2Dや3Dのキャラクターを使って配信活動をおこなうYouTuberとして人気を博す「VTuber」。人気VTuberが企業とタイアップするだけでなく、企業が独自のVTuberを立ち上げる「企業公式VTuber」の動きも活発化しています。そんな企業系VTuberをマーケティング戦略として活用すべき理由はなんでしょうか?
Tooでは2023年1月にデビューした公認VTuber「出水虎々(いずみここ)」の活動を社内チームで運用しています。そこで、キャラクターデザインから3Dモデルができるまでの過程や、収録・配信の機材やソフトについてまで、企業系VTuber社内運用の裏側について、Tooのスタッフが包み隠さずご紹介します。
※この記事はTooで開催されたウェビナーをもとに構成されています。
企業系VTuberが期待される背景とは?
ビジネスウェビナーでのプレゼンや司会進行、展示会での接客や採用活動でのプレゼンなどVTuberが活躍するシーンはたくさんあります。「永遠の新入社員」としてTooで活動するVTuber「渋谷(しぶたに)いずみ」のように、YouTubeやSNSでの活動をメインにしなくても、企業系VTuberが活躍できる場所があります。
企業系VTuberが期待される背景としては以下の3点が挙げられます。
1 SNS活用の変化
SNSにより企業がユーザーとダイレクトにコミュニケーションすることが増えた今、ユーザーとの距離感が変わってきていることからのVTuberへの期待。
2 動画コンテンツの増加
動画コンテンツが増えていく中、社員が登場する動画コンテンツをつくることには難しさもある(出演した社員が辞めたら使いにくい、顔出しして出演したい人がいないなど)。また、他社との差別化やコンテンツのクオリティを上げるための新しい表現方法への期待。
3 親しみやすさ、わかりやすさ
ファンマーケティングでの活用や、説明が難しい商品をわかりやすく紹介する効果への期待
これらは、ブランドマーケティングへの期待とも言えます。VTuber認知から企業認知へつながることも期待できますし、VTuber好き世代へ訴求できることは次世代の企業ファンを広げることや採用活動にも効果が望めます。
企業系VTuberはマスコットキャラクターの進化系
企業系VTuberが企業にもたらす効果とはなんでしょうか?
VTuberはマスコットキャラクターの進化系と考えるとイメージしやすいかもしれません。VTuberを起用することでお客様との会話によるコミュニケーションが可能になるのが、マスコットキャラクターにはなかった新しい価値です。
企業系VTuberのポイントは、従来のマスコットキャラクター以上にバーチャルとリアルを横断した活動ができることです。
YouTubeやSNSでの情報発信やコミュニケーションはもちろん、店頭や展示会での接客やプレゼンテーションもできますし、ノベルティやグッズで親しみやすさを醸成することも可能です。
Too公認VTuberが語る企業系VTuberの作り方
続いて、株式会社Too公認VTuber「出水虎々(いずみここ)」を例に、企業系VTuberがどう作られていくかを紹介します。
まずは企業系VTuberを作る上で考えておきたいポイントを「目的、主な活動内容、キャラクター/中の人、収録配信、SNS/Web」の項目に分けて説明します。
目的
VTuberを活用する目的を決める
まず、1番最初に決めなければいけないのはVTuberを活用する目的です。目的を決めることで活動方針や運営体制も変わってきます。どんな活動をしたいのか? どんな新しい付加価値を生み出したいのか? 自社のビジネスシーンに合わせて想像すると、何のためにVTuberが存在するのか目的が決めやすくなるでしょう。
主な活動内容
活動内容に加え運用方法も決める
主な活動内容も先に決めておきたい項目です。YouTuberのようにエンタメ的な活動がメインの場合と、バーチャル社員のように商品やサービスの紹介など企業プロモーションがメインの場合があります。どちらかに絞る必要はありませんが、優先度を決めておくとよいでしょう。
運用については、どんなメンバーでどのくらいの頻度で運用していくのかを決めておくのも大切です。自社スタッフで担当するのか、外部に依頼するのかも決めておくとよいでしょう。また、企画によって必要な機材が違ってくるので、初期段階からメインの活動については大まかに決めておきたいところです。
キャラクター/中の人
キャラクターを作り「中の人」を決める
VTuberのキャラクター作成では、会社や製品のためにすでに存在しているキャラクターを活用する場合と、新規のキャラクターをゼロから作っていく場合が考えられます。
次に2Dか3Dかを決める必要があります。展示会で全身を使って接客したり、ダンスなど動きのあるエンタメコンテンツを作りたい場合は、3Dを選ぶことになります。求めるクオリティによって制作期間が大きく変わるため、活動開始の時期も考慮に入れて2Dか3Dかを決めていきましょう。
キャラクターの職業、性別、性格など細かい設定を考えた上で、キャラクターのデザインやイラストを作成していきます。そして、イラストをもとに2Dや3Dで動けるように、ポーズや表情などをつけたVTuberのモデルを制作します。
「中の人」は、声優・タレントを起用することもあれば、社員スタッフがおこなうケースもあります。事前に用意された原稿を読むだけであれば声優・タレントで対応できます。しかし、店頭やイベントなどリアルタイムの接客で質問に素早く適切に回答するには、社員・スタッフが担当する方が良いでしょう。
