Too/ソフトウェア・トゥー主催の、[第5回 x-rite Tooカラーソリューションセミナー]「i1を使用したモニターとプリンターのカラーマネージメント」が、2014年9月17日(水)にToo本社の「The Gallery Too」(東京都港区虎ノ門)で開催されました。

ビデオジェット・エックスライト株式会社にご協力いただいてのカラーマネージメントのセミナーシリーズの第5回目は、いよいよモニターとプリンターの色合わせがテーマです。

モニターとプリンターのカラーマネージメントの基礎について、Tooとx-riteが長年の検証により蓄積したノウハウをもとに実演を中心に紹介しました。

カラーマネージメントの考え方

はじめに、モニターとプリンターのカラーマネージメントについての考え方と、今回のセミナーで使用する機材について、ビデオジェット・エックスライト株式会社の冨川丈司氏が解説しました。


今回も講師を務めていただいたビデオジェット・エックスライトの冨川丈司氏

そもそも、プリンターで出力したものにモニタの色を近づけようという発想は間違いで、ターゲットとするカラースペースを運用の中心に置いて、各デバイスで目標となる色を再現するのが正しい考え方とのことです。


カラーマネージメントの正しい考え方を表した図

ターゲットとして今回はJapanColor2011標準プロファイルを使用すること、JapanColorは日本印刷産業機械工業会が日本の標準印刷の基準として策定したものであることなどが説明されました。

今回使用した機材は以下となります。

  • i1 Publish Pro 2(カラーマネージメントのためのオールインワンパッケージ)
  • i1iO 2(自動測色テーブル)
  • EIZO ColorEdge
  • iMac
  • Canon imagePRESS C1+II
  • Canon imagePRESS Server Z1

プリンターのキャリブレーション

続いての実演からは、Tooの米山淳が作業と説明を行いました。


Too東京第1営業部の米山淳

キヤノンのプリンターには、テストプリントを出力し、それをスキャンすることで補正を行う「自動階調補正」という機能があります。マシンのコンディションを整えるために、自動階調補正を定期的に行うことが推奨されています。


高い再現性と安定性能を兼ね備えたプロダクション向け複合機 Canon imagePRESS C1+II

この補正は事前に行ったということで、次にコマンドワークステーションというソフトウェアを使い、プリンターからカラーパッチを出力してi1Pro測定器で計測します。


今回はA4用紙に21パッチをルーラーを用いて読み込んだ

カラーパッチのCMYKのグラデーションの濃度を測定することで、目標値に対してどれだけずれているかが計測されます。この作業で、プロファイル作成にあたっての基礎データが作成されました。

プリンターのプロファイルを作成

続いて、プリンターのICCプロファイルを作成するために、カラーパッチを出力して測定器で計測します。
パッチ数が多ければ多いほど安定性が増すとのことで、4000パッチ以上、できれば7枚出力して6000パッチを計測するのが理想的とのことです。
ここでは自動測色テーブルi1iO 2を用いて自動で測定し、ICCプロファイルを作成しました。


ランダムに並んだスクランブルパッチの方がより正確に測定できる

JapanColor2011の色の値とプリンターで出力した色との差異をチェックするため、パッチを出力して計測します。計測結果は数値が範囲内に収まり無事に合格でした。


54パッチを出力して差異を計測


「合格」と表示され緑色のチェックマークが入った

これで、JapanColor2011の色で出力できることが数値的に保証された環境を用意できました。CMYKのキャリブレーションと作成したICCプロファイルにより、信用できる状態でプリントアウトできるようになったわけです。標準印刷認証を取った印刷所で印刷すれば、JapanColor2011をベースとした信頼できるカラーマネージメント環境を実現できます。

ソフトウェアの設定と出力したサンプルのチェック

最後に、Adobe IllustratorやPhotoshopといったソフトウェア側の色に関する設定の解説を行い、Illustratorからサンプルデータをプリントアウトします。

今回は、データにはプロファイルを埋め込まずに、サーバー側でCMYKにICCプロファイルを適用するというベーシックな運用方法を想定しています。

ところが、プリントアウトしてみるとマゼンタが強く(シアンが弱く)見え、カラーマッチングできていないように感じられました。しかし、JapanColor2011の色でプリントできているので見た目より数値を信用すべきとのこと。では、なぜ色が違って見えるのかというと、会場のLED照明が原因とのことです。


会場のLED照明の特性をグラフで解説

会場のLED照明の特性を計測したところ青の波長が少なく、その影響でマゼンタが強く見えていると原因が説明されました。環境光を色温度D50と設定してカラーマネージメントしているため、色温度D50の光源台に入れることで、正しく色が確認できました。
カラーマネージメントにおいて、適切な光源下での運用が重要だということが改めて示され、来場者のみなさんも納得されていたようです。


色温度D50に設定したカラービューワーにサンプルをセットし色を確認

カラーマネージメントにおいて大事なもの

まとめとして、ビデオジェット・エックスライトの冨川氏が、カラーマネージメントにおいて大事なものを「適切な機材と紙とプロファイルと光源」と端的に表現していました。

やはり、安価なプリンターでカラーマネージメントを行おうとしても難しいですし、カラーマネージメントに対応した適切な機材を使用することが前提となってきます。

また、プリントアウト時の用紙も重要です。コート紙の方が優れているので今回はコート紙を使用しましたが、普通紙でのカラーマネージメントも可能とのことです。コストと色合わせの厳密さとの兼ね合いで、併用してもいいという説明がありました。

「Too Creator's Fair 2014」として展示や別セミナーも開催

本セミナーは、「Too Creator's Fair 2014」の中の1つのプログラムとして行われました。

「Too Creator's Fair 2014」は、クリエイティブ業界で注目の最新製品の数々を、セミナーや展示・デモンストレーションを通じてじっくりご覧いただけるイベントとして、9月17日(水)、18日(木)に開催されました。




キヤノンマーケティングジャパン株式会社、富士ゼロックス東京株式会社、株式会社沖データ、株式会社ワコム、ビデオジェット・エックスライト株式会社、EIZO株式会社、株式会社インターコムに協力をいただき、こちらも大盛況のまま終了することができました。

大勢のお客様に「x-rite Tooカラーソリューションセミナー」および「Too Creator's Fair 2014」にご来場いただき、ありがとうございました。

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