近年多くの企業がクラウドストレージを活用しています。中小中堅企業から大企業まで企業規模によらず、クラウドストレージを利用してさまざまなメリットを享受しています。今回はクラウドストレージの概要やメリット・デメリットなどについて解説し、ビジネスに最適な具体的なサービスも紹介します。
クラウドストレージとは
クラウドストレージは、直訳すると雲(クラウド)の補助記憶装置(ストレージ)です。クラウドとはオンライン上に存在するサーバーを指します。サービスを提供している会社がサーバーを用意し、管理や保守も行い、ユーザーはファイル共有や保管などができます。さまざまなメリットがあることから、最近では中小中堅から大手まで多くの企業がクラウドストレージを採用しています。
クラウドストレージのメリット
クラウドストレージを導入するメリットは主に4つあります。
低コスト
自社でデータの管理をする際に新規でサーバーを構築したり、保守のために専門の人材を割り振ったりすると高コストになりがちです。特に人件費は可能な限りカットしたいという方もいらっしゃるでしょう。クラウドストレージはサービスにもよりますが、無料で使用できるものから月額1,000円ほどのものもあり、低コストで活用できます。企業規模やユーザー数によって、データ容量を柔軟に増やせます。その際にも比較的安価な月額料金で利用可能です。
管理の手間がいらない
自社で管理する場合はメンテナンスやセキュリティ監視などの対応が必要になります。自社の人材を運用や管理に回してしまうと、他の作業を滞らせてしまいます。自社スタッフが効率的な業務を行うためにもクラウドストレージを利用することは重要と言えるでしょう。
共通の保管場所なので共同作業に向いている
クラウドストレージは、共同作業による業務効率の向上にも効果的です。例えば指定のデータを閲覧したい場合、どこにあるのかを問い合わせていたら時間の無駄です。クラウドストレージの決まった場所にデータを保存しておけば、どこにどのようなデータがあるのか一目瞭然のため作業効率が上がることでしょう。また複数のユーザーやチーム、部署、協力会社などの間でのコラボレーションが促進され、生産性の向上やアイデア創出も期待できます。
過去の状態に戻すことができる
「データ入力を間違えてしまった」「必要なデータを削除してしまった」「クライアントの要望で過去の状態に戻してほしい」などの場合、通常のデータ保管方法だと復元に苦労します。クラウドストレージの多くはデータが保存されるごとにバージョン管理を行っており、過去の状態に簡単に戻すことが可能です。自社側での管理を意識する必要もないため、有用性が高いメリットです。
いつでも・どこでもアクセス可能
クラウドストレージの多くはパソコンやタブレット、スマートフォンなど各種デバイスからアクセス可能です。営業先、出張先など出先でも、インターネット環境さえあれば場所と時間を選ばずに、即座にデータにアクセスできるので、素早い対応が可能になります。
クラウドストレージのデメリット
クラウドストレージにはさまざまなメリットがありますが、デメリットも存在します。デメリットにはどのようなものがあるか見ていきましょう。
インターネットが使えないと利用できない
クラウドストレージはインターネット環境がないと使用することができません。災害時などにインターネットが利用できなくなった場合に困ることが出てきます。ただし、サービスによってはオフライン状態でも作業でき、データの消失リスクを回避するものもあります。
セキュリティリスクがある
クラウドストレージは提供している会社がサーバーを用意しているので、そのサーバーが攻撃を受けた場合、個人情報の漏えいや利用不可能の状態になるなどのリスクが発生します。
障害発生時は復旧するまで待つ必要がある
災害やサーバー攻撃などの被害を受けた場合、復旧するまで待たないと利用することができません。自社でサーバーを構築して管理している場合は自社内の人材で復旧できますが、クラウドストレージの場合は提供会社に任せるしかありません。頻繁に起こるわけではありませんが、このようなことがあることは念頭に入れておくべきでしょう。
クラウドストレージの比較
クラウドストレージのメリット・デメリットについて分かったところで、ビジネスシーンでよく利用されている代表的なクラウドストレージサービスを4つ紹介します。
Dropbox
ファイル共有のサービスとして有名なのがDropboxです。パソコン・スマートフォン・タブレットなどのデバイスから簡単にアクセスできます。ファイルやフォルダごとのアクセス権限が設定できるので、役職や業務範囲などで柔軟に使い分けることができます。ビジネス向けプランではバージョン履歴管理やファイルの復元、ライブサポートなど、より利便性の高い機能が利用可能です。Dropboxでは4種類のサービスの中から自社に合ったサービスが選べます。
