【セミナーレポート】Illustratorを使いこなそう!〜春のアドビセミナー2023〜

「[TooxAdobeセミナー] Illustratorを使いこなそう!〜春のアドビセミナー2023〜」が2023年4月21日(金)にオンラインで開催されました。作業の効率化やミスを防ぐためのヒントをお届けする内容で、新人、ベテラン問わずAdobe Illustratorを使うすべての人に見ていただきたい情報ばかりでした。講師はAdobe Community Evangelistの鷹野 雅弘 氏で、ファシリテーターは株式会社Too/Too Training Center Desi講師の前田 勝規が務めました。

株式会社スイッチの鷹野 雅弘 氏(右)とTooの前田 勝規(左)
株式会社スイッチの鷹野 雅弘 氏(右)とTooの前田 勝規(左)

エビングハウスの忘却曲線と木こりのジレンマ

講師の鷹野さんが最初に紹介したのが、「エビングハウスの忘却曲線」の話です。人は学習したことの80%を1ヶ月後には忘れてしまうとのことですが、意識的にアウトプットすることで記憶が定着しやすくなる効果があるそうです。なので、このセミナーの内容もSNSなどでアウトプットすることを勧めました。

エビングハウスの忘却曲線
エビングハウスの忘却曲線

今回のセミナーは、「効率化/環境設定/ドキュメントプロファイル/アピアランス/AI」の6つの項目で話をしました。「効率化」の項目で、まず紹介したのが「木こりのジレンマ」の話です。斧の刃を研げば楽に木を倒せるはずなのに、毎日忙しくて刃を研いでいる暇なんかないという例え話をもとに、せっかくこのセミナーに参加したのなら刃を研ぐためのヒントを持って帰って欲しいと鷹野さんは話します。

数秒の効率化が積み重なると大きな時間短縮に

Illustratorの効率化を考えることで仕事が早く終わることがあるはずと紹介したのは、ツールバーやキーボードショートカットの設定といった、地味で初歩的ながら大切なことでした。

ツールバーをカスタマイズしてよく使うツールを選びやすくしたり、キーボードショートカットを使いやすいように登録しておくことでの効率化は、1回の操作では1秒2秒程度かもしれません。でも、それが何百回と積み重なると大きな時間短縮につながるはずという説明に、「刃を研ぐ」ことの重要性を感じた人も多いと思います。

左手で操作できるようカスタマイズしたショートカットの例
左手で操作できるようカスタマイズしたショートカットの例

右手にマウスを持ったままキーボードショートカットが使えるように、左手で操作できる位置のキーに長方形ツール、楕円形ツールなどを割り当てているという鷹野さんの話には、なるほどとToo前田も感心していました。ほかにも鷹野さんがカスタマイズしているキーボードショートカットと覚え方も興味深いものでした。

環境設定はインストール直後がベストではない

次にIllustratorの環境設定についての解説です。環境設定は軽視されがちですが重要で、インストール直後がベストではないので「いじらなきゃだめ」と強調していました。必ず変更しておきたい5つの環境設定の紹介は、たしかに初期設定から変更した方が理にかなっていると感じるものばかりでした。

環境設定はインストール直後がベストではない
環境設定はインストール直後がベストではない

エリア内文字の"文字あふれ"から解消されるように自動サイズ調整をオンにしたり、異体字切り替えのミニパレットを非表示にするのは、ミスを防ぐ上でもぜひ設定を変更しておきたいと感じました。「ミスや事故は偶然ではなく起こるべくして起こる」ので、ひと手間かけて環境設定をカスタマイズしておくことで、ミスの可能性を下げる重要性に気付いた人も多いことでしょう。

オレオレファイルを作って自分好みのIllustratorに

続いて、聞いたことがない人も多いけれど非常に重要だという、ドキュメントプロファイルについて解説しました。Illustratorで新しいファイルを開いたときに、デフォルトのフォントを変えたい、よく使うブラシがすぐに選べるようにしたいといった課題は、ドキュメントプロファイルで解決できます。

独自のファイルをドキュメントプロファイルに設定しておく
独自のファイルをドキュメントプロファイルに設定しておく
新規ファイルを開いた段階で自分好みの設定が反映されている
新規ファイルを開いた段階で自分好みの設定が反映されている

ドキュメントプロファイルの便利さを、「オレオレファイルを作って自分好みのIllustratorにできる」と鷹野さんは表現していました。自分の作ったファイルをドキュメントプロファイルの所定の場所に置くことで、そのファイルに登録されているスウォッチ/ブラシ/グラフィックスタイル/シンボル/段落スタイル/文字スタイルが新規ドキュメントで使えるようになります。確かに利用しないのは勿体無いと思いました。

アピアランスの活用例では高度なテクニックが満載

次に紹介したアピアランスの活用例は、TIPS/テクニックとしては一番の見どころでした。教室の講師をしている前田でも思わず唸るような高度なテクニックも多く、「こんなこともできるんだ」とIllustratorの奥の深さも感じられる内容でした。

アピアランスを活用したオープンパスの吹き出しの例
アピアランスを活用したオープンパスの吹き出しの例
会社概要などの表をアピアランスでデザインする例
会社概要などの表をアピアランスでデザインする例

高度でマニアックともいえるテクニックもあり、一度見ただけでは覚えられないものも多かったはずです。しかし、セミナー参加者にはアーカイブ動画を提供したので、何度も見返したり一時停止したりして復習していただけたと思います。さらに、セミナーで使用したIllustratorファイルもダウンロードできるよう鷹野さんから提供いただいたので、時間さえあれば十分復習できたのではないのでしょうか?

※アーカイブ動画とファイルダウンロードはアンケートに答えていただいたセミナー参加者に提供しました。現在は公開終了しています

目を養うことと体験してみることが必要

最後に話題のGenerative AI(生成系AI)について、現在の状況やアドビの取り組みについて簡単に紹介しました。アドビはAdobe Stockの著作権が問題ない画像を学習データとした画像生成AIのAdobe Fireflyを開発中です。また、Adobe Photoshopのテスト段階の機能であるAIを使った背景クリエーターなど、Adobe Senseiの技術を使ったAI機能に力を入れているようです。

生成系AIの現状を簡単に紹介
生成系AIの現状を簡単に紹介

AIの進化に関して鷹野さんは、未来は急に変わるのではなくグラデーションで変わっていくと思うので、目を養うことと体験してみることが必要だと話しました。そして、「僕も勉強していきたいと思いますので、一緒に勉強していきましょう」という言葉で約1時間30分のセミナーを締めくくりました。 数多くのセミナー講師を経験してきた鷹野さんの説明はさすがのわかりやすさで、Too前田が要所要所で補足や素直な感想を投げかけていたのも良いアクセントになっていました。

初期設定の見直しなど地味な内容が中心だったにも関わらず飽きさせない刺激的な内容で、Illustrator使いにはまさに必見のセミナーだと感じました。



今回は「Illustratorを使いこなそう!〜春のアドビセミナー2023〜」のセミナーレポートをお届けしました。Tooは今後もセミナーを定期的に開催していきます。
各種製品のご相談は、アドビ製品取り扱い30年以上・経験豊富なスタッフの多いTooにご相談ください。

Tooはアドビ正規販売代理店プラチナリセラーです

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ありがとうございました。

今後も最新情報やTIPSなど配信していきますので、ぜひご覧ください!

記事は2023年5月24日現在の内容です。

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