アパレル製品向け3Dモデリングソフト『CLO』活用によるメリット – アパレル業界DXセミナーPart1「3Dで実現できる未来」

3Dで実現できる未来 -CLO活用によるメリット-

2021年12月16日(木)にオンラインで開催された「アパレル業界DXセミナーPart1 -3Dで実現できる未来-」より、セッション1「CLO活用によるメリット」のウェビナーの内容をご紹介します。

  • 主催:株式会社Too
  • 協力:オートデスク株式会社
    CLO Virtual Fashion Inc.
  • 講師:CLO Virtual Fashion Inc. 山田様
    株式会社ユカアンドアルファ 笛木様
アパレル業界DXセミナー

CLOとは?

最初に、CLOの開発元である「CLO Virtual Fashion」の会社概要をご説明いたします。弊社は、アパレル製品向けの3Dモデリングソフト「CLO」の開発から導入までをサポートしている会社です。開発会社である前に、コンサルタントとしてお客様のアパレルプロセスに弊社ソフトウェアを円滑に取り入れることができるようにサービスを提供しています。2021年現在、9つの地域にグローバルオフィスがあり、世界各国各地域に合ったCLOのサービスを提供しています。

日本国内では、CLO日本チームと国内代理店の「株式会社ユカアンドアルファ」が連携し、国内のユーザーを多様な方面からサポートしています。

CLOでできること

CLOを使用することで、バーチャルサンプルを活用しながら時間と場所を問わず、すべての職務同士でコミュニケーションを取ることができます。例えば、デザイナーはニューヨークでデザインし、そしてデザインを香港で受け取り、即座に3Dサンプルを制作できます。デザイナーは、いつでも3Dデータを確認してコメントすることができます。3Dデータのメリットを利用して、時差を気にせずに一晩で意思決定まで進行可能です。最近では、新型コロナウイルスの影響による働き方改革やSDGs達成貢献への注目により、世界的に3D利用の傾向が強まっています。

CLOを利用したデザイン実演

では、CLOがどのようなコンセプトでどのように作動するソフトウェアなのか、ご紹介いたします。
早速組み上げていきましょう。

まずは下図の右側、2D画面上でパターンを作成します。今回は既にパターンが開いている状態から開始しましたが、パターンデータを読み込む場合、方法は3通りあります。1つ目は「ユカアンドアルファ」のCADから直接CLOを開く方法です。2つ目は、他のアパレルCADメーカーにも対応している汎用の形式、DXF形式でインポートする方法です。3つ目に、IllustratorのAI形式で取り込む方法があります。

パターンの準備ができたら、まずは3D画面上でパターンを体の周りに配置していきます。縫い合わせ作業は、2D、3D画面どちらでも即座に行うことができます。自動縫製という機能もあり、服の種類を指定するだけで自動的に縫製してくれます。
縫製が完了したら、シミュレーションボタンをクリックします。即座に衣装がシミュレートされます。

CLOを利用したデザイン実演1
CLOを利用したデザイン実演2

平面を立体に組み立てることができました。こちらを使用してデザインをいくつか変更していきます。

例えば「袖を伸ばしたい」場合、袖口線をドラッグ、または伸ばしたい寸法を入力することで即座に反映できます。リブの追加や、衿の形状を2Dまたは3D画面上で変更してフードにすることも可能で、両画面で変更を即座に確認できます。衣装を実際に手で整えるのと同じ感覚で3D上で整えたり、フードをおろした状態を確認することができます。

CLOを利用したデザイン実演3

次に、前中心をファスナー開きに変更する作業を行います。前中心で衣装をカットし、ファスナーの機能を使用してファスナーを設定したい箇所を指定します。CLOでは、ファスナーの開け閉めを直感的に行うことができるため、自由なスタイリングが可能です。

CLOを利用したデザイン実演4

また、CLOではデフォルトで様々な素材をご用意しており、ドラッグアンドドロップで簡単に適用することができます。素材画像は、JPEGやIllustratorのAI、PhotoshopのPSDもそのまま適用することができます。

生地の柄位置の変更や拡大、縮小も自由に行うことができ、「この辺りに柄を出したい」、「柄のサイズはこれくらいがいい」というシミュレーションを3D画面上で即座に行うことができます。

CLOを利用したデザイン実演5

次にアバターは、実際の人体と同様に関節を持っており、関節を自由に動かしてポーズを変更したり、登録したポーズファイルをアバターに適用すると、即座にそのポーズを適用できます。ポーズ変更によって異なる着用感や見た目をご確認いただけます。

CLOを利用したデザイン実演6

続いて、アニメーション機能をご紹介します。モーションを適用してアバターの動きに合わせた衣装の着用感や動きを確認できます。例えば、下図のように、衣装を着用したアバターをCLO内でウォーキングさせることができます。デフォルトでいくつかのモーションを提供しており、どなたでも自由にご利用いただけます。

