお申し込みください。)
※記載の内容は2024年11月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。