【Mac・iPad活用事例】1人2台体制でのデジタルクリエイティブ教育【立命館守山中学校・高等学校】
iPad・Mac活用事例第5弾!
ICT教育って、実際何から始めたらいいの?
デバイスを導入したはいいけど、使用方法について具体的なイメージを思い描けない…もしくはこれから導入を検討している。
そんなお悩みをお持ちの方に向けて、本記事ではMac・iPadの授業活用について他校の事例をご紹介します。
内容をレポート形式でお伝えする本シリーズ第5弾では、立命館守山中学校・高等学校 伊藤久泰 先生によるマイクデモ「高等学校におけるMacとiPadの1人2台体制でのデジタルクリエイティブ教育の高度化を目指して」をお届けします!
※本記事の内容は2024年5月のEDIX Tooブースにてお話いただいた内容です。
「ICTを活用する」から「ICTを使って創造する」へ
2019年よりMacBook AirとiPadの1人2台体制を構想・研究し、2023年度高校入学生から生徒1人2台持ちの環境を整備した立命館守山中学校・高等学校。
高等学校ではMacでできること・iPadでできること、それぞれの長所を活かしたカリキュラムを実践しています。
使用する教材・学習ペース・学習方法は、生徒自ら選択する時代を迎えていると述べた伊藤先生。
Mac・iPadの2台を所持することで生徒の選択肢を広げ、その中から自ら選ぶことで自主性を育てる…その自主性こそが、生徒の学習へのモチベーションにつながるそうです。
同校では「ICTを活用する」からさらにステップアップした「ICTを使って創造する」考えが浸透しつつあります。
1人2台体制をとったことで、学習内容がどのように変化したのかお話しいただきました。
なぜ1人2台体制なのか
生徒1人がMacとiPadの2台を持つ目的について、伊藤先生は「Game Changer」を育成するためだと語ります。
Game Changerとは、従来とは全く異なる視点や価値観をもって状況に変革を起こす人のこと。
ここでは特に、デバイスを「利用する」立場から脱却し、新しい価値や可能性を引き出す生徒を指します。
同校では、2014年度入学生からiPadを活用してこられた先生方の到達点の上に、高等学校ではMacとiPadそれぞれの長所を活かし、用途に応じて柔軟に使い分けることにより、学習内容の高度化を図っているそうです。
Mac・iPad別使用例
Mac
・レポート/論文
・データ分析
・高度な動画編集
・DTP/Web制作
・プログラミング(ゲーム・アプリ) など
iPad
・デジタル教科書
・ノート
・写真/動画撮影
・アプリの活用 など
加えて1人2台体制のメリットとして、場所を選ばずインプット・アウトプットを自在に行える点も挙げられます。
調べ物をする際、成果物を制作する際など、コンピューター室で取り組まなければならないという場所の制約を取り払うことにも繋がったとお話しいただきました。
「ICTを使って創造する」授業
このようなICT環境を以て、同校では具体的にどのような授業を展開しているのかについてもご紹介いただきました。
情報科
情報Ⅰの学習内容だけでなく、Python言語、HTML/CSSなど、テクノロジーの基礎学習においては、個々のペースで学ぶ・作る・動かすことに重きをおいているとのこと。
情報科では外部のテクノロジー企業の協力も得つつ、個人端末で授業内容を振り返ったり、自身の学習状況に応じて課題に取り組んだりと、個別最適化された学習方針を実現しています。
メディアデザイン(高校3年次)
高校3年次に受講できるメディアデザインの授業では、外部企業とともに授業を運営し、映像制作に取り組んでいます。
企画から撮影、編集、公開まで、一連のプロセスを実践することで、生徒がより専門性の高い内容を学習できる体制を整備。
Macを用いることで、映像制作時の高負荷な編集やエンコード処理もストレスなく実行できます。
生徒の学習形式について、ICT導入以前は一斉講義形式に加えて、一部アクティブラーニングなどにも先んじて取り組んでいる先生方もいらっしゃいました。
しかし当時は授業準備に多くの時間と労力がかかったため、なかなか多くの授業で取り入れることが難しい状況でした。
ICT導入後は講義形式だけでなく、アクティブラーニング、講義動画やAIアプリを活用した個別最適化学習など、多様な授業形式を組み合わせて授業を行うことが出来るように。
教材、ペース、方法を生徒自身がそれぞれ選べる環境が実現したことで、自分で考えて行動を起こす、能動的な学習姿勢の育成にもつながっています。
生徒の学びを支える取り組み
校舎のリノベーション
前章の通り、同校では様々な授業形態を組み合わせて生徒の学びを支えています。
この環境を実現するには、一斉授業、アクティブラーニング、個別授業、少人数授業に柔軟に切り替えられる校舎作りが必要だったとのこと。
そこで同校は2023年から中学校の教室・廊下のリノベーションを開始し、廊下にも学習スペースを設けることで、どんな授業形態にもシームレスに対応可能な校舎を用意しました。
教員貸与のICT機器
同校では生徒のデバイス配備に伴い、2022年より授業を担当するすべての教員(非常勤講師含む)約200名にPCとiPadを貸与。
PCはWindows PCかMacのいずれかから、教員が各々使用する機種を選択できる従業員選択制の考えを採用しています。
Microsoft IntuneとJamf Proによる二刀流のMDM管理により、複数のデバイスプラットフォームを効率的かつセキュアに管理しています。
普段から慣れ親しんでいるPCを使用することで、教員の作業効率・パフォーマンスの向上を期待できるだけでなく、iPadも併せて貸与しているため、生徒所持のAppleデバイスとの互換性も保たれています。
進学・就職を見据えたアプリ選択
同校では、大学生や社会人が使用しているアプリを導入し、生徒の活用を促しています。
Microsoft 365
(Word、Excel、PowerPoint、OneDrive)
レポート・プレゼンテーション等の作成、データ共有
Zoom
オンライン授業、オンライン面談
Adobe Creative Cloud
動画作成、デジタルメディア作成、AIを活用した画像生成
Google Workspace
Google Classroomを中心に、コースツールの利用、提出物の管理、試験返却 など
大学進学後、就職後に使用しうるアプリに在学中から触れ、慣れ親しむことで、卒業以降も活用できる経験や知識を培うことができます。
まとめ
Macでできること・iPadでできること、それぞれの長所を活かし、生徒のアイデアを形にして社会に貢献できる力を養うことが必要だと述べた伊藤先生。
同校では「ICTを活用する」から「ICTを使って創造する」との考えが浸透しつつあります。
生徒が使用する教材・学習ペース・学習方法を生徒自身で選ぶ時代を迎えており、その自主性が生徒のモチベーションにもつながるとのことでした。
記事は2024年11月14日現在の内容です。
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