CLOを利用したデザイン実演7

次に、レンダリング機能です。レンダリング機能の使用により、より実物に近いリアルな状態で衣装をご確認いただけます。下図の左右を見比べると、右側のレンダリングデータは細かいシワや陰影が反映され、よりリアルに表現されています。CLOはライティング等細かいレンダリング設定が可能で、このレンダリング機能が強みでもあります。複数のカラーウェイ衣装を一度にレンダリングすることも可能です。

CLOを利用したデザイン実演8

カラーウェイモードでは、カラーバリエーションを即座に追加したり、3D上で確認することができます。

プリントレイアウトモードでは、下図のように反物上にパターンを並べた状態で配置シミュレーションができ、3D上での柄位置と共に用尺を即座に確認することができ生産工程で便利にご利用いただけます。カラーウェイごとに用尺を確認できるため、各柄でそれぞれ異なる用尺も手軽にご確認いただけます。

CLOを利用したデザイン実演9

BOMモードでは、アパレル生産にかかるコストを設定、確認することができます。生地やボタン、ステッチなどの金額をそれぞれ設定することで、実際の生産時の原価を確認できます。この機能によって、コストを意識しながら企画・生産を進行することができます。

CLO導入のメリット

ここからは、CLO導入によるメリットを大きく4つに分けて紹介します。

  • リードタイムの短縮
  • 制限のないデザイン
  • コミュニケーションの効率化
  • デザインデータベースの構築

この4つが代表的なメリットとして挙げられます。

まずは、「リードタイムの短縮」について説明します。

従来のデザイン決定・サンプル開発・生産プロセスは、下図の上部のように数多くのステップを繰り返すことが必要不可欠でした。しかし、既存のプロセスに3Dを導入した場合、下図の下部のように現物サンプルに近い結果を3Dで確認しながら、現物サンプル数を減らすことができます。そのため、量産進行までのコストや時間を節約できます。

CLO導入のメリット1

2つ目のメリットは、「制限のないデザイン」の実現です。

数回のクリックだけで簡単にデザインを変更でき、3D上で制限なく様々なデザインを試せることは、CLO導入の大きなメリットの1つです。より多く、そしてスピード感のあるデザイン提案が可能になり、質の高いデザインを消費者に提供することができます。

CLO導入のメリット2

3つ目のメリットは、「コミュニケーションの効率化」です。

企画から生産までの過程において、内部・外部とのコミュニケーションは重要な要素の1つです。CLOを導入することで、コミュニケーションを素早く簡単に取ることができます。CLOで作成した結果は3D状態のため、詳細情報を現物サンプルが存在しない状態でも詳しく伝えることができ、より正確なサンプル作成に役立ちます。

また、CLOの衣装を確認できる3D Viewer機能を備えたプラットフォームである「CLO-SET」を活用することで、時間と場所に関係なく3Dサンプルデータを活用できます。これにより、即座にデザインの細部まで意見を交換でき、スムーズで良質な商品開発ができます。

CLO導入のメリット3

4つ目のメリットは、「デザインデータベースの構築」です。

3Dの活用でパターンやサイズ、生地プリントなど衣装に関するすべての情報を1つのファイルに集約することができるようになり、3Dファイルをデータベースとして管理することが可能になりました。CLOを通じたデータベース化は、下図のように過去のシーズンのデザインパターン情報を即座に呼び起こして再利用でき、効率の良い製品生産に繋がります。

CLO導入のメリット4

CLO導入に必要なこと

CLOを更に効果的に業務内に取り入れるためには、3D導入のためのプロセスとロードマップ、専門的に3Dを利用できる人材、そしてトレーニングの3つが重要になります

CLO導入に必要なこと

CLOは、デザイン・ピットチェックのように特定部分のためのソフトウェアではなく、お客様のプロセス全般に変化をもたらすソリューションです。そのため、CLOを導入する段階から内部プロセスでCLOに置き換えられる部分について検討し、プロセスの変化する段階をロードマップで計画する過程が必要です。弊社は、様々なお客様の状況から得た経験をもとに、お客様のプロセスに適したCLOの使用手順の設計をサポートしています。

また、3Dを効果的に活用するためには、専門的な3Dの人材やチームの存在が必要です。3D専門チームは3D作業のためだけではなく、CLOというソリューションを理解し、導入プロジェクト全般を先導するチームです。このような専門チームの存在によって、社内の3D拡散速度をより高めることができます。CLOを効率的に活用しているお客様の場合、3D専門チームからスタートし、デザイナーやパタンナー、そしてベンダーへとプロジェクトを拡張しているケースが多く見られます。

プロセス内でCLOを活用するためにトレーニングは必須です。お客様の計画に合わせて、CLOの専門講師がトレーニングを実施しています。導入成功のために、弊社、株式会社ユカアンドアルファが全面的にお客様をサポートしています。単純にソフトウェアを販売するだけではなく、お客様の業務プロセスに定着させ、効率的な導入のためのコンサルティングや、導入後適切に利用するためのトレーニングサポートなど、様々な支援を提供しています。そして弊社では、お客様との経験と意見を反映し、ソフトウェアを常に発展・開発しています。

以上でCLOのプレゼンテーションを終了します。

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