
auコマース&ライフ株式会社様はKDDIグループの傘下として、総合ショッピングサイト「au PAY マーケット」を中心とした事業に注力されています。ブランドアイデンティティに『暮らしが満たされるお買い物体験』を掲げ、商品の販売だけではない体験価値の提供を事業の強みにされています。 今回は au PAY マーケットの出店企業と交わす契約書や書類のやり取りを効率化するために、電子署名ツール「Adobe Acrobat Sign」を導入されました。導入の背景や効果を、サービス開発本部 システムマネジメント部 遠藤篤様に伺いました。
社内の業務改善を推進するためにデジタルトランスフォーメーションに注力

私たちが所属しているチームでは、社内全体の業務改善の企画や遂行を担当しています。現場とコミュニケーションを取り、 RPAやバッチ開発などによってルーチンワークの自動化を進めたり、ときには外部に開発を委託しながら、事業推進をするメンバーの業務効率化をサポートしています。2024年から生成AIの全社利用推進活動も開始し、出店者様のさらなる流通拡大への寄与を目指しています。
組織としては、数年前からデジタルトランスフォーメーションに注力しています。その一環として、社内業務におけるボトルネックがどこにあるかの調査を全社的に実施しました。au PAY マーケットには、出店者様がモールを利用して販売する形態と、当社が自社物販を行う2つの事業形態がありますが、モール事業での出店の申し込みから販売開始までのリードタイムの長さが、入会の機会損失を生む要因の一つになっていることがわかりました。
契約書類の紙でのやり取りによって出店までのリードタイムが発生していた
出店者様が入会申込をすると、審査を経て登録手続きをした後に、商品の登録や、特定商取引法などに関する表記の確認、サイトの準備、決済サービス導入の申し込みなどのさまざまな準備が必要です。そのため販売を開始できる状態になるまで、2カ月ほどの時間がかかっていました。
その要因の一つに、手続きに必要な書類を紙でやり取りしていたことがあります。当時のフローでは、出力した書類を出店者様の元へ送付し、必要情報を記載・押印いただき、ご返送をいただいていましたが、当社の業務担当者だけでなく出店者様にとっても非常に手間がかかっていました。当社でも月末月初は書類の回収業務に追われ、専門で業務を担当するチームが組まれていました。
また、契約書類の情報は顧客管理システムのSalesforceで管理していましたが、手で一つひとつ入力する際にミスや漏れが発生することもありました。本体であるKDDIでカーボンニュートラルという言葉が出始めていた時期でもあり、データのデジタル化や送受信のログの記録の効率化によってペーパーレスを進めるためにも、電子署名ツールを検討することになりました。
機能が充実しセキュリティも担保できるAdobe Acrobat Signを導入
電子署名ツールを選定する際に、5つの観点を重視していました。まずは初期費用や月々の費用のハードルが低い点、ボリュームディスカウントの制度がある点、セキュリティを担保するためにシングルサインオンで管理ができる点、クラウドベースでやり取りができる点、文字数や使える文字の入力制限といった機能がどれだけ充実しているかという点です。これらの観点をもとに選ばれたのが、Adobe Acrobat Signでした。
導入後は主に2つの用途で活用しています。まず1つ目が、Adobe Acrobat Signの画面を開いてテンプレートを作成し、その画面上から誓約書のサインを依頼する基本的な使い方です。2つ目は、10種類程度ある入会書類を電子化し、SalesforceとAdobe Acrobat Signを連携してログを自動で管理する方法です。

Salesforceとの連携によってログを自動で一元管理できるようになった
導入前後で出店数に違いはありますが、誓約書に関する業務は月に58時間の削減、入会書類に関する業務では月に200時間ほどが削減されました。
特に効果が大きく現れた入会書類に関する業務では、Adobe Acrobat SignとSalesforceを連携することで、出店者様に記載いただいた入会書類の記載内容が、Salesforceに自動的に入力されるようになりました。これまで時間をかけていた転記作業と、入力漏れやミスのリスクが無くなりました。
ツールとしても使いやすく、ステータス管理がとても便利です。書類を送付済みなのか、先方の押印待ちなのか、返送されたのか一目で分かります。その情報もSalesforceに取り込むことで、入会書類の情報を一元管理できるようになりました。
また、リマインド機能もよく活用しています。これまでは書類の返送が確認できていない出店者様のもとに、直接ご訪問していました。現在はAdobe Acrobat Signから通知を送ってコミュニケーションを取れるようになり、非常に効率的になりました。これらの積み重ねによって、出店リードタイムも全体的に短縮されました。
ペーパーレス化によって郵送コストや保管スペースも削減
紙の出力枚数にも変化がありました。基本的にオンラインで書類の取り交わしができるようになり、紙の出力枚数や郵送費の削減にも繋がっています。また、以前は紙の原本を保管しており、紛失のリスクがあったり、物理的なスペース確保が必要でした。現在はデータで保存することで、入会書類は紙で取っておく必要がなくなりました。
副次的な効果にはなりますが、Adobe Acrobat Signの導入によって手が空いたチームが、新しい業務に挑戦できるようになったり、業務が立て込んでいるチームにヘルプに行けるようになりました。当社が掲げていたデジタルトランスフォーメーションへの効果がきちんと得られています。
Adobe Acrobat Signがなかったころには戻れない

ツールの導入だけでなくSalesforceとの連携が必要になり、導入方法や使い方について当初Tooには頼りきりでした。手厚いサポートやフォローがあり、些細な質問にも迅速に答えてもらえたことが、導入がスムーズに進んだ決め手だったと思います。
書類関連の業務ではペーパーレスが当たり前になり、Adobe Acrobat Signがなかったころには戻れないと思います。この状態をしっかり維持し、盤石な体制を整えていくことが今後のビジネスを拡大する上で重要だと考えています。

※記載の内容は2025年2月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。