MacのOSがアップデートできない時に考える、OSサポート期間と古いデバイスのリスクの話。
OSアップデートができない?このデバイス、古すぎ…?
2024年9月17日、ついに最新macOS Sequoiaが登場しました!
早速、最新macOSへアップデートしたくても、「利用可能なアップデートがありません」と表示されたり、エラーが出たりして困っていませんか?
OSアップデートができない要因はいくつか存在します。
ネットワークの不調やストレージ不足も考えられますし、一時的なシステムの不具合であれば、再起動やセーフブート起動で解消する可能性もあるでしょう。
いくつかの対応方法は、公式にも案内されています。
https://support.apple.com/ja-jp/102531
※Mac内のデータに影響を及ぼす可能性もありますので、注意して行なってください。
一方、新しいOSのサポート対象に入っていないMacを使っている場合は、最新のOSへアップデートすることが出来ません。
その場合、どんな問題が起こりうるでしょうか?
このブログでは、macOSの歴史にも少し触れながら、こうした古いMacやiPadを使用することのリスクについて詳しく解説します。
macOSのサポート期間は何年?
OSのサポート期間 = セキュリティ対応を含む必要なアップデートが行われる期間、と言えます。
ちなみに正式には、頻繁にリリースされるパッチでOSのセキュリティや機能を強化し、デバイスを保護する「マイナーソフトウェアアップデート」に対し、オペレーティングシステムの機能、ユーザインターフェイス、および全般的な外観に関して、前バージョンからの重要な変更を伴うOSのメジャーバージョン変更を「ソフトウェアアップグレード」と言います。
この記事ではアップデート、アップグレード、および緊急セキュリティ対応を含む言葉として、(ソフトウェア)アップデートという語句を用います。
実はmacOSに関しての正式なサポート期間は、公表されていません。
しかしここ数年のOSバージョンを見る限りでは、【現行OS+過去2世代分のOS】に関しては、セキュリティ等のアップデートが提供されています。
最近のバージョンを年表で振り返ってみましょう。
年 | バージョン | 名称 | ポイント |
2009 | Mac OS X 10.6 | Snow Leopard | |
2011 | OS X 10.7 | Lion | バージョン表記変更 |
2012 | OS X 10.8 | Mountain Lion | |
2013 | OS X 10.9 | Mavericks | 無償提供開始 |
2014 | OS X 10.10 | Yosemite | |
2015 | OS X 10.11 | El Capitan | |
2016 | macOS 10.12 | Sierra | バージョン表記変更 |
2017 | macOS 10.13 | High Sierra | |
2018 | macOS 10.14 | Mojave | |
2019 | macOS 10.15 | Catalina | |
2020 | macOS 11 | Big Sur | Appleシリコン登場 バージョン表記変更 |
2021 | macOS 12 | Monterey | |
2022 | macOS 13 | Ventura | |
2023 | macOS 14 | Sonoma | |
2024 | macOS 15 | Sequoia | 最新ver |
なお、macOSの歴史は動画でもご紹介していますので、興味がある方はこちらもご覧ください。
【Macまめ知識】5分で解説!macOSの歴史
つまり最新のOS「Sequoia」(macOS 15)が出た今、1つ前の「Sonoma」と2つ前の「Ventura」に関しては、セキュリティリスクがあった場合にアップデートが提供されていくと予想できます。
セキュリティパッチやバグ修正といったアップデートを受けられないOSは、サイバー攻撃に対する脆弱性が発見されても修正されない…ということです。
ハッカーの攻撃手法も日々変化する中、3世代前より古いOSを使い続けることはリスクが高いと言えます。
続いて、ハードウェアとOSの互換性を見ていきましょう。
最新macOS Sequoiaへの対応モデル(発売時期)は下記の通りです。
- iMac:2019 以降
- iMac Pro:2017 以降
- Mac Studio:2022 以降
- MacBook Air:2020 以降
- Mac mini:2018 以降
- MacBook Pro:2018 以降
- Mac Pro:2019 以降
機種によって多少バラつきが出ているのが分かります。
各機種の販売された年にも関係するのですが、特に「MacBook Air」に関しては、2020年より以前の発売モデルが一気に最新OSの対象外となりました。
4年前に発売されたデバイスで、ようやくギリギリ今回のアップデートを行えるということです。
想像より短い、と思われたかもしれません。
技術の進歩が著しい昨今、デバイスとOSの発展のためにはこのくらいのスピードで世代交代していく必要がある、という意思決定と見ることもできそうです。
続いてアップデートサポートが提供される最古のOSと思われる「macOS Ventura」の対応モデルを見てみましょう。
- iMac:2017 以降
- iMac Pro:2017 以降
- Mac mini:2018 以降
- MacBook:2017 以降
- Mac Pro:2019 以降
- Mac Studio:2022 以降
- MacBook Air:2018 以降
- MacBook Pro:2017 以降
macOS Venturaは、2017年発売のMacBook Pro、2018年発売のMacBook Airがギリギリでアップデート可能です。
約6~7年前のモデルですが、Venturaが入っている限り、セキュリティ面のアップデートは受けられることでしょう。
それではMacは6~7年程度は利用可能なのでしょうか?