名称 | Basic | Standard | Advanced | Enterprise |
容量 | 2GB | 3TB | 必要に応じた容量 | 必要に応じた容量 |
料金 | 無償 | 月額1,250円 | 月額2,000円 | 要問い合わせ |
備考 | 基本的なサービスの利用が可能。30日間の履歴を残してくれる。個人向けから法人向けへの移行も可能。 | チームフォルダ機能が搭載されており、高度な管理も可能。小規模なチーム向けのプラン。 | Standardをバージョンアップさせたプラン。閲覧者の履歴やファイルイベントの監査も可能。中小〜大企業向け。 | 大企業向けのプラン。データ容量は実質無制限で管理者権限の付与など細かな設定が可能。 |
Box
ストレージ容量を気にせず使えて、コラボレーションにも向いているサービスがBoxです。シンプルに使うことができ、セキュリティにも長けている点が多くのユーザーから評価を得ています。社内外のメンバーとファイルの共有・共同作業が簡単にできるのも特徴のひとつです。Boxには4つのサービスがあり、状況に合わせて選ぶことができます。
名称 | Starter | Business | Business Plus | Enterprise |
容量 | 100GB | 容量無制限 | 容量無制限 | 容量無制限 |
料金 | 月額550円 | 月額1,800円 | 月額3,000円 | 月額4,200円 |
備考 | 3人から10人までの小規模チームにお勧め。2GBのファイルもアップロード可能。 | Starterの機能にプラスして5〜15GBのファイルアップロードが可能。データ損失防止機能もある。 | Businessの機能に加え、社外とのやり取りをするうえで必要な機能もあり、Salesforceなど外部アプリとの連携も可能。 | Business Plusの機能に加え、コンプライアンス機能も搭載。大企業向けの高度なセキュリティ対策も完備。 |
GoogleDrive
Googleが提供するクラウドストレージであり、Googleアカウントを持っているだけで15GBまでの容量を利用できます。カレンダー、ドキュメント、スプレッドシートなどとワンストップで連携が可能です。無料版と有料版がありますので違いを見ていきましょう。なお、下記以外にも30TBまでの容量アップデートが可能です。
名称 | 15GBプラン | 100GBプラン | 200GBプラン |
容量 | 15GB | 100GB_ | 200GB |
料金 | 無料 | 年額2,500円 | 年額3,800円 |
備考 | 無料で利用でき、必要に応じて容量の増加が可能。 | プラン共有やGoogleからの特別サポートもある。 | 基本機能は100GBと同様。メンバー向けの特典もある。 |
OneDrive
Microsoftが提供しているクラウドストレージであり、オフラインアクセスにも対応しているのが強みです。Office365とも連携しており、業務効率向上が期待できます。
名称 | OneDrive 基本 5 GB OneDrive 50 GB Office 365 Solo | OneDrive for Business Plan 1 OneDrive for Business Plan 2 Office 365 Business Premium | Office 365 ProPlus Office 365 Enterprise E1 Office 365 Enterprise E3 Office 365 Enterprise E5 |
容量 | 5GB〜1TB | 1TB〜無制限 | 1TB〜無制限 |
料金 | 無料〜月額1,274円 | 月額540〜1,360円 | 月額870〜3,810円 |
備考 | 主に個人向けのプラン。Office 365 Soloは、セキュリティ対策や生産性向上ツールなども利用可能。 | ビジネス向けのプラン。料金によって、セキュリティやコンプライアンス機能に違いがある。 | 大企業向けのプラン。Office系アプリケーションとの連携などさまざまなサービスが利用可能。 |
クラウドストレージを活用することで業務効率化を
クラウドストレージには、セキュリティ、生産性、コラボレーション、コストなどの面でさまざまなメリットがあります。また、クラウドストレージにはさまざまな種類があります。導入に際しては自社の業務内容や利用ユーザー数、データ容量、他アプリとの連携などを考え、専門業者に相談しながら活用を検討してみてはいかがでしょうか。