大手コンビニエンスストアでも試験導入が始まり、注目を浴びるのがアバター接客です。この記事では店舗接客業務の効率化に課題を抱える方に向けて、アバター接客の実現や成功させるためのポイントを解説します。これからアバター接客のツール選定やパートナー探しを始めたい方におすすめです。
アバター接客とは?
アバター接客とは人の代わりディスプレイに表示されるアバター(キャラクター)を利用する接客スタイルのことです。人は現場にいる必要はなく、オフィスや自宅からPCやスマートフォン等を通じて顧客とコミュニケーションを取り、商品説明等の各種業務を遂行します。アバターにはアニメ・漫画調のものや、人に近いリアルなCGを利用するのが一般的です。アバターの形式は2D(2次元)モデルと3D(3次元)モデルに大別されます。
アバター接客の活用範囲
主な活用範囲は以下のようなものが挙げられます。
店頭での商品説明/販売支援
店頭に配置できないスタッフでも接客対応することできます。
展示会での商品説明
知識豊かな技術者が対応できたり、出張費の節約等にもつながります。
アバターを使った接客が注目される理由
ニューノーマルへの対応に迫られ、接客スタイルが変化が求められる。
新型コロナウイルスの流行により、接客を伴う経済活動が難しくなり,人の知識が必要な接客業務をどどうするかが課題となりました。さらにこれに追い討ちをかけたのが、人材不足です。少子化や人件費の高騰などにより優秀な人材の獲得が一層難しくなりました。
VTuberや漫画、コスプレの一般化によりキャラクターがより身近なものに
YouTubeでキャラクターを介した映像配信=VTuberの活躍も注目され、こういった背景から、商品説明にVTuberのようなキャラクターを活用しても抵抗がないのでは?という考え方もできるようになってきました。
特に若い世代では顕著で、リクルーティングや商品説明、ブランディングなどではむしろキャラクターの方がより親近感を抱けたりと、メリットが高い場面も出てきています。
また、ビジネスではリアルでの対面コミュニケーションが大幅に減りました。コロナ化の副産物としてリモート会議が一般化し、人々は画面を介したコミュニケーションが当たり前なったことも、背景にはあるようです。
限られた人材のスキルを最大限に発揮してもらえる
これまでも店頭等などで愛らしいロボットを活用した接客システムは存在しましたが、機能的にはサイネージ止まりのものがほとんどでした。Aiの進歩が著しいとはいえ、まだ本格的なコミュニケーションには人が必要です。
しかし、商材などの知識が豊富で話し方が上手く、接客が得意な人材は限られています。また、優秀な人材でもオフィスや店舗からは離れた場所に住んでいるケースもあるでしょう。
こういった人材に効率よく働いてもらえるための解決策としてもアバター接客は有効です。
店舗接客での実際の課題と解決例
コロナ禍で売り場にモニターを設置。商品に詳しいベテラン社員がモニターごしに接客する体制に変更しました。
しかし、リアルな人物を映すとお客様から話しかけにくいなどの声があり、リアル接客の時のような親しみやすさや話しやすさの演出が課題になりました。また接客スタッフは自分の顔が店舗のモニターに映っていることへの抵抗があり、心理的な負担を感じていたそうです。
そこでアバターを利用した接客システムを導入されました。
アバター接客のメリット
まずは改めてメリットを確認しておきましょう。
容姿や年齢にとらわれない
自信の顔を画面に映したくない人や、対面での説明が苦手な人でも従事できます。アバターが代わりに表に立ってくれているという安心感は、心理的安全性につながるようです。
働き方や場所を選ばない
オフィスや自宅などで対応できるため、テレワーク中や空いた時間のある人が接客可能です。同時接客でなければ、1名で複数拠点に対応できます。
専門的な知識を活用できる
マーケティングや開発職など、商品知識が豊富だが普段は接客をしない人でも従事できます。PC画面を見ながら接客できるので、不明な点があればITシステムを活用した説明ができます。遠方開催の展示会で出張しなくてもスタッフとして参加できます。
子供が近寄りやすくなるため、家族連れとの接触機会を増やせる
接客していない時はサイネージ機能も活用できるため、子供の喜びそうなコンテンツを再生しておくことで 家族づれなどへの集客効果も期待できます。
アバター接客を成功させるコツ
ブランドやサービスに合ったキャラクターデザインを
すでにあるキャラクターがいる場合はそれを流用できますが、ない場合はイメージに合ったキャラクター作りから始める必要があります。キャラクターは商品や企業そのもののブランディングに大きく影響しますので、目的に合ったテイストでデザインする必要があります。ブランドイメージが重要な場合は十分な配慮が必要です。
特に3Dモデルを利用する場合は、デザイン原画の忠実なモデリングが要求されますので、モデリング技術の高いパートナーを選択しましょう。
商品のポジショニングや接客対象によってカジュアルなアニメ・漫画調なのか、かっちり感のあるリアル系なのかを決める必要があります。
また、キャラクターの良し悪しは、個人の主観に大きく左右されがちです。プロジェクトスタッフの中で、位置付けやキャラクター設定などをしっかりと設計し、共有しておくようにしましょう。「そもそも何でこのデザインになったの?」ということにならないように注意が必要です。そのためにはMiroを代表とするオンラインホワイトボードなどのコミュニケーションツールをフル活用すると良いでしょう。
3Dモデルにこだわりすぎない