OS以外のリスク
前項で、セキュリティアップデートが受けられないOSが入ったMacを使い続けるのは危険であること、2つ前の「Ventura」まではしばらくOSのアップデートが提供される想定であることが分かりました。
(いつサポート終了するかの決定権はメーカーが持つため、過信は禁物ですが…。)
一方、Macを使い続けるにあたってはOS以外のリスクも考える必要があります。
ハードウェアの劣化
Appleの製品は高品質で長く使えることで知られていますが、ハードウェアは日々の利用に応じて必ず劣化します。
特にiPhoneやiPadでは、バッテリーの経年劣化は顕著です。
設定アプリ > バッテリー > バッテリーの状態と充電 で、現在のバッテリー容量を確認することができます。
もちろんMacも、使用年数に応じて内蔵ハードディスク、ディスプレイ、キーボードの故障確率は上がっていきます。
参考データとして、Tooで2022年と2023年で修理したMacモデル数順を一部グラフで出してみました。
(弊社ではApple正規サービスプロバイダとして、販売したMacの修理対応を行っております。)
2020年発売のM1 MacBook Airの修理総数が最も多いですが、2022年(発売2年経過)から2023年(発売3年経過)でも倍以上の修理数になっていることが分かります。
修理台数の多さ自体は、M1チップに切り替わり、販売数の多かった人気モデルであることも由来するかもしれません。
また、2020年/2021年発売の各MacBook Proですが、こちらも発売からの年数が経つごとに修理数が増えています。
なおMacBook Airよりも修理台数は少なく、特にこの時期のモデルは、AirよりもProの方が壊れにくかったというのは言えそうです。
いかに高品質なMacとはいえ、日常で使う精密機器である以上、やはり経年による劣化は避けることができません。
※モデル毎の販売総数、販売時期、各PCが使われた経過年数、用途等が異なるため、要素一律の故障数データではないことにご留意ください。
※修理数は自然故障とアクシデンタル故障の総数です。
マシンスペック向上を前提とした技術進歩
数年に一度、新しく発売されるMac。そのスペックは、CPUやメモリの数値で見る以上に進化しています。
例えば話題の「Apple Intelligence」に始まり、OSでも各ソフトウェアでも、機械学習を前提とした機能のアップデートが相次いでいます。
こうした最新技術は、その乗り物であるMac本体も、一定以上の処理能力を備えた、新しい機種であることを前提に進歩していきます。
Apple Siliconへの切り替え以降、M1 → M2 → M3 →M4(iPadに搭載済) と、搭載するチップも順を追って進化してきました。
この搭載チップによって、パフォーマンスにも大きな開きが出ることはご存知でしょうか。
こちらも参考で、Too社内で旧機種とM3 Proチップ搭載機種で動作調査した結果を見てみましょう。
※弊社で過去に実施したイベント資料からの抜粋です。
【比較デバイス】
Mac mini(2020):M1(8コア):GPU(8コア):メモリ 8GB
MacBook Pro(2024):M3 Pro(11コア):GPU(14コア):メモリ 36GB
同機種での比較とならず申し訳ないのですが、Adobe製品を使ったタスク実行について、新しいデバイスでは明らかな差をつけて高速処理できていることが分かります。
M3チップとの数値的な比較は、別記事もご参照ください。
新発表のM3チップをM1/M2チップと比較して解説!Apple Siliconチップの性能向上は著しく、1世代上がることでも大きく性能が変わります。
それらの進化に追随せず、7~8年前など古いデバイスを使うこと自体が、業務効率と生産性の面で大きなリスクとなり得るのです。
また、古いデバイスによる利用はソフトウェア側が想定していないことも多く、デバイスの動作が遅くなったり、アプリケーションがフリーズしたりとパフォーマンスが低下する可能性もあります。
まとめ
最新のmacOS Sequoiaは、2018年より以前に発売されたMacBook Proや、2020年より以前に発売されたMacBook Airではインストールすることができません。
また、Mac ProやMac Studioといった据え置き機では、新機種までの間隔がノートブックより開くことが多く、タイミングによっては最新OS対象外までの経過年数がよりシビアになる傾向です。
こうした点を踏まえると、新しいOSをきちんと使っていくなら、3年~4年程度で入れ替えを検討する方が良いでしょう。ソフトウェアやアプリケーションの開発も、新OSへの対応を前提に進んでいきます。
OSのサポート期間の面から考えると、3世代前のOSが入るデバイスであれば、ある程度セキュアな環境で利用できます。つまり個人利用に関しては、Macの高いハードウェア性能を考慮すると、5~7年程度は使えるかもしれません。
しかし、業務等で毎日長時間利用する場合は、よりデバイス本体の劣化速度が速くなってしまいます。
故障の確率も年々上がってくるため、快適に使い続けるには、3年経過する頃には入れ替えを視野に入れておくことをお勧めします。
そして何より、目覚ましいApple Siliconチップの性能向上を享受し続けることで、Macのパフォーマンスを最大限に活かして生産性を上げることができるでしょう。
2~4年のスパンでデバイスを入れ替えるなら、法人専用のリースを利用する企業も増えています。
併せてぜひご確認ください!
記事は2024年9月18日現在の内容です。
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