世の中がデジタルにシフトするとマーケティングも変化する
デジタル変革がマーケティングにも変化をもたらす
買い物の代金の支払いは、キャッシュレス決済で現金を使う機会が減りました。また街中にはスマートフォンで簡単に利用できる無人のレンタサイクルステーションが設置され、短距離の移動が楽になりました。そういった環境の変化は「デジタル変革」とも呼ばれ、生活者にとって、なくてはならないものとなっています。
この記事では、そういったデジタル変革が進む中、中小企業にとってのデジタルマーケティングの必要性とその理由を解説します。
デジタル変革とデジタル企業
デジタル変革とは?
デジタル変革はDX(Digital Transformation)とも呼ばれ「世の中にデジタルが浸透(ICT化)することで、生活者の環境をより良い方向に変化させる」という考え方です。
近年、ものづくりやサービス、流通・販売さらには学校教育など、我々の日常に関わりのあるものがICT化され、さまざまな情報がデジタル化されてきています。すると業種を超えたより良い顧客体験の提供が可能になりました。例えば、時間に余裕ある人(働き手)と人手の足りない飲食店(企業)をデジタルでつなぎ、便利なデリバリーサービスとして生活者に優れた体験を提供するUber Eatsなどがあります。
中小企業も対応の必要性
デジタル変革が進むと、突然ITベンチャーが競合として現れる
現状は大手企業や先進的なベンチャー企業が中心になって進めていますが、中小企業もデジタル変革に対応する必要性がでてきています。例えば、ITに強いベンチャー企業が、新規参入ならではの柔軟で自由な発想を武器に、デジタルを活用した優れた顧客体験を提供できるサービスを立ち上げ、突然競合として現れることもあるからです。
デジタルデバイスが企業との主な接点に
生活者にとってデジタルは生活の一部となり、友人とのコミュニケーション、情報収集やコンテンツの消費までさまざま形で利用されています。もしかすると「スマホってあなたにとって何?」という質問をしたら、「私そのもの」と答える人がいるかもしれません。
企業と生活者との接点はデジタルが主流になり、そうなると企業はデジタル変革に対応できる「デジタル企業」への転換の必要性に迫られてきます。
デジタル企業ができること
デジタル企業とは、AIなどの新しい技術を取り入れ、製品やサービス、マーケティングに活用し「これまでよりも良質な顧客体験」を提供することができる企業です。デジタル企業のデジタルはICTと置き換えることもできます。
● 顧客体験:顧客体験の提供や業務効率化に活用できる
IT技術の多くはオープン化され、コアな技術を自社で開発しなくても高度な機能が利用できるようになっています。こういった技術を自社のサービスや業務など、企業活動の様々なシーンに取り入れて、新しい顧客体験の提供や業務効率化を実現します。
● マーケティング:マーケティング戦略・戦術でITを活用できる
デジタルデバイスがタッチポイントの主流になった現在、デジタルがマーケティングコミュニケーションの前提となるマーケティング戦略立案を行う必要があります。デジタルは様々な定量的な情報が得られるのが特徴です。そういった情報を製品・サービスであれば品質の向上、マーケティング活動ではコンテンツや施策の精度の向上など、改善ループを回すための有用な資源として利用します。
デジタルマーケティングが必要な理由
共有・共感はデジタル主体で行われる
これまで、企業が提供したいものに生活者が接触する機会(タッチポイント)は、テレビ(放送)や雑誌(紙)が主流でした。しかし現在はそれにSNSやウェブサイトなど(デジタル端末)が加わり多様化、さらには大きな存在感をしめしています。
それは言い換えると共有/共感というフェーズが加わったということです。共有/共感の情報はSNSなどを主体に生活者自身がコンテンツを生成します。そういった情報はいわゆるUGC(User Generated Contents)と呼ばれます。生活者は企業側が発信する情報よりも、口コミなどのUGCを信用する傾向にあるといわれています。このようにマーケティングコミュニケーションにおいて、企業側が発信する一方的な情報だけでは不十分で、生活者が発信する情報をうまく活用することが重要ですが、それらは全てデジタルな情報です。
「顧客」から「個客」へ
マーケティングをパーソナライズするために行動データを活用する
マスメディアを利用したマーケティングの時代は、その対象は文字通りマス=大きな塊で、パーソナライズはされていませんでした。しかし現在はニーズが多様化し、 コミュニケーションをよりパーソナライズするマーケティングが求められています。よりパーソナライズされたマーケティング施策を打つには、多くの情報が必要ですが、デジタルならば比較的取得が容易です。
生活者の行動を取得し、コンテンツをパーソナライズ
情報に触れてから、コンバージョンを得るまでの、見込み客を育てていく際にもデジタルな施策が欠かせません。
現在の目的が、情報収集なのか、製品の比較段階なのか、購入段階なのか、さらには趣味嗜好まで想定できれば、それに応じたコンテンツをダイナミックに提供することでよりコンバージョンを獲得しやすくなります。デジタルであれば、行動データの分析から、そういったことの予想もしやすくなります。
デジタルなタッチポイント
購入方法、購入経緯(ジャーニー)、動機などがデジタル化・多様化
スマートフォンが情報取得の主な手段になった現在、生活者は1日のほぼ全ての時間帯でデジタルデバイスを利用します。それはデジタルなタッチポイントが移動中や就寝前、昼食時など生活の中に多数存在することを意味します。デジタルならばそういったタッチポイントに適切なタイミングでプロモーションを行うことができます。
企業はデジタルを活用してより生活者を知る必要があります。それは、マーケティング戦略や広告などの施策立案・実施などさまざまなフェーズで必要です。
デジタル変革にはデジタルマーケティングを
これからの企業はデジタルを活用し、取得した情報の中から生活者が求めているものをAIなども活用しながら効率的に探し出し、良質な顧客体験を提供することが重要です。そのためにはウェブサイトやセールスマン、店舗などが統一されたマーケティング戦略に基づいて、マーケティング活動を行う必要があります。
デジタルマーケティングに取り組むには
マーケティングの基礎知識を身につける
これからデジタルマーケティングに取り組むにあたって、マーケティングそのものの知識の取得と運用体制の構築が重要です。まずは、チームのマーケティングやツール利用の基本的なスキルの均一化を行います。さらにいわゆるPDCAなどの改善ループを回して、施策の精度をあげて日々改善していけるチームを作りましょう。企業としてデジタルマーケティングに取り組むためには、企業研修がオススメです。手を動かすワークも取り入れられており、コミュニケーションの活性化にもつながります。
ITの基礎知識を身につける
技術は日々進歩しており、追いかけることも大変です。そもそも基礎的な部分を理解していない場合、デジタルな話になってしまうと苦手意識が働いてしまいます。また、どうやって自社のサービスや業務改善に役立てていいかもわからない方も多いかもしれません。そういった方には、基礎知識が学べるセミナーがあります。非エンジニア向けの講座内容ですので、概要を把握したいといった方におすすめです。