新型コロナウイルスの影響で、急遽在宅勤務などのテレワークをはじめたという方も多いのではないでしょうか。新型コロナウイルスの感染が拡大している中で、製造業などで出勤をしないと仕事が進められないという方を除いて、テレワークを基本とした働き方にシフトしている方が多くいらっしゃいます。また、テレワークをされている方の中には、テレワークの準備が整っていない中で、急遽対応をしなくてはいけなくなってしまったという方もいるかと思います。
このような状況の中、準備が整っていなくても、PCなど最小限の機材ではじめることができるクラウドツールへの注目が以前にも増して高まっています。その中でも特に注目を浴びているサービスがビデオ会議サービスの『Zoom』です。新型コロナウイルスの感染拡大以前は、国内のZoom利用者数はそれほど多くはありませんでした。世界的にみても、2019年12月末に最大約1千万人だった1日あたりの利用者数は、各国が国民に外出の禁止や自粛要請に伴って、3月には2億人超にまで増えているということです。1日の利用者数が2億人超(日本の人口以上!)という事実は、Zoomがビデオ会議のスタンダードになってきていることを認めざるをえない状況になっています。
弊社でも2月中旬の時点ではテレワークが「推奨」されていましたが、感染の拡大に伴い2月下旬にはテレワークが「基本」というところまで対応を強化しています。これまでZoomを利用したことのある人はそれほど多くありませんでしたが、テレワークが基本となってから1週間程度で大半の人が社内・社外関わらず打ち合わせでZoomを体験し、サービスの便利さを実感しました。自宅や外出先、社内とそれぞれの場所から接続していますが、異なる環境どうしでも動作が安定しているという意見が圧倒的に多いのも特徴的です。
Zoomの活用事例
では、実際に弊社でどのようにZoomを利用しているか、という事例をご紹介させていただきます。
チームでの朝礼・ミーティング
これまで朝礼はリアルでおこなわれていた為、客先に直行していたりすると参加できずに情報に差が生じてしまうといったことがありました。テレワークが基本になると、どこにいても参加できるので、自宅で参加するメンバーもいれば、お客様先に向かう電車の中で参加するメンバーもいます。私も実際に地下鉄で移動中に参加したこともありますが、音声・映像共に途切れることはありませんでした。
また、ミーティングをおこなうには、チームメンバーのスケジュールに加えて、会議室のスケジュールも確認しなくてはいけないので、調整に苦労していました。Zoomで開催するようになると、お互いのスケジュールの調整だけでよくなりました。
個別デモ会
弊社では毎月1回、本社を会場にして定期的にクラウドサービス個別デモ会を開催しています。3月の個別デモ会は、新型コロナウイルスの影響もあってか、開催日の前週までに1件もお申し込みが無いという状況でした。開催自体を中止にしようかという意見もありましたが、この状況を逆手に取って、Zoomを利用したオンライン形式に変更してみました。オンラインに変更した旨の告知をおこなったところ、あっという間に参加枠が埋まってしまい、想定の数倍のお申し込みをいただきました。
リアルでの開催ではお客様にお越しいただくため、広さを含めちゃんとした場所を確保する必要があるのですが、ひとつの会議室しかおさえられず1日5社程度が限界でした。
しかし、Zoomを利用したオンライン開催では会議室でなくてもよくなり、1日の開催回数を増やすことができました。またお客様側も参加場所が自由になるので、全国の方とお話しできる良いきっかけになりました。この好評をうけて、これまでの毎月1回の開催ペースから3月は毎週開催し、毎回多くのお客様からお申し込みをいただきました。オンラインでのセールス活動の可能性を感じました。
採用活動
多くの企業と同様、新型コロナウイルスの感染拡大のこの時期は、採用や入社式・新人研修など人事のイベントが重なってしまい、対応に迫られていました。人事イベントでもZoomをフル活用して対応しています。
これから、人事イベントでのZoomの利用事例をご紹介させていただきます。
会社説明会
会社説明会は、新型コロナウイルスの感染拡大で開催が危ぶまれていましたが、急遽Zoomを利用したオンライン会社説明会に形を変えて開催しました。リアルでの開催に比べて、時間の短縮や質疑応答など通常とは違った形での開催でしたが、参加した学生からは多くの会社説明会が延期になったりしている中、オンラインでの開催に好意的な意見が大多数でした。
採用面接
採用面接も本来であればリアルで実施したかったところですが、新型コロナウイルス感染のリスクがあることから、会社説明会同様にオンラインで実施しました。やはりリアルでの面接に比べて、初対面の相手との空気感など難しい面があることは否めません。
だからといって、やはり就職の機会そのものを無くしてしまうことはできませんので、現時点では考えられる最適な手段だったと思います。結果、スケジュールなどはこれまでと変わらない形で進めていくことができています。
入社式