オリジナルのキャラクターを制作する場合、なるべくクオリティを上げたいものです。一般的には3Dモデルの方が動かせる部分も多く目が行きがちですが、2Dモデルに比べ制作コストも高く、運用も複雑になります。2Dモデルの場合は原画のテイストを反映しやすいというメリットもあります。3Dモデルでなくても、目的が達成できるかどうかを事前に見極める必要があります。
親しみやすさを感じさせるようにする
画面越しとはいえ、相手は生身の人間ですので、対応にはプロフェッショナルな接客クオリティが求められます。
相手に好印象を持ってもらう
相手から好感を持たれることも企業のブランディングを担う上では重要です。
明瞭な話し方
マイクとスピーカーになるので明瞭な発声が求められます。
豊かな表情や身振り手振り
コミュニケーションするにあたっては相手の話に合わせて適切なリアクションができることも重要です。コミュニケーションは声だけでは成立しません。人間と同様、コミュニケーションの壁をなくすには、笑顔はもちろん、困った、驚いたなどを顔や手足で表現できるのが理想的です。
豊富な専門知識により、信頼感を得る
質問に的確に素早く答えられる、相手に寄り添った回答をするなどリアルな接客と求められることは変わりありません。
アバター接客のプロを育成する
画面を見ながらの説明は、実際の物を手に取りながらの接客とはだいぶ勝手が異なります。たえばつい言葉で「これ」といってしまいがちですが、お客さまに伝わらないでしょう。そういった画面越しの説明スキルを磨くようにしましょう。
画面越しの接客ならではスライドも活用しましょう。見やすくわかりやすいスライドの制作も必要です。年配の方向けの商材であれば、文字を大きくするなどの配慮ができるようにしましょう。弱視の方への配慮をしたデザインがだとさらに良いでしょう。
店頭で注意を引けるようにする
活用する用途にもよりますが、アバター接客は単なる看板にならないようにする必要があります。通りかかっただけの人にどれだけ興味を持ってもらえるかを工夫する必要があります。例えばサイネージ機能があるソリューションでは、待機状態でキャンペーンの情報を流したりできます。また、能動的に接客したい場合は、通りかかった人に声かけすることも可能です。
静かな場所で対応する
他の人の声や雑音が入らないような場所で対応しましょう。
また、明瞭に聞こえるように、質の良いマイクの選択や適切な設置が必要です。マイクとイヤホンが一体になったヘッドセットがいいでしょう。
またなるべく人を認識しやすいように背景をシンプルにして、部屋を明るくしましょう。
接客先(店頭・展示会場)のネットワーク環境を把握しておく
動画でやりとりしますので、安定したインターネット環境は必須です。特に展示会場では無線LANが用意されていても、アクセスを他の用途と共有していて、繋がらなかったりすぐに切れてしまうなどのトラブルも起こりがちです。また、ディスプレイの設置や電源の確保。お客様の顔が綺麗に映る環境下などの確認をしましょう。
向いていることや活用法を理解する
● 専門性が求められる接客
● 時間帯によって混雑状況が大きく異なる店舗
● 遠方の展示会場・催事場 など
運用体制を設計する
以下のようなチェック項目などをあらかじめ想定し、確認しておきましょう。
- 接客先は何箇所あるか?
- どれくらいの頻度で接客が発生しそうか?
- 接客スタッフは何人をアテンドできるか?
- アテンドできるスタッフの数でローテーションはうまく回るか?(日程や時間割など)
- 専門的な知識をどれくらい求められるか?
例えば接客先が複数あっても、頻度によっては少ない人数で対応可能な場合もあります。事前に棚卸しておくことで、最適なソリューション選択が効率化します。
時間帯や曜日によって客層などが変化し、求められる商品知識等が異なる場合は、それに合わせてローテーションを組むなどの工夫をすれば、アバター接客ならではの最適化ができるでしょう。
取り扱いが簡単なソリューションを選択する
アバター接客を実現するには、人材の他にもシステムの構築が必要です。カタログ上では高機能なシステムでも利用する人が理解できないものは、活用が広がりません。なるべくシンプルで準備のいらないソリューションを選択しましょう。
例えば、ウェブベースのシステムであれば、接客スタッフの環境にはPCとウェブカメラ、ヘッドセットがあれば、スタートできます。
スモールスタートがおすすめ
スモールスタートという観点で見るとやはりおすすめなのが、取り扱いが簡単なオールインワン型アバター接客サービスの導入です。
アバター接客サービスは登場間もないソリューションで、まだ発展途上な面もあります。しかし利用しやすいサービスがさまざまな企業から登場しつつあり、ラインアップが豊富になりつつあります。こういったオールインワン型アバター接客サービスをまず導入して、PDCAを回しながら改善していくのがいいでしょう。
例えば、最初は専任の人をアテンドせずに、混雑する時間帯だけをアバター接客で対応するような体制からスタートさせてみはいかがでしょうか?必ず良い点や改善点が洗い出されてくるはずです。それを改善するための手段の決定と費用対効果をうまく調整しながら、運用体制を育てていきましょう。
また、スタートにあたってはサービスの選定だけに目を取られないように注意しましょう。運用体制を育てるにはサービスの提供だけでなく、しっかりと顧客と伴走して一緒に課題発見や解決法を探ってくれるパートナーを見つけることが重要です。もしかすると利用しているツールを切り替える必要も出てくるかもしれません。柔軟な考え方を持って取り組みましょう。
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