「中の人」は1人とは限らず、複数人で運用する場合もあります。女性キャラの声をボイスチェンジャーを利用して男性がおこなうなどさまざまな運用方法が考えられます。「踊ってみた」のダンス動画など動きに専門性が求められるケースでは、声と身体の動きを別の人が担当する必要があるかもしれません。
収録配信
収録配信をする上で、まず必要となるのが収録場所です。自社スタジオがあったり、会議室などをスタジオに改修できると理想的ですが、収録方法によっては通常の会議室を利用できる場合もあります。また、スタジオをレンタルすることもできます。
配信方法にはオンデマンドと生配信(ライブ配信)があります。オンデマンドの場合は動画編集を内製するか外注するかも考えないといけません。自社で生配信する場合には、ネットワークやキャプチャーなどの配信設備を整える必要もあります。
自社でできそうなこと、得意なことは社内のリソースで担当し、足りない部分はアウトソースする、得意を活かした運用体制を考えていくことが必要になります。
SNS/Web
SNSやWebの活用は、双方向のコミュニケーションにより親しみやすさを生む上でも重要な要素です。VTuberを自社のオリジナルメディアとして活用することをオウンドVTuberと呼んでいます。
VTuberなのでYouTubeでの活動がメインと思われがちですが、今は複数のSNSを特性に合わせてマルチに組み合わせて活用することが鍵になっています。VTuberそのものが人気者になる、または人気者の別のユーザーとつながっていくことで、企業や製品を知ってもらえますし、コーポレートサイトへの流入も期待できます。
Web施策ではコンバージョンを達成するための目標を設定する必要があります。フォロワーやチャンネル登録者を1年間で何人にする、Webサイトへのアクセスを何パーセント増加させるなどの具体的な数値目標を決めて、オウンドVTuberを活用していきましょう。
「出水虎々」が出来上がるまで
Too公認VTuber「出水虎々」は、Tooを知ってもらうこと、ファンになってもらうことを期待して生まれたVTuberです。ほぼ社内のリソースで運営しており、全国の拠点から10人くらいのメンバーが参加しています。
3Dモデルの制作のみ協力会社に外注したのですが、キャラクターデザインから日々のSNS運用、動画企画・編集まで社内メンバーでチームを作り分担しています。
「出水虎々」は、キャラクターデザインから始まり、それを元に3Dモデルを制作会社と作り上げていくワークフローで出来上がりました。
3Dモデルが完成し活動する準備が整ったら、まずは世の中のVTuberに倣ってSNSでのデビューの準備を進めました。2022年の12月からTwitter(X)の投稿を始め、2023年の1月に満を持して初めての自己紹介動画をYouTubeに投稿しました。その後SNS投稿は毎日、YouTube動画や配信は月2〜3回のペースで活動を続けています。
収録/配信の裏側
「出水虎々」はTooの自社スタジオで収録や配信をしています。スタジオは最初からあったわけではなく、取り扱う商材を紹介するウェビナーの開催が増えてきたことから、情報発信の効率化やクオリティの高品質化を目的に設置されました。
モーションキャプチャー
声と動きは別撮りすることもあり、スタジオではなく会議室でモーションキャプチャーでの収録をすることもあります。
人間の動きを計測して3Dモデルに反映させるモーションキャプチャーの機材は、5万円程度から数千万円のものまで幅広いラインアップがあります。「出水虎々」では、XSENS MVN Awindaをメインで使っています。この機材は17個のセンサーをマジックテープ付きのベルトで全身に固定して使います。なお、Tooではモーションキャプチャーを実際に体験できるデモ会も定期的に開催しています。
ライブ配信に必要な機材
ライブ配信に必要なものは大きく分けて3種類で、モーションキャプチャー/VTuberライブ配信ソフト/映像スイッチャーです。VTuberライブ配信ソフトは「出水虎々」ではVT LIVEを使っています。映像スイッチャーはBlackmagic DesignのATEMを使っています。
企業におけるVTube活用はTooにお任せください
Tooはお客さまのクリエイティブワークをサポートする会社ですが、社内でもクリエイター活動を推進する社風があることで、有志のメンバーで企業系VTuberの運営ができている背景もあります。
まずは、そういった社内の隠れた才能を見つけ活かすことで、企業系VTuberの運営をうまくスタートできるかもしれません。
もちろん、社内でできない部分をうまくアウトソースする運用体制も求められます。Tooはモーションキャプチャーから映像スイッチャーまでワンストップで紹介できるのもTooの強みです。さらに機材はもちろん、VTuver自体の制作やメタバース構築までお手伝いできますので、ご興味のある方はぜひご相談ください。
VTuber制作プラン
VTuberはプレゼンテーションや接客、ウェビナーでの講師など、さまざまな方面で活用できます。
企業や製品のイメージに沿ったVTuberをご提案いたします。キャラクターデザインから3Dモデリング、さらには運用まで、ご要望に応じて制作が可能です
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