4月1日、まさに首都封鎖目前といわれている状況の中ということもあり、入社式も初のオンライン開催となりました。新入社員は全員、自宅からの参加です。
これまで弊社の入社式は本社のイベントスペースでおこなってきました。社員は時間が許せば自由にその様子を見ることができます。一方でリアルで開催をすると、広さや場所的な理由で参加できる先輩社員の人数が限られてしまいます。オンラインで開催したことにより、新入社員の門出を全国の拠点から150人以上の先輩社員が見守ることができました。Zoomのチャット機能を利用して、先輩社員からの祝福のメッセージがあったりと、オンラインではあるものの温かさを感じることのできる式となりました。
新入社員研修
新入社員研修も延期となっている企業や、課題を渡している企業もあるようですが、弊社では入社式同様、創業101年目にして初めての「オンライン」新入社員研修を実施しています。全体でのオンラインセッションに加えて、Zoomのブレイクアウトルームという機能を利用して、グループワークもおこなっています。
ブレイクアウトルームを使えば、4名程度の部屋にわけてグループワークをおこない、講師が各部屋をアドバイスをしてまわることもできます。時間設定もできるので、制限時間を決めたグループワークをおこない、時間になったらメインルームに自動的に戻して発表といったことがオンラインでもできるのです。一方的に教えるだけの内容にならないようにZoomの機能を利用して、リアルと変わらないように工夫をしています。
テレワークの注意点
弊社メンバーも在宅が基本となる中、Zoomを利用していていくつか気になる点も出てきていますので、ご紹介します。
身だしなみについて
在宅で外出や社外の方との予定が無いときに、わざわざZoomでの打ち合わせの為にメイクをしなくてはいけない、という声がありました。在宅時は髭を剃らないという人もいます。どうしても映りたくない場合は、ビデオをオフにして参加することもOKとしています。
また、別サービスにはなりますが、メイクをしているように加工してくれるサービスもあるので、連携して使ってみるのも良いのではないでしょうか?
自宅で映り込む背景について
自宅でZoomを利用していると、後ろに映り込んでしまう背景を気にしなくてはいけないという問題があります。Zoomではバーチャル背景という機能があるので、背景を気にすることなく利用することもできます。(利用しているPCのスペックによっては、うまく機能しないこともあります。)
発言ルールについて
通常の打ち合わせ以上にファシリテートが重要になってきます。リアルでの打ち合わせ時よりも、他の人と発言のタイミングが被ってしまうことも多いような気がします。発言者は実際に手を挙げたり、Zoom内の挙手ボタンなどで他の人にもわかるような形にした方がスムーズです。また、発言が出にくい場合は、意見を促すといった運用も有効です。
ZoomでPCの画面を共有している際は、数人の映像しか表示されずスクロールして確認する必要があるので、発言を開始する際に名前をいうということもスムーズな進行のコツです。
発言者は自分の意見を言い終わった際には「以上です」といった一言を加えることや、発言をしない時にはミュートにしておくといったことも、相手への思いやりに繋がります。
セキュリティについて
ミーティングにはパスワードを設定することもできますし、ロックをかけて追加で参加ができないようにするといったことでセキュリティレベルをあげることができます。
ミーティング開催者(ホスト)側が責任を持って運用する意識を持つことが大切です。
コミュニケーションの大切さ
特殊な事情により在宅勤務が続くと、普段オフィスで何気なくしていた雑談ができなくなり、その大切さが見直されています。また、Zoomでの打ち合わせが終了した後の自室の静けさが寂しいという意見もあり、メンタル面のケアの必要性もでてきています。
しかし制約があるなら、いろいろなことを試してより良い運用に改善していくことが、今後の便利さに繋がっていくのではないでしょうか?弊社もこの課題について、どのような対策ができるかを検討中です。
前と全く同じ働き方には戻れないかも
新型コロナウイルスの騒動がおさまった時に、以前と全く同じ働き方に戻すことは難しいのではないでしょうか。在宅で働くことによって、通勤の時間を削減できたり、業務内容によっては集中して取り組めるということを実感している方も多いと思います。準備が整っていない中でテレワークへ移行された方々も、現在「できていること」と「できていないこと」を棚卸しして、実現する為には何が必要か?ということを整理されることをお薦めします。
2020年4月現在、まだまだ新型コロナウイルスの影響はおさまりそうにありません。今回は弊社での、ここ1ヶ月間のテレワークの事例を紹介しました。テレワークに早めに対応をしたことで感じたメリットや今後の課題について、これから始められる方に知っていただくことで、この記事が少しでもお役に立つことができれば幸いです。
上記の通り、弊社では、テレワークに役立つツールの個別デモ会を毎月開催しております。当面はどこからでも参加可能なオンラインでの実施となりますので、ご興味ある方はお気軽にお申し込みいただきご相談ください。