文書やデザインなどコンテンツ制作の現場で起こる「先祖返り」。更新したはずのファイルが、なぜか以前のファイルに戻ってしまうという大変困った事象です。直近のバックアップファイルから簡単に復旧ができればよいのですが、一から作業のやり直しになることもあります。先祖返りは誰もが避けたいミスですが、なぜ起こるのかその原因と予防・対策を解説します。
先祖返りとは?
文書やデザイン制作における「先祖返り」とは、修正や追加をしたはずのデータやファイルが何らかの理由で意図せず以前の内容に戻ってしまうことを意味します。
例えばパッケージデザイン制作において、実際の製品の撮影前に仮の画像データを使用して初校を提出したとします。二校時には撮影済みであったため、デザイン上で画像を差し替えて提出をしました。しかしその後、文字修正などを加えた三校では初校の仮画像に戻ってしまった、というものが先祖返りです。
この例では、デザイン修正などを施していない画像データのみが先祖返りしているのであれば、画像を差し替えて解決します。しかし画像に編集を加えたデータが失われたのであれば作業はやり直しです。さらに初校と三校の画像データが酷似していて(例えば新たに法律で追加された分類表示のみの違いなど)、見逃したまま印刷にかけてしまった場合の損害は甚大です。製品が市場に出る前であれば刷り直し、出た後であれば回収も免れないでしょう。
このように「先祖返り」は作業のやり直しや印刷物の刷り直しなどにつながる重大なミスです。しかし制作物にたずさわる誰しもに起こる可能性があるのです。
先祖返りが起こる原因
先祖返りが起こる原因はさまざまですが、ヒューマンエラー(人為的ミス)が原因であることが多いとされます。どのようなヒューマンエラーが先祖返りを引き起こすのか具体例を紹介します。
最新ファイルではなく以前のファイルを修正してしまう
これまでの修正がすべて反映された最新のファイルではなく、以前のファイルに修正を加えてしまったケースです。以前のファイルと最新のファイルには何らかの変更点があるはずですが、その変更はなかったものとして新たな最新ファイルが作成されてしまいます。そのまま作業が進めば、変更の反映が不完全なデータを利用した制作物ができてしまうでしょう。
そもそも最新ファイルがわからない
更新ごとのファイル名に規則性がない、各作業者が異なるファイル名をつけて更新しているなどにより、最新のファイルがわからなくなるケースです。最新ファイルがわからなくなると、確実に修正が反映されているファイルまで戻って作業をやり直しする必要が出てくるでしょう。
共有ファイル上で修正前のファイルを上書きしてしまった
社内サーバーなどで共有しているファイルを複数人が同時に修正作業をしている際に、先に修正が完了した作業者が保存したファイルを、後の作業者が上書きしてしまうケースです。この場合、先の作業者による修正は反映されずに最新ファイルが保存されてしまいます。ほかにもオンライン上の修正作業が重なってエラーを起こし、正しく修正が反映されないケースも考えられます。
上記に挙げた事例のように、作業者が確認を怠り、ファイルの保存や上書きなどをおこなうと先祖返りが起こってしまいます。また、作業者だけでなく校正・校閲で複数の部署を回覧する必要がある場合や、ファイルのやり取りをリモートワークの担当者とおこなう場合などにおいては、取り違えなどによる先祖返りがさらに発生しやすくなります。
先祖返りが「まさか」と思えるようなヒューマンエラーによって発生することが分かりました。どのような対策をすれば先祖返りにつながるミスを減らすことができるのでしょうか。
すぐに始められる先祖返りの予防と効果的な対策方法
作業のやり直しや製品の作り直しにもつながる重大ミス「先祖返り」。主な原因であるヒューマンエラーを回避するための今すぐできる予防策と、先祖返りが発生した場合の影響を最小限にとどめるための対策について紹介します。
上書き保存する前にファイルを確認する
ファイルを上書き保存するときには、それ以前のデータを置き換える行為であることを念頭に置きましょう。特に複数名で作業をしているファイルについては、他に作業者がいることを忘れないようにすることです。共有ファイルで作業する際には、作業前と作業後の上書き保存前に他の作業者に知らせるようにするとミスを防ぎやすくなるでしょう。
