Too主催の、Too curateセミナー「印刷から電子書籍まで対応できる、うまいデータの作り方 〜Illustrator、Photoshop、InDesign最新活用術〜」が、2012年2月14日に東京・EIZOガレリア銀座で開催されました。


アドビシステムズの大倉壽子氏

講師はアドビシステムズの大倉壽子氏です。今回は「うまいデータの作り方」ということで、印刷/電子書籍/Webに対応できるデータの作り方やデータ作成の効率化につながるテクニックを紹介していただきました。

ネイティブファイルでデータ運用

印刷用データはEPSでの入稿が安心という人もいまだに多いですが、EPSファイルには限界もあります。EPSでは透明が表現できないので、Illustrator上で透明度を使用したアートワークの場合「透明の分割・統合」が必要です。処理後のデータは重くなり、プレビュー時に分割されているところに白い線が見えたり、出力トラブルの可能性もあります。

また、Illustrator上に配置したEPSファイルにドロップシャドウなどの効果をかけると、トラブルになることが多いとのことです。

「これからのデータ作成は1ファイルで効率的に」ということで、写真やオブジェクトはすべてPhotoshop/Illustratorのネイティブファイルでデータ運用するのがアドビ推奨のワークフローとなります。

Illustratorでのデータの作り方のテクニック

Illustratorのテクニックとして、印刷とWebの両方に対応するためのデータの作り方や、ロゴ制作のTipsなどが紹介されました。

IllustratorからWeb用にビットマップファイルを書き出す場合、アンチエイリアスが予定外にかかってしまい、線がぼやけてしまうことがあります。新規ファイルを作成するときに「新規オブジェクトをピクセルグリッドに整合」にチェックを入れておくと、くっきりした矩形や線のビットマップデータを書き出すことができます。

アートボードを複数作ることができるのは印刷物作成の時にも便利な機能ですが、アートワークの一部をWeb用素材として書き出す際にも役に立ちます。

ロゴにかすれたブラシを重ね「不透明マスク」でマスクを掛ける方法や、「シェイプ形成ツール」を使ってロゴを2色に塗り分けるテクニックも紹介されました。


ロゴを塗り分けるのには「シェイプ形成ツール」を使用すると便利

Photoshopの効率化テクニック

次に、Photoshopのテクニックとして、CS5から搭載された「コンテンツに応じた」拡大・縮小や塗りの利用例や、多彩なバリエーションを簡単に作る方法、レイヤーの使いこなしなどが紹介されました。

Webサイト用のメニュー画像など、同じようなデザインのバリエーションを大量に作る場合、レイヤー分けして作成した各イメージをレイヤーカンプとして登録し、「レイヤーカンプからファイル」メニューを使い一括で個別に書き出しをすると便利ということです。


レイヤーカンプを使った効率化の紹介

JPEG画像を補正するとノイズが出てしまいますが、JPEGファイルもAdobe BridgeからCamera Rawで開くことができ、劣化を抑えた補正が可能となります。

InDesignのテクニックとワークフロー

最後に、InDesignのテクニックとして、Bridgeから配置する方法や段落スタイルの使い方などが紹介されました。

Bridge上で画像ファイルに商品名や値段などのキャプション情報を入れておくと、InDesign上に自動でキャプションを配置することが可能です。


InDesignは配置方法を中心に紹介

段落スタイルはEPUB形式に書き出す際にも重要となり、積極的に利用していきたい機能です。スタイルの定義は正規表現でも可能で、たとえばカギ括弧で囲まれたところだけフォントとサイズ、色などのスタイルを変更するといった柔軟な設定もできるそうです。

検索/置換は文字だけでなくオブジェクトに対しても可能で、たとえば同じ色の罫線を検索して違う色に変更することができます。

InDesignは印刷/電子書籍をターゲットした場合のワークフローの中心となるアプリケーションです。Illustrator、Photoshopで作成した素材は、ネイティブファイルをレイアウトすることで、直しにも対応しやすくなります。

フォントはOpenTypeを使い、アウトライン化せず、PDFでの埋め込みを行うのというのが、アドビが推奨するこれからのデータ作成となります。

その他、アドビシステムズからアップグレードポリシーの変更やキャンペーンに関するお知らせがありました。


ご来場いただいた皆様ありがとうございました

EIZOガレリア銀座はEIZO製品を体験できるスペース

セミナー会場ではEIZOのColorEdgeのデモを行っていました。
X-Rite社のColorMunkyを使ってディスプレイのキャリブレーションを行い、カラーマネージメントされた環境でアドビのソフトウェアの運用することを行うことをご提案しています。


ColorMunkyでキャリブレーションされたColorEdgeの紹介


セミナー会場後ろのスペースでの展示

会場のEIZOガレリア銀座は、EIZO製品を体験できるコミュニケーションスペースです。1階にはFlexScanシリーズ、ColorEdgeシリーズなどが豊富に展示してあります。2階はセミナー・イベントスペースとなっており、セミナーや写真展などのイベントを随時開催しているとのことです。


EIZOガレリア銀座の1階

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