必要のないファイルはアップロードしない
当然ですがファイルの数が増えるほど管理は難しくなり、どれが最新のファイルなのかを見極めるのも難しくなるものです。複数で作業している場合ではさらに難しくなりますので、必要なファイルのみをアップロードして共有することが大切です。
ファイル名の規則(ルール)を決める
更新や修正をおこなう担当者の間で、ファイル名をつけるときの規則を決めることも効果的です。更新のタイミングを把握することが目的ですので、「元のファイル名+更新の日時」とするとわかりやすいでしょう。規則はファイルを更新する可能性のある人に周知し、全員が徹底して規則を守る必要があります。
バックアップを取る
予防策を取っていても、先祖返りが意図せず起こることはあります。その対策として重要なのは、先祖返りが起こる直前のデータに戻れるように更新の度にバックアップを取っておくことです。バックアップが更新の履歴として機能していれば、やり直しの範囲は最小限に抑えられるからです。
ルール決めだけでは、管理しきれない場合も
このように先祖返りを防ぐ具体的な方法は多数あります。しかし、チームメンバーが多くなったり作業のフローが複雑化したりすると、ルール決めのみの運用では防ぎきれないのも現実です。いくら管理側で「ルールの徹底を」と通告しても、面倒に思ったり、忘れてしまったりと、課題は残ります。ですので、スタッフの負荷も少なく確実に効果を得るには制作ワークフローのデジタル化が近道です。
デザイン制作で不可欠な校正フローをデジタル化することで先祖返りを防ぐ
バージョン管理ができるツールを使用する
制作フローをデジタル化し状況を見える化
先祖返りを防ぐには、すべての作業者が予防と対策を徹底する必要があります。とはいっても多忙であったり、納期に追われていたりするとヒューマンエラーは起こりがちです。そこで状況が見えずらくなる業務はバージョン管理ができるツールで管理する方法がおすすめです。
ツールはファイル名を自動生成し、修正の日時や変更した作業者の情報などを含んだバックアップを自動でおこないます。さらにオンラインの校正ツールであれば差分チェックも可能なため、データの取り違えによる先祖返りを発見しやすくなるでしょう。
先祖返りの予防には規則を守り、確認を徹底することが求められます。しかし、人間がすることなので間違いが起こらないということはありません。だからこそ確認フローを定型化できるデジタルツールに任せることは有効な対策と言えるのです。
オンライン校正ツールは「先祖返り」にも有効
変更や修正が以前の状態に戻ってしまう「先祖返り」ですが、発生の主な原因は確認不足によるヒューマンエラーです。先祖返りを予防するには適切な確認フローの構築が欠かせません。さらに先祖返りの予防に加え、柔軟な校正ワークフローが構築可能なオンライン校正ツールが注目されています。
オンライン校正ツールは万が一先祖返りが起きた場合にも、やり直しの範囲が見極めやすいので有用な対策になるでしょう。制作物を修正するごとに生じる履歴管理ができるので、最新のファイルを識別しやすくなります。大きな組織など、校正に関わる人が多数いる場合は、オンライン校正ツールが特におすすめです。「Ziflow」であれば、共同作業者の履歴を残し、差分チェックも可能です。
オンライン校正ツール「Ziflow」
Ziflowとはあらゆる制作物のレビュー・承認フローを効率化する、オンライン校正ツールです。シンプルで誰でも使いやすいインターフェースながら、バージョン管理や差分チェック、共同作業など、校正業務に必要な機能が揃っています。詳細なワークフローやフォルダの設計が可能なため、現状の業務フローのオンライン化・自動化をスムーズに実現します。
コンテンツのバージョンを管理し、先祖返りを防ぐことのできるオンライン校正ツールに関して詳しく知りたい方は「失敗しないオンライン校正ツールの選び方とは?」もご覧ください。
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